緑黄色野菜って体にいいの?その定義や摂取する際のポイント、レシピなど紹介!

色鮮やかな野菜を目にすると、多くの人は「体によさそう」と思うのではないでしょうか。緑色や赤色、黄色など色の濃い野菜をひっくるめて「緑黄色野菜」と呼ぶことはよく知られていますが、厳密にはある基準が設けられています。今回は知っているようで知らないこともある緑黄色野菜について、摂取するポイントやレシピも含めてご説明します。
緑黄色野菜の定義は「色」?
野菜を大まかに分類すると「緑黄色野菜」と「淡色野菜」となりますが、その違いは色ではなく「β-カロテンの含有量」で定められています。可食部100gあたりで「600μg以上」のβ-カロテンが含まれている野菜が緑黄色野菜です。β-カロテンは体内で活性酸素を抑える抗酸化作用があるとされており、必要になると体内でビタミンAに変わる物質です。
アスパラガスやおくら、かぼちゃ、こまつな、にんじんなどは緑黄色野菜ですが、表皮が緑黄色でも中身は白いきゅうりやなすは淡色野菜となります。かぶやだいこんなどは、葉は緑黄色野菜ですが、白い実の部分は淡色野菜です。また、ピーマンやトマトのβ-カロテン含有量は規定に達しませんが、多くの人が頻繁に口にする野菜という点が考慮されて緑黄色野菜とされています。
厚生労働省は「健康日本21(栄養・食生活)」において、「1日あたり350g以上の野菜を摂取することが好ましい」としています。その内訳として「緑黄色野菜は120g以上」摂ることを目標に掲げています。つまり、350gのうち、緑黄色野菜は120g以上、淡色野菜(その他の野菜)は230g以上となります。
ちなみに、β-カロテン含有量が少ないからといって淡色野菜を侮ってはいけません。ビタミンやミネラル、食物繊維などを豊富に含んでいるからです。
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入手しやすい緑黄色野菜5選
厚生労働省は「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」のなかで、緑黄色野菜の一覧を記しています。すべてはご紹介できないので、ここでは旬に食べたいもの、日常的に入手しやすいものから5種類選んでみました。
アスパラガス
厳しい冬を乗り越え、春に芽を出す「アスパラガス」は、種を蒔いてから収穫できるようになるまで、通常なら2年から3年かかる多年生植物です。β-カロテンはもちろんのこと、ビタミンB1やB2、カリウムなどをバランスよく含んでいます。また、アスパラガスが有するアミノ酸の一種であるアスパラギン酸は、疲労回復に効果があるといわれています。鮮度があまり保てないため、入手したらすぐに加熱するとよいそうです。
かぼちゃ
煮ても焼いても揚げてもおいしい「かぼちゃ」。スイーツにも使われますので、大好きな人は多いのではないでしょうか。日本かぼちゃ、西洋かぼちゃともに緑黄色野菜の代表的存在ともいわれているのは、β-カロテンのほかビタミンEやビタミンCも豊富で、これらはいずれも高い抗酸化作用をもつとされているからです。無病息災を願って冬至に食べる風習もありますが、ほんとうの旬は夏です。
ほうれん草
栄養価が高い葉物野菜として知られる「ほうれん草」。特に冬のほうれん草は寒さで細胞が引き締まるため、より濃厚な味になるとされています。肉厚で濃い緑色の葉のものを選ぶとよいそうです。また、ほうれん草の根は捨ててしまいがちですが、その赤い部分にはマンガンが含まれているため、株元をかきわけるように水で根を洗って食すのがおすすめ。ほうれん草はカルシウムやマグネシウムも豊富に含んでいます。
にんじん
β-カロテンを多く含む野菜の代表格といえば「にんじん」です。にんじんのβ-カロテンは皮の下にもっとも多く含まれているので、できれば皮をむかずによく洗ってそのまま調理することが望ましいとされています。β-カロテンだけでなくα-カロテンやビタミンB12も豊富。葉っぱのついたにんじんが入手できれば、葉を切り落として炒め物や和え物にするとおいしいですよ。農家の人たちは間引いたにんじんをよく食しています。
レタス
四季を通して入手しやすい葉物野菜が「レタス」です。レタスは丸く結球する玉レタスのほか、結球しないタイプもあり種類は豊富。「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」では、レタス類として「サラダな」「リーフレタス」「サニーレタス」「レタス(水耕栽培)」「サンチュ」の5種が緑黄色野菜と記されています。レタスはサラダとして生で食べることが多いと思いますが、炒め物やスープにすると甘みが増しますよ。
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緑黄色野菜を摂るときのポイントとは?
緑黄色野菜をふだんの食事に活かすには、どのような方法があるのでしょうか。調理する際のポイントをいくつかお伝えしますね。
加熱してかさを減らす
緑黄色野菜は体によいのですが、かさがあるため量がなかなか食べられないという点が悩ましいです。そこで、例えばほうれん草をゆがいたり、レタスを電子レンジで加熱する方法があります。そうすればかさが減るので、生のままより量がたくさん食べられますよね。ぜひ試してみてください。
油と一緒に摂る
ビタミンA(β-カロテン)は脂溶性ビタミンなので、生のまま食べても少し吸収しづらいため、油類で炒めるのがおすすめ。吸収率がグッとよくなるといわれていますよ。また、サラダにオリーブオイルをかけるとビタミンA(β-カロテン)が吸収されやすくなるそうです。脂質を含む肉類など他の食材と一緒に摂ることも有効です。
淡色野菜も組み合わせる
1日に350g以上の野菜を摂取することを目指す際、緑黄色野菜は120g以上とされていますので、淡色野菜はその倍近い230g以上となります。ですので淡色野菜もしっかりとらなければいけません。淡色野菜が有する各種のビタミン、ミネラル、食物繊維などもしっかり摂るようにしてくださいね。
冷凍保存しておく
緑黄色野菜が旬を迎えたときに思いがけず安く買えたり、親戚や知人から一度に食べきれないほど大量にいただいたりすることがあるかもしれません。栄養素が多い緑黄色野菜を余らせて捨ててしまうのはもったいないですよね、調理しやすい大きさにカットして冷凍して保存しておきましょう。あくを抜いたほうがいいほうれん草などはゆでてから冷凍してください。冷凍保存しておけば調理のときに楽ですし、レシピの幅も広がりメリットが多い方法です。
塩分の摂りすぎに注意
緑黄色野菜をしっかり食べるのはよいことですが、1日に350g以上の野菜を摂取している人はナトリウム(食塩)の摂取量も多いという報告があるそうです。食塩を多く含む調味料をあまり使いすぎないように、減塩の調味料や香辛料、柑橘類を用いることも心がけてくださいね。
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緑黄色野菜を用いたレシピ
栄養素を多く含む緑黄色野菜は、ぜひ毎日の献立に加えたいもの。ここでは加熱したり炒めたりして、緑黄色野菜を多く摂れるようになっているレシピを3つご紹介しますね。
レシピ1:
鶏ひき肉とレタスの白だしチャーハン
材料(2人分):
ご飯:茶碗大盛り2杯
卵:2個
おろししょうが:小さじ1
鶏ひき肉:100g
レタス:2枚
エリンギ:1本
サラダ油 (炒め用):大さじ2
ミツカン プロが使う味 白だし:大さじ2
塩・こしょう:適宜
作り方:
1. レタスは手で食べやすい大きさにちぎる。卵はよく溶きほぐし、おろししょうがを混ぜる。エリンギは粗みじん切りにする
2. フライパンにサラダ油を熱し、中火で鶏ひき肉を炒める。火が通ったら強火にし、卵を入れて手早く全体を混ぜて火を通す。エリンギとご飯を加え、全体が均一に混ざるように炒める
3. 仕上げに、レタスと「プロが使う味 白だし」を入れてよく炒め合わせ、味を見て適宜塩・こしょうをする
レシピ2:
かぼちゃとブロッコリーのクリーミー鍋(野菜1日分)
材料(4人分):
鶏もも肉:1枚
かぼちゃ:1/3個(400g)
ブロッコリー:2株(500g)
たまねぎ:2個(400g)
にんじん:1本(150g)
ほうれんそう:1束(300g)
〆まで美味しい ごま豆乳鍋つゆ ストレート:1袋
作り方:
1. 鶏もも肉は一口大に切る。かぼちゃは2~3cm角に切り、耐熱皿にのせてラップをし、電子レンジ(600W)で1分30秒加熱する。ブロッコリーは小房に分け、にんじんは輪切りにする。たまねぎはくし形切りにする。ほうれんそうは長さを3等分にする
2. 鍋に「ごま豆乳鍋つゆストレート」をよくふってから入れて火にかける。沸騰したら、1を入れて火を通す
※栄養成分は鍋つゆを75%摂取するとして計算
※一人分の野菜摂取量は350.38gです(廃棄部分を考慮しています)
レシピ3:
ほうれん草とにんじんのナムル
材料(2人分):
ほうれんそう:1/2束(150g)
にんじん:3cm
〈A〉
ミツカン 追いがつおつゆ2倍:大さじ2
すりごま:大さじ2
ごま油:大さじ1
おろしにんにく:小さじ1/2
作り方:
1. ほうれんそうはゆで、水にさらしてから水けをしぼり3cm長さに切る。にんじんは細切りにし固めにゆでる
2. 1のほうれんそうとにんじんを〈A〉であえる
※冷蔵庫に保管し、2~3日を目安にお召し上がりください
β-カロテン以外の栄養素も見逃せない
緑黄色野菜とは、単なる色での区分ではなくβ-カロテンの量であり、またピーマンやトマトは食べる回数や量が多い野菜だから緑黄色野菜に分類されているということは意外でした。「緑黄色野菜は体にいい」というイメージは間違ってはいませんし、ビタミンCやビタミンK、ミネラルなど摂取できる栄養素の種類が多いので、できるだけ多く摂るように心がけましょう。
【J】【K】
気軽に手軽に発酵性食物繊維
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<執筆に利用した学術論文、総説・解説、書物等の一覧>
【A】厚生労働省「『日本食品標準成分表2020年版(八訂)』の取扱いについて」
【B】飯田薫子・寺田あい監修『一生役立つ きちんとわかる栄養学』(西東社 2019)
【C】五関正江監修『ビタミン・ミネラルがよくわかる本――上手にとって健康に!』(つちや書店 2023)
【D】公益財団法人 長寿科学振興財団Web「健康長寿ネット/抗酸化による老化防止の効果」
【E】飯田薫子監修『70歳からの本当の健康を手に入れる すごい栄養学』(宝島社 2025)
【G】しん|野菜を育むプロ著・東京慈恵会医科大学附属病院栄養部監修『農家が教えたい世界一使える野菜の教科書――おいしくて体にいい選び方&食べ方』(KADOKAWA 2024)
【H】池上文雄ほか監修『からだのための食材大全』(NHK出版 2018)
【I】吉田企世子監修『旬の野菜の栄養事典――春夏秋冬おいしいクスリ』(エクスナレッジ 2016)
【J】厚生労働省健康づくりサポートネット「記事・用語辞典メニュー/野菜1日350gで健康増進」