白湯ってどうして体にいいの? ――熱すぎず冷たすぎないお湯が及ぼす影響
「白湯(さゆ)は体にいい」とよくいわれますよね。でも、具体的にはどういうことなのかご存じでしょうか? 白湯を飲む習慣は日本だけでなく、インドや中国、欧州などに昔からあるそうです。今回はあまり知られていない白湯について、飲むことによって期待できる効果や飲むタイミングなどについてご紹介します。
【A】
- 白湯とは?
- 白湯をつくるにはなぜ沸騰が必要なの?
- 白湯を飲むことで期待できる効果
- 白湯のつくり方とは?
- 白湯を飲むタイミングや飲む量の目安
- 白湯を飲む際の注意点
- 白湯に関するQ&A
- 白湯を飲む習慣づけを
白湯とは?

白湯とは、水を沸かしてから冷ました「何も混ぜていないぬるい湯」を指します。何度以上が白湯なのかといった定義は特にありませんが、熱すぎず、そして冷えてないぬるい湯が白湯です。
ポイントは「水を一度沸騰させる」という点にあります。白湯は沸騰させた湯を冷ましたものなので、常温の水より温かく、それが胃や腸など内臓に負担をかけにくいといわれています。
常温の水との違い
水を飲まなければ私たちは生きていけません。年齢によって異なりますが、成人男性で体重の約60%を、成人女性で体重の約55%を水分(体液)が占めています。朝起きて水を1杯飲む、あるいは夜寝る前に水を1杯飲むという行為は体を健康に保つためによいとされています。
ふだん私たちが飲む水道水(常温の水)は季節によって異なります。東京都水道局によると、水道水の最高水温は7月の29.5℃、最低水温は2月の8.3℃。20℃以上の差があるんです。
その点、水道水は季節ごとに水温の差があるのに対して、水を沸かして冷ましてから飲む白湯には、自分で水温をコントロールできるというメリットがあります。
【B】【C】
お湯との違い
いわゆる「お湯」は水を沸騰させた熱い湯です。熱い湯はそのまま飲むとやけどする危険性があるのに対し、白湯はいったん沸騰させた熱い湯を冷ましたもの。お湯よりぬるく、常温の水より温かい白湯を飲むことによって、体に負担をかけにくいという特徴があります。
白湯をつくるにはなぜ沸騰が必要なの?
水道水には、感染症や中毒を防ぐために塩素が入っています。塩素を投入することで生じるカルキ臭やトリハロメタンが気になる人もいると思います。
そこで白湯をつくる際には、水道水を口の広いやかんに入れて沸騰してから蓋をとり、さらに数分沸騰させることで、カルキ臭やトリハロメタンが抜けておいしくなるそうです。ぜひ試してくださいね。
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白湯を飲むことで期待できる効果

では、白湯を飲むことで具体的にはどのような効果が期待できるのでしょうか。いくつか挙げてみますね。
冬の寒さ対策につながる
適度な温度の白湯を飲むことで、内臓をじんわりと温めることができます。内臓が温まると血行がよくなるため、例えば冷え性の改善につながるといわれています。特に寒い冬は体が冷えてしまいがちなので、白湯を飲むことは寒さ対策にもなりそうです。
胃や腸の消化がよくなる
暑い時期に冷たい飲みものを摂るのは、熱を帯びた体を内側から冷やすためには効果的です。しかし、冷たいものばかり飲んだり、冷房の効いた場所に長くいたりすると、内臓が冷えてしまうデメリットも伴います。
内臓が冷えると胃や腸の働きが鈍くなります。それを防ぐために、白湯を飲んでお腹を温めることは体にやさしい習慣づくりにつながると言えそうです。
ダイエット効果が期待できる
意識しなくても人の体は命を維持するために呼吸を続け、血液を循環しています。体温を一定に保つのもその一環です。命を維持するために必要なエネルギー量は基礎代謝量と呼ばれています。白湯を飲むことで血行を促し、胃腸の働きを整えることは基礎代謝量が増える=消費エネルギーが増えることにつながるため、ダイエットした場合に効果が上がりやすいとされています。
免疫力を高める
白湯を飲むことで、食事で摂った栄養素がきちんと体内に回り、体に不要な老廃物が正しく排泄されるようになると、総体的に体の免疫力を高めることにもつながります。
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白湯のつくり方とは?
白湯をつくるには、水道水からつくる方法と市販されているミネラルウォーターからつくる方法があります。
水道水からつくる場合
先ほどご説明したように、水道水に含まれる不純物を取り除くためには口の大きいやかんを用いてしっかり沸騰させ、途中で蓋を取り、さらに数分沸騰させましょう。
ミネラルウォーターからつくる場合
ひと口にミネラルウォーターと言っても、原水の採水場所や処理方法によって「ナチュラルウォーター」「ナチュラルミネラルウォーター」「ミネラルウォーター」「ボトルドウォーター又は飲用水」の4つに分けられています。「ボトルドウォーター又は飲用水」以外は、いずれも沈殿やろ過、加熱殺菌などで処理することが義務づけられています。
ミネラルウォーターは塩素を用いていないため、電子レンジで温めることで白湯を手軽につくることができます。耐熱コップを用いて、沸騰させすぎないように気をつけてください。
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白湯を飲むタイミングや飲む量の目安

白湯が体にいいことはわかってきましたね。では、白湯を飲むのに適した時間帯やタイミングはあるのでしょうか。
起床時
朝、目覚めたらコップ1杯の水を飲むことは体によいとされています。それは眠っている間に失われた水分を補うだけでなく、目覚めの習慣として取り入れられています。
そして、その時に飲むのは冷たい水よりも白湯がおすすめ。なぜなら、起きたばかりの体は一日のなかで体温がもっとも低い時間帯だからです。白湯をゆっくり飲みながら、体を徐々に温めるようにしましょう。
就寝前
人は眠っている間にコップ1杯くらいの水分を失います。汗をかくだけでなく、不感蒸泄といって皮膚や呼気による水分喪失もあるからです。その点、白湯はクセが少ないため、寝る前にも選ばれやすい飲みものです。
食前や食事中
食事をする前、そして食事をしながら白湯を飲むことは、お腹を温め、胃腸の消化・吸収を促すといわれています。さらに、白湯を飲むと満腹中枢が働くため、食べすぎを防ぎやすいという効果もあるそうです。
日ごろの水分補給にも
日ごろから保温性のあるボトルに白湯を入れて持ち歩き、のどの渇きを感じたら飲むようにしましょう。冬の寒さのなか、白湯を一口飲むだけで体が温まります。また、冷たい飲みものを摂りすぎてお腹の調子を崩してしまいがちな暑い夏でも、意識して白湯を飲むことで胃腸を整える効果も期待できます。
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白湯を飲む際の注意点
白湯を飲むと体によいことが多いものの、注意したほうがよい点もあります。
飲みすぎに注意
体によい白湯といえども飲みすぎにはくれぐれもご注意ください。白湯を大量に飲むことで胃液を薄めてしまうと消化・吸収機能が落ちる可能性があります。また、水分だけを大量に摂りすぎると水中毒を起こす危険性もあります。
疾患を抱えている人
何らかの疾患を抱えている人は、白湯を飲む際も注意が必要です。足がむくむ人のなかには、心臓や腎臓の働きが低下している場合があります。むくみは血管内に余分な水分が溜まったり、余分な水分を排泄できないことから生じますので、水分の摂りすぎはよくないとされています。
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白湯に関するQ&A
Q)白湯の温度はどれくらいがいいの?
A)口で息を吹きかけて冷ましながら飲めるくらいの熱さがよいそうです。
Q)白湯なら一気に飲んでも大丈夫?
A)ゆっくり飲んだ方がよいです。よくいわれるのが、カップ1杯(約200ml)を5分から10分くらいかけて飲むことです。
Q)白湯になにかを入れてはダメ?
A)そんなことはありません。黒コショウやクミンなどのスパイスを加えたり、生姜やレモンなどを用いてもよいといわれています。ただし、スパイスなどの刺激に弱い人は様子を見ながら、少量で試してみてください。
【A】
白湯を飲む習慣づけを

白湯の効果、いかがでしたか? 熱すぎず冷たすぎない白湯を飲むことで、こんなにもさまざまな効果が期待できるのですね。熱すぎる飲みものばかり摂ると喉頭がんの原因にもなりかねないそうですから、日ごろから白湯を飲むことを習慣づけましょう。
【E】
<執筆に利用した学術論文、総説・解説、書物等の一覧>
【A】ジェイテクト健康保険組合コミュニケーション情報誌『けんぽ・ききんだより』から「「白湯(さゆ)」を活用して体調管理」
【B】ミツカン水の文化センター 機関誌『水の文化』74号 概論「海から陸へ上がり発達した体液調節機能」
【D】独立行政法人 水資源機構 千葉用水総合管理所Web「水道水をおいしくする裏技」
【F】鶴見小野駅前 内科・内視鏡クリニックWeb「夏の冷えすぎに要注意!胃腸が冷えて不調になる理由とは?」
【G】公益社団法人 日本薬学会Web「薬学用語解説|基礎代謝量」
【H】一般社団法人 宮崎県薬剤師会Web「薬の部屋 Q&A」
【J】江田 証著『60歳で腸は変わる 長生きのための新しい腸活』(新星出版社 2024)
【K】飯田薫子監修『70歳からの本当の健康を手に入れる すごい栄養学』(宝島社 2025)
【L】一般社団法人 日本救急医学会Web「医学用語解説集|不感蒸泄」
【M】櫻井武著『食欲の科学――食べるだけでは満たされない絶妙で皮肉なしくみ』(講談社 2012)








