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野菜から摂れる栄養素! 効率よく栄養を摂る方法もご紹介

野菜から摂れる栄養素! 効率よく栄養を摂る方法もご紹介

新鮮なレタスのサクサクした歯ごたえ、旬を迎えたトマトやキュウリの驚くようなみずみずしさ、採れたてのトウモロコシからにじみ出る甘み……さまざまな料理に活かすことができる野菜は、私たちの食生活に欠かせないものですよね。
野菜が含んでいる多種多様な栄養素は、私たちの体にとてもよい影響を与えるといわれています。

今回は、どんな野菜からどのような栄養素を摂ることができるのか、またそれらの栄養素を効率よく摂取するための工夫などを見ていきましょう。

 

  1. 野菜からはどんな栄養素が摂れるの?
  2. 野菜を食べると得られる「いいこと」
  3. 栄養素から見る野菜の重要性!?
  4. 各栄養素の働きと多く含まれる野菜 
  5. 野菜から効率よく栄養を摂るには? 
  6. 野菜の栄養などよくある質問
  7. 興味を持ちたい野菜と栄養素の関係

 

野菜からはどんな栄養素が摂れるの?

私たちの体をつくり、健康に生きるための基本となるのが栄養素です。エネルギーのもとになる「たんぱく質」「脂質」「炭水化物」と、体の調子を整える「ミネラル」「ビタミン」を合わせて五大栄養素と呼びます。さらに、人の消化酵素で消化することのできない「食物繊維」は第六の栄養素といわれることもあります。
野菜が体にいいといわれるのはなぜでしょう? それはここに挙げた栄養素のなかで、特にビタミン、ミネラル、食物繊維をバランスよく補える食べものが野菜だからです。
ところが、現代の日本人の野菜摂取量は不足気味。厚生労働省の「健康日本21(第三次)」で「野菜類を1日350g以上食べましょう」と明記されていますが、令和5年「国民健康・栄養調査結果」(概要)によると、野菜摂取量の平均値は男性が262.2g、女性が250.6g、全体で256.0gに留まっています。
ですから、今よりももっと多くの野菜を食べるようにしっかり意識した方がよいのです。

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野菜を食べると得られる「いいこと」

野菜をしっかり摂ることは、私たちの体にどのような影響を及ぼすのでしょうか。

  • 身体機能を維持するミネラルが摂れる
  • 炭水化物をエネルギーに変換するビタミンを摂取できる
  • 食物繊維をしっかり摂れる
  • さまざまな機能性成分も吸収できる


ミネラルには、身体機能の維持や調整を手助けする働きがあるそうです。そしてビタミンは、ごはんやパンなどの主食に多く含まれる炭水化物が体内でエネルギーに変わることをサポートします。
また、食物繊維については、それ自体がエネルギー源にはなりませんが、水に溶けやすい水溶性食物繊維と水に溶けにくい不溶性食物繊維があり、体内でさまざまな役割を担っています。
さらに、バナナやゆでたあずきなどには「レジスタントスターチ」が多く含まれています。レジスタントスターチは食物繊維の一種で、他の食物繊維とは異なる健康への影響があるのではないかと注目されつつある成分です。
そして見逃せないのが「機能性成分」です。機能性成分とは、生命を維持するために営む活動(生命活動)に必要な栄養素ではないものの、健康でいるためには有益とされる成分のこと。例えば、うんしゅうみかんに含まれる「β-クリプトキサンチン」、お茶の含有成分として有名な「カテキン」、大豆が含む「イソフラボン」、トマトやスイカの「リコピン(リコペン)」、ブドウやブルーベリーの「ポリフェノール」、発芽玄米が含むアミノ酸の一種「γ-アミノ酪酸(GABA)」などが知られています。
こうしたさまざまな栄養素や成分を併せもつ野菜は、低エネルギーかつ低脂肪であり、また「かさ」が多いため、一度に食べる量が少なくても満腹感を与えやすいといううれしいメリットもあるんですよ。

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栄養素から見る野菜の重要性

ここからは、野菜が多く含むビタミン、ミネラル、食物繊維という代表的な栄養素に関して、すべての食品のなかで野菜からどれくらい摂取しているのかも併せて見ていきましょう。

ビタミンを豊富に含む野菜

ビタミンは人体の機能を正常に保つために必要な栄養素です。簡単に言うと「体の調子を整える」働きがあるそうです。また、その性質から「水溶性ビタミン」と「脂溶性ビタミン」に分けられています。
ビタミンB群、ビタミンCが水溶性ビタミンにあたり、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKが脂溶性ビタミンにあたります。ビタミンは体のなかではほぼつくることができないので、食べものから摂取するしかありません。
そのため、ビタミンを豊富に含んでいる野菜は重要な食べものと位置づけられているのですね。

例:ビタミンA、ビタミンK、葉酸、ビタミンC

※「その他」に含む食品群:藻類/菓子類/油脂類/調味料・香辛料類/穀類/嗜好飲料類/いも類/種実

出典:厚生労働省 令和元年「国民健康・栄養調査」報告書

※「その他」に含む食品群:藻類/調味料・香辛料類/卵類/嗜好飲料類/乳類/菓子類/魚介類/穀類/果実類/種実類

出典:厚生労働省 令和元年「国民健康・栄養調査」報告書

※「その他」に含む食品群:肉類/いも類/魚介類/藻類/乳類/きのこ類/菓子類/種実類/砂糖・甘味料類

出典:厚生労働省 令和元年「国民健康・栄養調査」報告書

※「その他」に含む食品群:肉類/魚介類/藻類/乳類/菓子類/調味料・香辛料類/種実類

出典:厚生労働省 令和元年「国民健康・栄養調査」報告書

カリウムなどのミネラルも野菜で

ミネラルは、体の調子を整えるほか、骨や血液のもとになります。ビタミンと同じようにミネラルも体のなかでつくることができないため、食べものから摂る必要があります。ミネラルが不足するとさまざまな不調が発生し、逆にミネラルを多く摂りすぎても過剰症を起こす場合があるため、バランスよく摂取する必要があるそうです。
多量ミネラルとしてナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが、微量ミネラルとして鉄、亜鉛、銅、マンガン、ヨウ素などが「日本人の食事摂取基準」として基準が定められています。
このうち、カリウムやカルシウムといった多量ミネラルは、野菜からかなり摂取できるんです。

例:カリウム、カルシウム

※「その他」に含む食品群:卵類/菓子類/きのこ類/藻類/種実類/砂糖・甘味料類/油脂類

出典:厚生労働省 令和元年「国民健康・栄養調査」報告書

※「その他」に含む食品群:卵類/嗜好飲料類/菓子類/果実類/いも類/種実類/藻類/肉類/砂糖・甘味料類/きのこ類/油脂類

出典:厚生労働省 令和元年「国民健康・栄養調査」報告書

良質な食物繊維を有する野菜

水に溶けない不溶性食物繊維と、水に溶ける水溶性食物繊維に大きく分けられる食物繊維は、人の消化酵素で消化することのできない物質のため、整腸作用など体のなかで有用な働きをします。
食物繊維は通常の食生活ならば摂りすぎることはほとんどないので、ぜひ野菜から良質な食物繊維を摂りたいものです。ただし、いわゆるサプリメントなどで多量に摂り過ぎるとミネラルなどの吸収を妨げることもあり、注意が必要といわれています。

例:食物繊維

出典:厚生労働省 令和元年「国民健康・栄養調査」報告書

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各栄養素の働きと多く含まれる野菜

次に、それぞれの栄養素を多く含んでいる代表的な野菜をご紹介します。
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」から「野菜類」に絞り、可食部100g当たりの栄養素の含有量を調べたものです。比較的よく食べられていると思われる野菜のランキング10位までを抜粋※しましたので、ぜひ参考にしてください。

※入手経路が限られる山菜および重複の多い種は省略

ビタミンCの働きと多く含まれる野菜

皮膚や軟骨などを組織するコラーゲンの合成に必須なのがビタミンCです。ビタミンCは皮膚のシミを防ぐ成分として知られていますよね。強い抗酸化作用があるため、体内の活性酸素を取り除き、細胞を保護する役目もあります。

(ピーマン類)トマピー(ミニパプリカ/果実 生)
めキャベツ(結球葉 生)
ブロッコリー(花序 焼き)
とうがらし(果実 生)
パセリ(葉 生)
ながさきはくさい(葉 生)
(なす類)漬物(からし漬)
(ししとう類)万願寺とうがらし(果実 生)
かぶ(葉 生)
カリフラワー(花序 生)
ケール(葉 生)

ビタミンKの働きと多く含まれる野菜

ビタミンKは、肝臓で血液を凝固させる物質をつくる際に必須な成分のため、「止血のビタミン」とも呼ばれています。カルシウムを骨に取り込む際に手助けするため、骨の形成にもかかわっています。

パセリ(葉 生)
しそ(葉 生)
モロヘイヤ(茎葉 生)
ほうれんそう(葉 通年平均 油いため)
しゅんぎく(葉 ゆで)
バジル(葉 生)
ブロッコリー(花序 焼き)
かぶ(葉 ゆで)
(だいこん類)だいこん(葉 ゆで)
(にら類)にら(葉 ゆで)

β-カロテン(ビタミンA)の働きと多く含まれる野菜

β-カロテンは、体内に吸収されるとビタミンAに変わるプロビタミンAの一種です。特にβ-カロテンには活性酸素を抑える抗酸化作用があるため、がんの予防効果や老化を遅らせる効果が期待できるとされています。

とうがらし(果実 乾)
(にんじん類)にんじん(根 冷凍 油いため)※その他、にんじん多数
しそ(葉 生)
モロヘイヤ(茎葉 生)
ほうれんそう(葉 通年平均 油いため)
パセリ(葉 生)
モロヘイヤ(茎葉 ゆで)
バジル(葉 生)
(かぼちゃ類)西洋かぼちゃ(果実 焼き)
しゅんぎく(葉 ゆで)

葉酸の働きと多く含まれる野菜

ビタミンB群の一つである葉酸は、緑黄色野菜に多く含まれていて、ビタミンB12とともに赤血球の形成をサポートし、皮膚や粘膜を正常に保つなど重要な役割を担っています。また、DNAの合成にもかかわるため、胎児の発育にも欠かせません。

ブロッコリー(花序 焼き)
えだまめ(生)
からしな(葉 生)
モロヘイヤ(茎葉 生)
めキャベツ(結球葉 生)
アスパラガス(若茎 油いため)
パセリ(葉 生)
(だいこん類)切干しだいこん(乾)
ほうれんそう(葉 通年平均 生)
しゅんぎく(葉 生)

カリウムの働きと多く含まれる野菜

ナトリウムとバランスを取りながら細胞の内と外の水分調整にかかわるカリウム。血液の循環量や神経の伝達、筋肉の弛緩・収縮など体内の重要な機能を正常に保つ役割があります。カリウムを適量摂ることで、高血圧や脳卒中の予防にも効果があるといわれています。

(だいこん類)切干しだいこん(乾)
(トマト類)ドライトマト
とうがらし(果実 乾)
かんぴょう(乾)
やぶまめ(生)
パセリ(葉 生)
ブロッコリー(花序 焼き)
ほうれんそう(葉 通年平均 生)
えだまめ(冷凍)
(にんじん類)にんじん(根 皮 生)

カルシウムの働きと多く含まれる野菜

体内にもっとも多く含まれているミネラル類はカルシウムです。ご存じのように、カルシウムは骨や歯の重要な構成成分です。カルシウムの濃度が低くなると骨からカルシウムが溶け出し、血液中のカルシウム濃度が一定に保たれています。

とうがらし(葉・果実 油いため)
(だいこん類)切干しだいこん(乾)
パセリ(葉 生)
かぶ(漬物 ぬかみそ漬 葉)
(だいこん類)だいこん(葉 生)
モロヘイヤ(茎葉 生)
かんぴょう(乾)
バジル(葉 生)
しそ(葉 生)
ケール(葉 生)

食物繊維の働きと多く含まれる野菜

「体内で消化されない難消化性成分」が食物繊維です。以前は重要視されていませんでしたが、今は腸内環境を整えるために欠かせない栄養素と見なされています。水に溶けにくい不溶性食物繊維と、水に溶けやすい水溶性食物繊維に大別されます。

(トマト類)ドライトマト
(だいこん類)切干しだいこん(乾)
(らっきょう類)らっきょう(りん茎 生)
(ごぼう類)堀川ごぼう(根 生)
つるにんじん(根 生)
(えんどう類)グリンピース(冷凍 ゆで)
やぶまめ(生)
しそ(実 生)
アーティチョーク(花らい ゆで)
ホースラディシュ(根茎 生)

 

野菜から効率よく栄養を摂るには? 

さまざまな野菜が含むいろいろな栄養素を余すところなく吸収するには、どうしたらよいのでしょうか? 野菜特有の栄養素を効率よく摂取するための方法を考えてみます。

方法1「ビタミンの損失を防ぐ」

調理のうえで気をつけるべき点は、加熱することによるビタミンの損失です。特に、ビタミンB群やビタミンCなど水溶性のビタミンは、熱に弱くて水に溶けやすいので注意が必要です。水溶性ビタミンをしっかり摂るのにおすすめの調理法は「汁ごといただく」こと。溶け出したビタミンをスープとして飲めば、栄養の損失はカバーできます。また、ビタミンA、D、E、Kの脂溶性ビタミンは、油を用いた調理をすると、体への吸収率がアップしますよ。

方法2「ミネラルのバランスを考える」

ナトリウムとカリウム、そしてカルシウムとマグネシウムなど、ミネラル類は2種の組み合わせでバランスを取っているものもあります。そこで気をつけたいのは摂取のバランスです。また、カルシウムは意識的に摂取しないと不足になりがちです。大豆や緑黄色野菜を多く摂るようにしましょう。月経のある女性は、ほうれん草や大豆に含まれる鉄分をしっかり摂取してくださいね。

 

野菜の栄養などよくある質問

Q)野菜の摂取目安量はどれくらい?

A)厚生労働省「健康日本21(第三次)」では、「野菜類を1日350g以上」食べることが推奨されていますが、令和5年「国民健康・栄養調査結果」(概要)によると野菜摂取量の平均値は256.0gなので、かなり足りていないことがわかります。
その現状に鑑みると、1回の食事でサラダ、あるいは野菜メインの小鉢を1皿以上食べることが求められています。
【C】

 

Q)野菜の栄養素を効率的に摂れる調理法は?

A)油でいためるよりも、ゆでて食べることを基本にした方がよいと思います。また、野菜をスープやみそ汁などの具材として用いることも有効です。

ビタミンCは加熱料理するとかなり失われてしまうため、生野菜として食べるのがお勧め。ただし、ドレッシングをたっぷりかけると必要以上に油を摂取してしまうため、かぼすやレモンなどの果実や香辛料をドレッシング代わりに使うといいでしょう。

 

Q)毎日食べたほうがよい野菜は?

A)残念ながら「これを食べておけば大丈夫!」という野菜はありません。野菜に限らずいろいろな食べものからさまざまな栄養素を摂りいれることが、バランスのよい食事の基本だからです。
野菜や果物に関しては「旬」を意識して選ぶとよいと思います。旬の野菜は栄養素が豊富で瑞々しいうえ、市場に多く出回るため安く買いやすいというメリットもあります。
また、野菜以外にも大麦やオーツ、小麦、押し麦、玄米など茶色い全粒穀物に発酵性食物繊維が多く含まれています。こうした穀物を主食としてしっかり摂ることも忘れないようにしましょう!

 

興味を持ちたい野菜と栄養素の関係

野菜はどのような栄養素を含んでいるのか、そしてビタミンやミネラル、食物繊維などの栄養素はどの野菜が多いのかをご紹介しました。もちろんここでお伝えした野菜も栄養素も代表的なものだけで、実際にはもっと多様な野菜、さまざまな栄養素がありますので、ご自身でも調べてみてはいかがでしょう。
このコラムが日々の食事に野菜を摂りいれる小さなきっかけになればうれしいです。

 

 

 

<執筆に利用した学術論文、総説・解説、書物等の一覧>

【A】食物繊維- e-ヘルスネット - 厚生労働省

【B】神奈川県Web「基本となる5つの栄養素(五大栄養素)をバランスよくとろう!」

【C】野菜、食べていますか?- e-ヘルスネット - 厚生労働省

【D】一般財団法人 食品分析開発センターSUNATEC(サナテック)Web「機能性成分」

【E】ビタミン- e-ヘルスネット - 厚生労働省

【F】ミネラル- e-ヘルスネット - 厚生労働省

バナナに含まれる食物繊維を知ろう! なぜ甘いものが食べたいときがあるの? 食欲と体の関係を解説!

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