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疲れは体の危険信号? 疲労のメカニズムや回復方法を紹介

疲れは体の危険信号? 疲労のメカニズムや回復方法を紹介

風邪ではなさそうだけど、なんだか体調がすぐれない……そういうことは誰にでもあるはずです。そんなとき、「疲れてるんだな」と簡単に片づけてしまっていませんか? 疲れは意外と複雑なんです。今回は疲れがとれない原因や疲労を回復させる方法について見ていきましょう。

 

  1. そもそも「疲労」とは?
  2. 疲れがとれない原因とは?
  3. 疲労がとれないときはどうする?
  4. 疲れがなかなかとれないのは「脳疲労」のせい?
  5. 脳の疲労を軽減するために
  6. 疲れを感じたら生活習慣を見直そう

 

そもそも「疲労」とは?

疲れは、発熱や痛みなどと同じように、体に生じた異常を知らせる警報の一つといわれています。人の体は環境や体内のさまざまな変化に対応して生命を維持するための生理的機能を正常に保つメカニズム「ホメオスタシス(恒常性維持)」を備えていますが、疲れはホメオスタシスに基づきその人の活動を制限する警報の現れとされています。
日本疲労学会の定義によると、疲労とは「過度の肉体的および精神的活動、または疾病によって生じた独特の不快感と休養の願望を伴うから身体の活動能力の減退状態である」とされています。
また、医療に携わる人たちの間で疲労は「未病」の一つと捉えられているそうです。未病とは「病気ではないけれど健康でもない」状態のことで、体にだるさや冷え、疲れやすいといった不調も未病と見なされています。

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疲れがとれない原因とは?

疲労には全身の疲労、そして体の特定の部位にかかる局所疲労があるとされています。さらに、おおまかに分けると肉体疲労と精神疲労もありますが、人が感じる疲労の大部分はこれらが絡み合った複合的なものといわれています。疲れがとれない原因をいくつか挙げておきますね。

疲労の蓄積

社会人なら仕事、学生なら勉強や研究、子育て中の人なら育児や家事などによって、疲れが日々溜まっていきます。疲れが溜まりすぎないよう適度に休んだり睡眠を十分とったりすれば回復しますが、十分に回復しきらないうちに無理を重ねることで慢性疲労となります。

ストレスや緊張

大きなプロジェクトを抱えていたり、人間関係がうまくいかなかったり、急に転勤を命じられるなど、それまでの日常が大きく変化することはストレスや緊張を強いられます。それらを抱えたまま日々を過ごしていると、精神的な疲れが引き金となって精神疾患になるケースもあるそうです。

栄養バランス

日々の食事からさまざまな栄養素をバランスよく摂取することは、健康でいるための第一条件ですが、鉄分やビタミン、たんぱく質、糖質などが不足すると、食べたものをうまくエネルギーに変換できないため、疲れやだるさを感じやすくなります。

睡眠不足

一日の疲れを翌日に持ち越さず解消するには、睡眠をしっかりとることが大切です。しかし、睡眠時間が短い、逆に比較的長めに眠れたとしても目覚めが悪い=睡眠の質がよくなければ、十分な休養がとれません。

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疲労がとれないときはどうする?

疲れがとれない原因はわかっていただけましたか。では、疲れがとれないとき、どう対処すればよいのでしょうか。ここでは大きく4つの改善策をご紹介します。

対処法1「適度な運動」

無理をしない程度に運動することはおすすめです。「疲れているのに動いて大丈夫なのか?」と訝しく思うかもしれませんが、ウォーキングやジョギングなどの軽い運動を習慣づけることによって、体が適度にほぐれます。その結果、寝つきがよくなり、夜中に目が覚めず深く眠ることができるといった効果が期待できます。強度の高い運動ではなく、軽く汗をかく程度の運動の方がよいとされています。

対処法2「睡眠の質を高める」

しっかり眠ることは疲れをとるために有効な手段です。ただし、睡眠時間が長ければよいというものではありません。睡眠時間は個人差があるため一概にいえませんが、6時間以上眠ることが推奨されています。そして、大事なのは睡眠の「質」。朝、目覚めたときに睡眠休養感(眠ったことで休養がとれたと感じる度合い)が高ければ、その日の睡眠の質は高かったといえます。できるだけ暗くて、静かな部屋で眠るようにしてください。

対処法3「就寝前に入浴」

湯船に浸かって体を温めると疲れが軽減するといわれています。眠りにつく1時間から2時間前に入浴するようにしましょう。おすすめは40℃以下のぬるめの湯に10分から20分ほど浸かること。体の深い場所にある脳や内臓の温度を高めると深部体温が上がり、寝つきがよくなり、眠りも深くなるといわれています。半身浴も効果があるそうです。

対処法4「バランスのよい食事」

疲れをとるためには、バランスのよい食事を1日3食しっかりとりましょう。人の体内では、食べものを通じて得る栄養と呼吸で得る酸素を用いて体を修復したり、エネルギーを生み出したりする代謝が行なわれていますが、代謝をサポートする栄養素が足りなければ疲れやすくなるなど悪影響が出ます。例えば、鉄分が不足すると疲れやすくなったり脱力感が現れたりすることもありますし、ビタミンB1が足りなければ炭水化物をエネルギーに変えることができません。さまざまな栄養素が摂れるよう、バランスのよい食事を心がけましょう。

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疲れがなかなかとれないのは「脳疲労」のせい?

「脳疲労」という言葉を聞いたことはありませんか? これは脳に大きな負担がかかったことで一時的に脳の機能が低下し、それによって引き起こされた不調を意味する際に用いられています。ただし、脳疲労は正式な病名ではないので、ここでは「脳の機能が低下した状態」という意味で使います。
他の動物とは異なり、人の疲れには頭脳労働の比重が高いという特徴があります。ヒトの脳は常にフル回転しているうえ、脳に費やされるエネルギーはかなりぎりぎりの状態なので、脳の疲れを修復するには時間がかかるといわれています。

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脳の疲労を軽減するために

では、脳の疲労を軽減するにはどうしたらよいのでしょうか? 前述した「必要な栄養素を十分に摂取すること」と「睡眠の質を向上させること」は、脳の疲労回復にも有効です。そのほか2つのポイントをお伝えします。

マルチタスクは避ける

もともとはIT分野の用語だった「マルチタスク」。今では主に仕事において、複数の異なる作業を同時に処理していくことを指す言葉となりました。この現代社会ならではのマルチタスクは、脳に大きな負担をかけています。
そこでマルチタスクではなく、1つの作業に集中して取り組むシングルタスクに切り替えた方がよいそうです。抱えている複数の作業に優先順位をつけて数時間ずつ集中して取り組むようにしたり、同じような重要度ならば早めに片づけられる作業から取り組むといった工夫が推奨されています。

デジタルデバイスの使用を控える

スマートフォンやタブレットの普及によって、私たちはいつでもどこでもさまざまな情報をたくさん吸収できるようになりました。しかし、これは諸刃の剣で、求めていた情報以外のものもインプットされるため、インターネット普及以前に比べて脳が疲れやすくなっているそうです。
脳に余計な情報を与えないためにも、就寝前はデジタルデバイスの使用を我慢する、日中もスマートフォンを見ない時間を設けるなどある程度の自己規制が必要です。そして、デジタルデバイスの使用時間を減らすことは睡眠の質を高めることにもつながります。ぜひ意識的に取り組んでください。

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疲れを感じたら生活習慣を見直そう

疲れているな……という自覚症状があっても、忙しいと思いきった対策はしづらいものです。しかし、冒頭でお伝えしたように発熱や痛みとともに疲れも体が発する危険信号の1つです。疲れは未病と考えて、軽い運動を行なったり、バランスのよい食事を意識したり、寝る前にはスマートフォンを使わないようにするなど生活習慣を見直して、心と体の両面から健康を維持するように心がけましょう。

 

 

 

 

 

 

 

<執筆に利用した学術論文、総説・解説、書物等の一覧>

【A】公益財団法人 長寿科学振興財団Web「疲労とは?疲労の原因と回復方法」

【B】渡辺恭良・水野 敬著『おもしろサイエンス 疲労と回復の科学』(日刊工業新聞社 2018)

【C】全国健康保険協会Web「季節の健康情報|はじめよう 未病対策」

【D】日暮里・三河島内科クリニック 院長コラム「疲労感・だるさが抜けない、取れない病気」

【E】厚生労働省 健康日本21アクション支援システム「記事・用語辞典メニュー|快眠と生活習慣」

【F】厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」

【G】大阪公立大学 健康科学イノベーションセンターWeb「食事で疲れをとる」

【H】兵庫医科大学Web「代謝って何?」

【I】厚生労働省 健康日本21「休養・こころの健康」

【J】医療法人社団こころみWeb「脳が機能低下する「脳疲労」とは?うつ病との関係についても解説」

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