胃や腸にやさしい食べものを探る!消化のいい食べ方から調理法、おすすめレシピまで紹介

なんとなく胃が重く感じたり、腸の調子がいまいちだったりすることはありませんか? 気温の変動が激しい季節の変わり目は体調を崩しやすいですし、夏の暑さから逃れようと冷たいものばかり摂ると胃腸にも大きな負担をかけてしまいます。今回は、胃や腸にやさしい食べものや食べ方・調理のポイントなどをご紹介しますね。
胃と腸にやさしい食べものとは?
胃酸が分泌されすぎていたり、腸内環境がバランスを崩したりすると胃腸は不調に陥ります。胃もたれを感じたり、お腹にガスが溜まっているのは、胃腸が弱っている証拠です。胃と腸にやさしい食べものについて分類別に見ていきましょう。
主食は消化がよいものを(穀類)
私たち日本人が毎日のように食べている白米(精白米)は、水分をたっぷり含んでいて実は消化がよい食べものです。風邪をひいて体が弱っているときにおかゆがよいとされるのは、白米よりも柔らかいためさらに消化がよいからです。胃腸の調子が悪いときにもおすすめです。麺類なら消化しやすいそばや柔らかく煮たうどんがよいといわれています。
野菜は蒸すのがおすすめ(野菜類)
ビタミンやミネラル、食物繊維を多く含む野菜類は体によい食べものですが、胃や腸が弱っているときには野菜そのものの硬さや豊富な食物繊維が消化しづらいものとなるそうです。そこでおすすめなのは蒸し野菜。蒸して柔らかくすることで野菜が消化しやすくなりますよ。ほうれん草や大根、人参などがよいそうです。
胃に負担が少ない肉を選ぶ(肉類)
骨や筋肉、臓器をつくるたんぱく質は、体をつくる主成分ですのでしっかり摂りたい栄養素です。肉類はたんぱく質が多いものの、脂質も多いため、胃や腸に負担をかけてしまいます。そこで、胃腸の調子が悪いときは、たんぱく質は多いけれど脂質が少ない鶏のむね肉か鶏のささみを選ぶとよいそうです。むね肉は皮がない方がさらに脂質が減りますよ。
魚は煮るか蒸して食べる(魚介類)
魚は良質なたんぱく質と適度な脂質が同時に摂れる優れた食べものですが、胃腸の調子が悪いときは刺身や焼き魚は避けた方がよいといわれています。魚を煮る、あるいは蒸して食べると消化しやすくなるのでおすすめです。また、赤身魚よりも、カレイやヒラメ、サケなどの白身魚の方が消化しやすいそうです。
乳酸菌で腸を整える(乳類)
牛乳からつくるヨーグルトなどの乳製品は、胃や腸が弱っているときについ避けてしまいがちかもしれません。しかし、実は低脂質なものなら摂った方がよいとされています。それはヨーグルトが含む乳酸菌が腸内環境を整えてくれるからです。ふだん牛乳を飲むとお腹がごろごろする人でも、ヨーグルトなら乳酸菌が乳糖を分解してくれるので大丈夫。砂糖や香料が含まれていないプレーンヨーグルトを選んでくださいね。
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消化が悪い食べものとは?
では、胃や腸が調子を崩しているときには避けた方がよい食べものには、どのようなものがあるのでしょうか。ひと言でいうと、消化が悪い食べものです。代表的なものを挙げていきますね。
脂っこい料理
脂をたっぷり含んだ肉や魚はおいしいですが、胃腸の具合がよくないときは避けるようにしてください。唐揚げやフライなどの揚げものもよくありません。脂質が多い食べものは、消化に時間がかかるため胃腸に大きな負担となるのです。体調が戻るまで少しのあいだ我慢してください。
辛みが強いもの
多数のスパイスを組み合わせり、唐辛子を用いたピリリと辛い料理も胃腸によくありません。暑い時期にスパイスの効いたカレーを食べるのは発汗作用があるので、元気なときは体によい食べものですが、辛い料理は胃酸の分泌を促すため、胃に負担がかかってしまいます。
食物繊維が多くて硬い野菜
ふだんなら食物繊維を多く摂ることが推奨されますが、食物繊維は分解されずに腸まで届くため、胃や腸への負担が大きいそうです。特に硬い野菜は生のまま食べるのではなく、茹でたり蒸したりといったひと手間かけることが必要となります。
酸味の強いもの
レモンやゆずなどの柑橘類、そして梅干しをはじめとする酸味の強い食べものも避けた方がよいといわれています。胃や腸を刺激するからです。薬味に使う程度ならよいそうですが、酸味の強いこれらは控えるように心がけましょう。
冷たい食べもの、飲みもの
暑い夏に涼味を感じたくて、そうめんやざるそばを食べる人は多いと思います。また喉が渇くので、冷たい飲みものを多く摂るでしょう。しかし、こうした冷たい食べものや飲みものは、大量に摂取すると胃や腸の血行を抑制してしまうそうです。胃や腸の働きを正常に戻したいのならこれらは避けて、温かいものや常温のものを摂るようにしてください。
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消化によい食べ方のポイント
胃や腸にやさしい食べもの、そして逆に消化がよくない食べものを見てきました。ここからは消化によい食べ方の例をいくつかお伝えします。
よく噛んで食べる
当たり前のことかもしれませんが、「よく噛んで食べること」は消化によい食べ方です。ゆっくりと噛みしめることで、胃や腸への負担を少なくすることができます。また、よく噛むことで咀嚼筋が動き、脳の視床下部へ食欲を抑える信号が送られ、満腹感を得やすくなります。大量に食べなければその分、胃や腸への負担も軽くなるので一石二鳥といえます。
少量を小分けにして食べる
一度の食事で多くの量を食べるよりも、量を減らして食事の回数を増やすことで胃や腸にかかる負担を軽減することができます。胃腸が弱っていると感じたら、軽食を複数回摂ることも一つの方法です。
温かい料理を選んで食べる
冷たい料理はどうしても胃腸を刺激するため、できるだけ温かい料理を食べるようにしてください。例えば、夏に人気のそうめんではなく温かいにゅう麺にするなど、体を温める料理を選ぶようにすると胃や腸の負担になりづらいとされています。ただし、熱すぎると逆効果なので、出来立ての料理を少し冷ましてから食べることも必要です。
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消化をよくする調理のポイント
胃や腸が弱っているときに自分で調理するのであれば、できるだけ消化のよい食事をつくりたいですよね。いくつか調理のポイントがありますので、参考にしてください。
食材は小さくカットする
通常よりも食材を小さくカットすると調理の際に火が通りやすくなり、料理が柔らかく仕上がるようになります。料理が柔らかければ胃や腸にかかる負担も軽くなるんですね。さらに、肉や野菜など繊維のある食材ならば繊維を断つように切ると効果的です。
煮てやわらかくする
食材を焼くのではなく、煮るようにしてください。煮る方が柔らかく仕上がるので、消化しやすくなるからです。柔らかく煮るための工夫としては、加熱時間を長くすること、水分量を増やすことなどが挙げられます。
油やスパイスを使わない
消化が悪い食べもので少し触れましたが、調理の際は油や辛みのあるスパイスを使わない方が胃腸に負担がかかりません。また、塩味や酸味が強い調味料もできるだけ避けた方がよいそうです。味が足りないと思ったらかつおぶしやこんぶだしなどで調整しましょう。
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胃や腸にやさしいおすすめレシピ
白米を柔らかく煮たおかゆや雑炊は、胃腸にやさしい代表的な食べものです。また、卵も優秀な食材で、卵とじや半熟卵、茶碗蒸しなどにするとよいといわれています。
また、胃や腸を保護する成分を含む野菜を用いるのも一つの方法です。例えば、胃酸の分泌を抑えて胃の粘膜を保護する効果があるとされるビタミンU(キャベジン)を多く含んでいるのはキャベツやブロッコリーです。やまいもは消化を助けるアミラーゼという消化酵素を含むほか、やまいも独特のぬめり成分には胃壁を保護する働きがあるとされています。ただし、アミラーゼは熱に弱いので、すりおろしてとろろとして食べるほうがよいそうです。
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レシピ1:
ふわとろ雑炊
材料(2人分):
ご飯:茶碗山盛り1杯(約200g)
卵:1個
〆まで美味しい 寄せ鍋つゆ ミニパック:小袋1袋
水:200ml
小ねぎ (小口切り):適宜
きざみのり:適宜
作り方:
1. 鍋に、「〆まで美味しい 寄せ鍋つゆ ミニパック」と水を入れて煮立たせ、沸騰したらご飯を入れて、弱火で1分煮込む
2. 溶き卵を回し入れ、卵に火が通ったら出来上がり。お好みで小ねぎやきざみのりを散らす
レシピ2:
ブロッコリーのレンチンおひたし
材料(2人分):
ブロッコリー:1株
〈A〉
ミツカン 追いがつおつゆ2倍:大さじ5
水:大さじ5
作り方:
1. ブロッコリーは小房に分け、耐熱容器に入れ電子レンジ(600W)で2分30秒加熱する
2. 熱いうちに1を〈A〉に加え、粗熱をとる
※茎も皮をむいて食べやすい大きさに切り使用する
※冷蔵庫に保管し、2~3日を目安にお召し上がりください
※保存方法・調理工程によって栄養成分は変わります
レシピ3:
とろろ月見そば
材料(2人分):
そば (乾):2人前(200g)
長いも:1/2本
卵:2個
小ねぎ (小口切り):適量
いりごま:適量
〈調味料〉
ミツカン 追いがつおつゆ2倍:3/4カップ
水:2と1/4カップ
作り方:
1. そばは表示通りにゆでる。長いもはすりおろし、とろろにする
2. 鍋に〈調味料〉を煮立てる
3. 器にそばを盛り、2をかけ、とろろを上にかけ、卵を割り、小ねぎといりごまを飾る
※栄養成分はつゆを60%摂取するとして計算
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ふだんから胃腸を整えるには
胃や腸の調子がよくないと、何をしていても憂鬱ですよね。急にお腹が痛くなったら……と考えると、行動も消極的になりがちです。お酒を飲む人は多いと思いますが、アルコールは胃の粘膜を刺激するそうです。くれぐれも控えめに。 ふだんから胃腸の調子を整えておくために「朝、目が覚めたら水を1杯飲む」という方法があります。起きてすぐに水分を補給することで胃腸をやさしく起こしてあげる効果があるそうです。また、寝ている間に下がっていた体温を上げるために、冷えた水よりも白湯を飲んだ方がよいとされています。今回お伝えしたことに加えて、目覚めの水分補給も試してくださいね。
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<執筆に利用した学術論文、総説・解説、書物等の一覧>
【A】飯田薫子・寺田あい監修『一生役立つ きちんとわかる栄養学』(西東社 2019)
【B】筑後市立病院 広報誌『いずみ』Vol.26-27「元気のツボ/胃腸の調子が今一つ!? 消化のよい食べ物」
【C】むさしの内視鏡・胃腸内科クリニックWeb「胃痛が続く際の食事について」
【D】日暮里・三河島内科クリニックWeb「消化の良い食べ物とは?胃腸の調子が悪い時におすすめのお腹に優しいメニューを紹介」
【E】益田市立介護老人保健施設 くにさき苑Web「栄養ニュース32号/疲れた胃腸にやさしいメニュー」
【F】医療法人社団 宏志会 豊岡第一病院Web「食のコラム/第1回 管理栄養士のおいしい御飯」
【G】しん|野菜を育むプロ著・東京慈恵会医科大学附属病院栄養部監修『農家が教えたい世界一使える野菜の教科書――おいしくて体にいい選び方&食べ方』(KADOKAWA 2024)
【H】飯田薫子監修『70歳からの本当の健康を手に入れる すごい栄養学』(宝島社 2025)