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バナナに含まれる食物繊維を知ろう!

バナナに含まれる食物繊維を知ろう!

スーパーやコンビニで手軽に買えて、忙しいときでも皮をむけばすぐに食べられるバナナ。バナナの歴史を遡ると、日本で初めてバナナを食べたのは織田信長で、1569年にイエズス会の宣教師がバナナを献上したためとされています。日本での正式輸入開始から約100年後の1999年には、日本人の1世帯あたりのバナナ消費量がりんごを抜いて2位になり、5年後の2004年には、みかんを抜いて1位になったという報告も。今回は、子どもにも大人にも人気のあるバナナの食物繊維について、ほかの果物との比較も合わせてご紹介します。

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  1. バナナに含まれる食物繊維
  2. バナナの食物繊維をほかの果物と比較
  3. 食物繊維以外の栄養素もたっぷり
  4. 1日あたりどれくらい食べるのが理想?
  5. バナナのいろいろな楽しみ方

 

バナナに含まれる食物繊維

世界の国々で主食としても重宝される果物

私たち日本人がもっとも日常的に食べているバナナは、主にフィリピンの大規模プランテーションで栽培されている「キャベンディッシュ」という黄色い品種のバナナです。なめらかでさっぱりとした食感が特徴で、皮をむいて生で食べるのが一般的ですよね。ところが原産地である東南アジアやアフリカの熱帯雨林の国々では、バナナを蒸したり焼いたりして主食として食べる文化があります。バナナにはビタミンやミネラル、糖質などがバランスよく含まれているうえに食べごたえもあるため、貴重な食料源となっているのです。

不溶性食物繊維を多く含むバナナ

もちろんバナナには、食物繊維も含まれています。食物繊維は人の消化酵素では分解されない成分で、たんぱく質などとは異なり小腸で消化・吸収されずに大腸まで届くのが特徴です。食物繊維は水に溶けやすくゼリー状に変化する「水溶性食物繊維」と、水に溶けない「不溶性食物繊維」の2種類に分けられます。
「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」でバナナに含まれる食物繊維量を見てみると、生の状態のバナナ(100g)には1.1gの食物繊維が含まれており、うち1.0gが不溶性食物繊維、0.1gが水溶性食物繊維です。
他の野菜や果物と同様に、バナナも乾燥させたほうが食物繊維量は多くなります。乾燥バナナ(100g)には7.0gの食物繊維が含まれ、うち5.0gが不溶性食物繊維、2.0gが水溶性食物繊維となっています。このことから、バナナは不溶性食物繊維を豊富に含んでいることがわかります。
さらに、バナナは「レジスタントスターチ」も多く有しています。レジスタントスターチとは食物繊維の一種で、他の食物繊維とは異なる健康への影響があるかもしれないと注目されている成分なのです。
バナナを食べることで、食物繊維に加えてレジスタントスターチもしっかり摂り入れましょう。

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バナナを食べることで期待できる効果

バナナに含まれている栄養素から、
・便秘をやわらげる
・むくみを抑える
・エネルギーを補給する
の3つの効果が期待できると考えられています。

 

・便秘をやわらげる
すでに本記事でお伝えした通り、バナナには不溶性食物繊維が豊富です。この食物繊維には、「便を大きくする」「腸が食べ物を送る“ぜん動運動”を促進する」「脂肪や胆汁酸を吸着し排出する」など、便秘をやわらげる働きがあると考えられています。

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・むくみを抑える
私たちが、食事などに含まれる塩分から摂取するナトリウムは、むくみの原因の1つであることがわかっています。ナトリウムを体外に排出してくれるカリウムが豊富なバナナには、むくみを抑える働きも期待できるんですね。

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・エネルギーを補給する
生のバナナ1本は、約93kcal。エネルギーとしては、茶碗1杯のごはん、食パン1枚よりも少ないですが、調理もいらず手軽に食べられるという点で手軽なエネルギー補給にもおすすめです。

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バナナの食物繊維をほかの果物と比較

乾燥バナナは10位に!

乾燥バナナ100gあたりに含まれる食物繊維量は7.0g。以下は「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに、果物に含まれる食物繊維量を多い順から並べたランキングです。これを見るとあらゆる果物のなかでバナナは10位なので、食物繊維量が多い果物だといえます。(表1)
ちなみに、乾燥バナナ(ドライバナナとも)とは完熟バナナを乾燥させたもので、水分を抜くことで生のバナナよりも栄養密度や甘みがギュッと凝縮されています。そのままでもおいしいですが、シナモンを振りかけたりチョコレートでコーティングしたり、いろいろなアレンジを加えて楽しむのもおすすめです。

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出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年 炭水化物成分表 編 -利用可能炭水化物、糖アルコール、食物繊維及び有機酸-

生のバナナの食物繊維は?

私たちがもっともよく食べる生の状態のバナナの食物繊維量は、100gあたり1.1g。バナナにもいろいろなサイズがありますが、中くらいのバナナだと可食部(皮を除いた状態)がだいたい100gほどになります。よって、バナナ1本を食べると約1.1gの食物繊維が補えることになります。
同じく「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに生の状態での食物繊維量を見ると、バナナは88位。ただ、(表1)を見ると上位にはブルーベリーや干し柿、なつめなど、日常的にあまり食べることのない果物が並んでいることがわかります。
ではバナナを含め、アボカド、キウイ、りんご、いちごなど、私たちが日常的に食べやすい果物の生の状態の食物繊維量を比較してみましょう。すると、バナナはパイナップルに次ぐ量なので、手軽に食べられる果物のなかではバナナの食物繊維量は多いほうだといえそうです。(表2)
ちなみに、よく熟してシュガースポット(黒い点々)の出たバナナは、でんぷんが糖化した証しです。さっぱりした甘さが好みなら黄色いうちに、より濃厚な甘さを求めるならシュガースポットのたくさん出たものを食べるのがおすすめです。

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出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年 炭水化物成分表 編 -利用可能炭水化物、糖アルコール、食物繊維及び有機酸-

 

食物繊維以外の栄養素もたっぷり

濃厚な甘さが特徴のバナナは、カロリーが高いと思っている人も多いのではないでしょうか。本記事「バナナを食べることで期待できる効果」でもお伝えした通り、生のバナナ1本(約100g)は93kcal前後なので、ご飯やパンと比べても意外と低カロリーなんです。ご飯ならご飯茶碗半分、食パンなら半分の量とだいたい同じくらいのカロリーになります。
また、バナナはカリウムを豊富に含んでいる果物でもあります。カリウムは主に野菜や果物に含まれるミネラルですが、可食部100gあたりのカリウム含有量を「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」で見ると、りんご(皮付き・皮なし生)が120mg、うんしゅうみかん(生)が150mg、いちご(生)が170mg、キウイフルーツ 緑肉種・黄肉種(ともに生)が300mgなのに対し、バナナ(生)は360mgとカリウムがとても豊富です。
このほかに、体内でエネルギーに変わる糖質や、エネルギー代謝を助けるビタミンB群、骨にとって重要なマグネシウム、ポリフェノールなど、食物繊維以外にもさまざまな栄養素をバランスよく含んでいるのがバナナの魅力でもあります。

【C】

 

1日あたりどれくらい食べるのが理想?

では、1日にバナナをどれくらい食べるといいのでしょうか。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」によると、1日あたりの食物繊維の目標摂取量は成人男性で20〜22g以上、成人女性で17〜18g以上となっています。つまり、生のバナナ1本(100g)で1日分の目標摂取量の約5〜6%をとることができるということです。食物繊維が豊富なバナナですが、糖質も多く含まれているため1日1本程度を目安にして、食べ過ぎには注意しましょう。
なお、国が推奨する1日あたりの果物摂取量の目標値が200gです。一見ハードルが高いように見えますが、うち100gをバナナ1本で補えば、目標達成への近道になりそうですね。

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日本人の食物繊維の平均摂取量

上記の通り、厚生労働省により定められた1日あたりの食物繊維の目標摂取量は、成人男性で20〜22g以上、成人女性で17〜18g以上ですが、現状は男女とも14g前後とかなり足りていないようです。1950年頃には20g前後でしたが、穀類や芋類、豆類の摂取量が年々減ってきていることが要因の1つだと考えられています。

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バナナのいろいろな楽しみ方

バナナはぜひ習慣化して食べたいものです。生のバナナをそのまま食べるのに飽きてしまったら、牛乳や豆乳と一緒にミキサーにかけてバナナジュースにしたり、食物繊維が多い果物や野菜と一緒にスムージーにしたりとアレンジをきかせてみましょう。
また、消費者のニーズが多様化するバナナは、従来の手軽に買えるもののほか、輸送中に脱渋・追熟させたものや高地栽培で糖度を高めたものなど、高品質を売りにした商品も多く登場しています。品種自体もとても豊富なので、どれが好みか食べ比べてみるのもおもしろいかもしれません。例えばフィリピン産の「ラカタンバナナ」という品種は、爽やかな酸味でミネラルやクエン酸も多く含まれていることから、スポーツ時にぴったりのバナナといえます。
楽しみながら日々の生活にバナナをとり入れることで、より手軽に食物繊維の摂取量を増やせるかもしれませんよ。

【D】

バナナを食べるタイミング

摂取できる栄養素という観点では、どの時間に食べても大きな違いはありません。「朝ごはん食べたいと思っているけど、つい抜いてしまいがち」という人には、調理いらずで手軽にエネルギー補給ができるバナナはいいかもしれませんね。

 

 

 

<執筆に利用した学術論文、総説・解説、書物等の一覧>

【A】「日本食糧新聞」公式サイト ザックリわかるバナナの歴史

【B】農林水産省サイト 食料自給率のお話 その7:果実の自給率

【C】田中 明/蒲池桂子監修『あたらしい栄養辞典』(日本文芸社 2016)

【D】三輪正幸監修『からだにおいしい フルーツの便利帳』(高橋書店 2012)

【E】食物繊維の必要性と健康 - 健康づくりサポートネット - 厚生労働省

【F】「カラダニイイコト」公式サイト バナナに含まれる食物繊維の量とその効果は?

【G】厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書

【H】サントリーの健康食品・化粧品 サントリーウエルネスOnline バナナの食物繊維はどれくらい?一日の摂取目安量とおすすめレシピを紹介

【I】食物繊維 - 健康づくりサポートネット - 厚生労働省

【J】カリウム – 健康づくりサポートネット - 厚生労働省

【K】清水 正樹:浮腫の診かた・考え方 日本小児腎臓病学会雑誌 J-STAGE 早期公開 2021年 2月 15日

【L】日本食品標準成分表(八訂)増補2023年 - 文部科学省

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