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果物の栄養価が高い理由とは? 試したい「朝食フルーツ」

果物の栄養価が高い理由とは? 試したい「朝食フルーツ」

皆さん、果物をしっかり食べていますか? 農家さんが手塩にかけて育てたおいしい果物を入手しやすい日本はほんとうに恵まれていますよね。しかも、果物は水分をたっぷり含んでいるほか、ビタミンやミネラル、食物繊維などの栄養素が豊富な食べものなんです。
ところが、欧米など海外と比べても日本人の果物摂取量はあまり多くないそうです。もっと果物を日ごろの食事に取り入れたくなるように、今回は果物の栄養価についてお伝えします。

 

  1. 命を守る食べものだった「果物」
  2. 果物の栄養ランキングBEST10
  3. オススメは「朝食フルーツ」!?
  4. 私たちの体をつくる果物

命を守る食べものだった「果物」

甘みが強くて水分の多い果物は、江戸時代に「水菓子」と呼ばれていました。今、葛餅や水ようかんなどを水菓子という人もいますが厳密に言うとこれは誤りで、本来の意味は「食用とする果実」のことなんです。
日本列島では縄文時代からクリやクルミ、ドングリなどが主食として食べられていました。ナシも縄文時代からあった古来の果物ですが、かつてはもっと小ぶりなもので、私たちが食べている今のナシは実を大きくしようと品種改良を重ねた結果です。
今では果物=デザートの印象が強いものの、果物はかつて米が不作に終わった際の救荒作物でもありました。東北地方の農村では、前述のクリ、そしてモモやカキなどを家の周囲に植えて、いざと言うときの備えとしていました。宮沢賢治の短編童話『やまなし』に描かれているような、香りのよい小さなナシ(ヤマナシ、サルナシなど)は岩手県を中心とする北東北にまだ残っていて、そうした古来の果物を未来につなげようと奮闘する人びともいます。
果物は単に甘くておいしいというだけでなく、人びとの命を守る大切な食べものでもあったのです。
【A】【B】

ビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富な果物

かつては命を支える役割も担っていた果物。その栄養素を見ていきましょう。
果物は、水分、ビタミン、ミネラル、食物繊維を多く含みます。これらの栄養素は野菜と似ていますが、特に果物はブドウ糖や果糖といった糖質を多く含んでいます。そして、果物と野菜では摂取できるビタミンやミネラル、食物繊維が少しずつ異なるうえ、クエン酸やリンゴ酸などの有機酸は果物の方が多いとされています。
まず食物繊維ですが、水に溶けやすい「水溶性食物繊維」と水に溶けにくい「不溶性食物繊維」の2種類に分けられています。果物の食物繊維は、未熟な果実では不溶性食物繊維(プロトペクチン)で、そこから適度に熟した果実は水溶性食物繊維(ペクチン)に変化することが知られています。
ビタミンについては、果物が主に含むのはビタミンCです。ビタミンCは体にとって欠かせない栄養素ですが、加熱すると失われる成分なので、加熱せずにそのまま生で食べることが多い果物はビタミンCの摂取に有効といわれています。また、果物はビタミンEも豊富です。
ミネラルの一種であるカリウムも果物には多く含まれています。ミネラルは体のなかでつくることができない成分ですので、食べものから摂るしか方法はありません。果物を食べることで、ミネラルもバランスよく補給できるのです。
ビタミンCなどとともに抗酸化作用が強いといわれているポリフェノールは、ぶどうや干し柿、モモや梅干しなどが含んでいるとされる成分です。ポリフェノールはほとんどの植物に存在する苦みや色素の成分ですが、水に溶けやすいため効果が持続しないので、毎日こまめに摂取することが大事といわれています。果物を毎日食べればおのずとポリフェノールも補給できるというわけです。

 

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果物の摂取量が足りない日本人

このように果物は体に必要な栄養素を含んでいますが、野菜と違ってブドウ糖や果糖などの糖質を多く含んでいるため、過剰に摂取すると中性脂肪が増えて肥満につながる恐れがあるとも言われています。もちろん食べ過ぎはよくないですが、それは果物に限った話ではありません。むしろ、日本人の果物摂取量が少ないことが昨今は問題視されています。
国が推奨する果物の摂取目標量は1人1日あたり200g以上(可食部)ですが、令和元年「国民健康・栄養調査」で発表された果実類(生果、ジャム、果汁・果汁飲料)の摂取量は100.2g。目標量に対して5割程度にとどまっています。
「毎日くだもの200グラム運動」を展開する毎日くだもの200グラム推進全国協議会が発表している「果物と菓子類の100gあたりのエネルギー量の比較」を見ると、果物のカロリーはかなり少ないことがわかります。

(図1)果物の摂取目標量「可食部200g」の目安

果物名 目安数量
うんしゅうみかん 2個
りんご 1個
日本なし 1個
かき 1個
ぶどう 1個
もも 1個
キウイフルーツ 2個
なつみかん 1個
はっさく 1個
いよかん 1個
デコポン(不知火) 1個
グレープフルーツ 1個
バレンシアオレンジ 2個
くり 12個
おうとう 40粒
すもも 3個
西洋なし 1個
パインアップル 0.3個
びわ 6個
バナナ 2本

出典:毎日くだもの200グラム推進全国協議会『毎日くだもの200グラム! 運動指針―9訂版』

(図2)果物と菓子類のエネルギー量の比較(100gあたり)

出典:毎日くだもの200グラム推進全国協議会『FACT BOOK―果実と健康―六訂版』

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果物の栄養ランキングBEST10

果物が含むといわれるビタミンC、カリウム、食物繊維といった栄養素や成分について、どのような果物が多く含んでいるかを見てみましょう。文部科学省の「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」の「果実類」(可食部100g当たりの含有量)をもとに調べてみました。

ビタミンCが豊富な果物TOP10

表をご覧いただくとわかるように、ビタミンCは熱を加えることでその多くが失われるため、生で食べる果物が上位を占めています。特にキウイフルーツが、黄肉種、緑肉腫の双方でランクインしていることが目を引きます。
また、惜しくも10位には入りませんでしたが、いちご(生)もビタミンCの含有量は多い果実です。ゆずやすだちがランクインしているほか、10位以下でもオレンジネーブル、せとか、しらぬひ(デコポン)、きよみなどが並んでいるので、ビタミンCの摂取のために柑橘類は見逃せませんね。

[表]ビタミンCを多く含む果実類と含有量(飲料除く)

可食部 100g当たり mg
アセロラ 酸味種 生 1700
アセロラ 甘味種 生 800
グァバ 赤肉種 生 220
グァバ 白肉種 生 220
(かんきつ類) ゆず 果皮 生 160
キウイフルーツ 黄肉種 生 140
(かんきつ類) すだち 果皮 生 110
(かんきつ類) レモン 全果 生 100
キウイフルーツ 緑肉種 生 71
かき 甘がき 生 70

出典:文部科学省 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

カリウムが豊富な果物TOP10

カリウムは成人の体内に約120g~200g含まれているそうです。人体に必要なミネラルの一種で、細胞内液の浸透圧を調節して一定に保つ働きがあります。「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、成人1人1日当たりのカリウム摂取の目標量を、男性3000mg以上、女性2600mg以上と定めています。
カリウムの含有量を見ると、ミカン科であるきはだの実が最上位で、次にくこ(ゴジベリー)、あんず(乾)、バナナ(乾)、マンゴー(ドライマンゴー)と続きます。バナナとぶどう(いずれも乾)以外、ふだんあまり食べる機会がなさそうですが、これを機にご自身の料理に取り入れてはいかがでしょうか。
また、カリウムを仮に大量に摂ったとしても、体内の調節機構が働くので過剰摂取になることはまれとされています。
【G】

[表]カリウムを多く含む果実類と含有量(飲料除く)

可食部 100g当たり mg
きはだ 実 乾 2100
くこ 実 乾 1400
あんず 乾 1300
バナナ 乾 1300
マンゴー ドライマンゴー 1100
りゅうがん 乾 1000
いちじく 乾 840
なつめ 乾 810
ぶどう 干しぶどう 740
(すもも類) プルーン 乾 730

出典:文部科学省 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

食物繊維が豊富な果物TOP10

食物繊維をもっとも多く含む果物はブルーベリー(乾)です。第2位はかき(干しがき)、さらになつめ(乾)、いちじく(乾)、すだち(果皮 生)と続きます。カキは日本で古くから食されている果物の一つですが、渋柿の皮をむいて日に干した干しがきはとても優秀です。
果物は水分量が多いため、100g当たりで見ると乾燥させたものが上位に入るのは当然なのかもしれません。

[表]食物繊維を多く含む代表的な果実類と含有量

可食部 100g当たりの
食物繊維成分表
食品名
水溶性
食物繊維
不溶性
食物繊維
食物繊維
総量
ブルーベリー 乾 3.0 14.7 17.6
かき 干しがき 1.3 12.7 14.0
なつめ 乾 2.7 9.8 12.5
いちじく 乾 3.4 7.3 10.7
(かんきつ類)すだち 果皮 生 2.8 7.3 10.1
あんず 乾 4.3 5.5 9.8
かりん 生 0.9 8.0 8.9
(すもも類)プルーン 乾 3.4 3.8 7.1
なつめやし 乾 1.5 5.5 7.0
バナナ 乾 2.0 5.0 7.0

出典:文部科学省 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

 

 

 

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オススメは「朝食フルーツ」!?

果物が含むビタミンCやカリウム、食物繊維などさまざまな栄養素は、いったいどのように摂取するとよいのでしょうか?
オススメは「朝食フルーツ」です。夕食後に食べるデザートのイメージが強い果物ですが、ブドウ糖や果糖、そしてブドウ糖と果糖にすぐ分解するショ糖など糖質を多く有しています。果糖は吸収が速いため、すぐにエネルギーに変えることができます。また、果物は睡眠中に体内から失われる水分もたっぷり含んでいますので、朝から果物を食べることで水分を補給し、さらに体調を整える働きのあるビタミンやミネラルを同時に摂ることができます。
時間があまりなくて慌ただしくなりがちな朝ですが、プレーンヨーグルトに果物を併せて食べる「フルーツヨーグルト」などはオススメです。
食物繊維の多いブルーベリー、ビタミンCが豊富なキウイフルーツ、食物繊維とカリウムを多く含んでいるバナナなどを組み合わせたレシピを一つご紹介しますので、ぜひご自身の朝食に取り入れてみてください。
【D】【H】

レシピ:
ブルーベリーヨーグルトボウル

材料(2人分):

ミツカン ブルーベリー黒酢:大さじ2
プレーンヨーグルト:200g
フルーツグラノーラ:適量

〈お好みのフルーツ〉
バナナ:1本
ブルーベリー:40g
キウイフルーツ:40g
ミント:適量

作り方:

1. プレーンヨーグルトと「ブルーベリー黒酢」を混ぜ合わせる
2. 深めのカップに、1とグラノーラ、食べやすくカットしたお好みのフルーツをのせ、ミントの葉を飾る

※ブルーベリーは冷凍品を使用してもおいしく召し上がれます

レシピの詳細はこちら!

「食前」「食間」に「組み合わせ」も考えて

朝食以外で、果物を食べるのに適したタイミングがあるのをご存じですか? それは食事の前(食前)と食事の間(食間)です。甘い果物をデザートとして食後に食べること多いはずなので、意外に思う人も多いと思います。食前か食間に食べた方が果物の栄養素をしっかり吸収できるといわれています。
ただし、夕食後は果物の摂取を避けて方がよいそうです。就寝に向けて体が徐々に機能を抑えていく夜は、果糖などが体内でエネルギーに変わりにくい時間帯なので、栄養というよりもむしろ脂肪として体に蓄えられる可能性があるからです。
また、果物によって含まれている栄養素は少しずつ異なります。そこで果物の「組み合わせ」についても少し意識すると、さらにバランスよく栄養素が摂れると思います。
例えば、江戸時代から果樹栽培が盛んな新潟市の白根地区で多く育てられている「ル レクチェ」は、食物繊維やカリウム、銅などを豊富に含む洋ナシです。生産量が少ないため「幻の洋ナシ」ともいわれているル レクチェは、加熱によって損なわれるビタミンCをあまり含んでいないため、前述のキウイフルーツや柑橘類といったビタミンCが多い果物と組み合わせて食べることも推奨されています。
これを機に、自分の好きな果物はもちろんのこと、その時期に比較的安い価格で入手できる果物の栄養素にも目を向けて、複数の果物を組み合わせて食べることにもチャレンジしてくださいね。
【B】【I】

私たちの体をつくる果物

果物をあらためて見てみると、「食後に食べるもの」「甘いから摂りすぎはよくない」といった思い込みが案外多いことに気づきます。糖分を気にする人は、ドライフルーツやジャム、缶詰といった果物にまつわる加工品は水分が抜かれていたり濃縮されていたりするので、加工品と生の果物とで糖分を見比べるなど、注意した方がよいそうです。
今はまだ「果物=デザート」という見方が主流かもしれません。しかし、果物はかつて「命をつなぐ食べもの」だったという歴史を踏まえ、また栄養素をよく知ることで、果物は私たちの体をつくる大事な食べものという眼差しに変わるのではないでしょうか。
そういう堅苦しいことは抜きにしても、日本ほど果物の種類が多く、品種も多い国はないそうです。旬の果物なら手ごろな値段でおいしいものが購入できます。今は捨ててしまっているスイカの皮を漬物にする、おいしくなくなった果肉を無水スープにする、熟しすぎてしまったバナナを冷凍してバナナアイスにするなど、果物は食品ロスの改善に向けた余地も多いです。ぜひいろいろ試しながら、栄養価の高い果物を楽しんでください!
【D】【J】

 

気軽に手軽に発酵性食物繊維
\中身を自由に入れ替えられる/
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<執筆に利用した学術論文、総説・解説、書物等の一覧>

【A】間苧谷 徹著『くだものの魅力』(日本園芸農業協同組合連合会 2016)

【B】ミツカン水の文化センター 機関誌『水の文化』68号 特集「みずみずしい果実」

【C】果物- e-ヘルスネット - 厚生労働省

【D】毎日くだもの200グラム推進全国協議会『FACT BOOK―果実と健康―六訂版』

【E】公益財団法人 長寿科学振興財団Web「健康長寿ネット」

【F】ミネラル- e-ヘルスネット - 厚生労働省

【G】カリウム- e-ヘルスネット - 厚生労働省

【H】山梨県厚生連健康管理センターWeb「果物のうれしい効果と上手な食べ方」

【I】JA新潟かがやきWeb「洋梨の栄養は?健康効果や食べ過ぎ、調理の注意点を解説!」

【J】中野瑞樹著『中野瑞樹のフルーツおいしい手帳』(河出書房新社 2023)

腸で発酵する食物繊維?腸内細菌と関係の深い発酵性食物繊維について解説! 身近な野菜「レタス」の食物繊維と栄養素――おすすめレシピも紹介!

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