日々の食事に織り交ぜたい、栄養価の高い野菜

野菜は食物繊維やビタミン、ミネラルを多く含んでいて、私たちにとってとても貴重な食べものです。ですから「野菜をできるだけ多く食べるようにしよう!」と思っている人は多いと思います。しかし、あらためてどんな野菜をどれくらい摂ればいいのか、野菜をどのように保存しておけばよいのかなど考えると、意外と知らないことが多いのではないでしょうか? ここでは、栄養価の高い野菜や新鮮さを保つための保存のポイントなどについて考えてみます。
低エネルギーで低脂肪? もっと野菜を!
野菜が多く含んでいる食物繊維やビタミン、ミネラルはどのようなものなのでしょうか。まず食物繊維は、エネルギー源にはなりませんが、水に溶けやすい水溶性食物繊維と水に溶けにくい不溶性食物繊維があり、さまざまな役割を担っています。そしてビタミンは、ごはんやパンなどの主食に多く含まれる炭水化物が体内でエネルギーになります。また、ミネラルには身体機能の維持や調整を手助けする働きがあるそうです。
ところが、厚生労働省の「健康日本21(第三次)」では、「野菜類を1日350g以上食べましょう」と明記されているものの、日本人の野菜摂取量はまだまだ足りないとされています。厚生労働省の令和5年「国民健康・栄養調査結果」(概要)によると、野菜摂取量の平均値は256.0g。男性は262.2g、女性は250.6gで、いずれも近年は減少傾向となっており、特に20歳代の摂取量は不足しています。(図)
野菜からの食物繊維やカリウムなどの摂取を勘案すると、野菜の摂取量を「1日あたり70g増やす」ことが推奨されています。
【A】【B】
(図)野菜摂取量の平均値(20歳以上、性・年齢階級別)
出典:厚生労働省 令和5年「国民健康・栄養調査結果」(概要)
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葉物野菜はさらに低カロリー
食物繊維やビタミン、ミネラルなど栄養素を多く含む野菜の摂取が推奨されるのは、低エネルギーかつ低脂肪であることと、野菜は「かさ」が多いため、たとえ少量でも満腹感を与えやすいからです。
ただし、野菜の「かさ」が多いことが、逆に食べにくさにつながっていることは否めません。ですので、仮にキャベツなどの葉物野菜を食べるときは、電子レンジにかけたり、ゆでたりして熱を加えてはどうでしょうか。「かさ」が減ることで、きっと食べやすくなるはずです。
野菜は種類によってカロリーが異なります。文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」から「いも及びでん粉類」「豆類」「種実類」「野菜類」について、可食部100g当たりのエネルギー(kcal)を調べてみました。比較的よく食べられていると思われる野菜を抜粋し、また一部の野菜は調理方法別も記載しました。(表)
(食品のエネルギー値についてはkJ単位とkcal単位がある。国内の食品表示においてはkcal単位による記載が求められていることからkcal単位を採用)
さつまいもやじゃがいも、ながいも、さといもなどの根菜類はカロリーが高いことがわかりました。根菜類は野菜のなかでも糖質が多く高カロリーなことが知られています。また、かぼちゃも比較的カロリーが高めで、しかも日本かぼちゃと西洋かぼちゃでは前者の方がカロリーは低いのです。青ピーマンと赤ピーマンでも若干ですが前者の方がカロリーは高いため、一部の野菜類では品種によってカロリーが違う場合があることも覚えておくとよいですね。
一方、キャベツやこまつな、レタスといった葉茎菜類(葉物野菜)、そしてきのこ類はカロリーが低めです。特にきのこ類は食物繊維を多く含んでいるため、食べごたえがあると思います。
野菜は食べたいけれどカロリーの摂取はできるだけ抑えたいと思う人は、栄養バランスに気をつけながら、葉物野菜やきのこ類を意識的にやや多く摂るとよいかもしれません。
【C】
[表]主な野菜のカロリー比較(一部は調理方法別)
可食部100g当たり食品名 | カロリー(kcal) |
---|---|
さつまいも 皮なし 焼き | 151 |
さつまいも 皮なし 蒸し | 131 |
じゃがいも 皮なし 蒸し | 76 |
じゃがいも 皮つき 電子レンジ調理 | 78 |
ながいも 生 | 119 |
ながいも 水煮 | 58 |
さといも 水煮 | 42 |
えだまめ ゆで | 118 |
日本かぼちゃ ゆで | 55 |
西洋かぼちゃ ゆで | 80 |
ブロッコリー 花序 ゆで | 30 |
ブロッコリー 花序 電子レンジ調理 | 56 |
ブロッコリー 花序 油いため | 109 |
しいたけ 乾シイタケ ゆで | 40 |
しいたけ 生シイタケ 菌床栽培 ゆで | 22 |
しいたけ 生シイタケ 菌床栽培 油いため | 46 |
しいたけ 生シイタケ 原木栽培 ゆで | 27 |
しいたけ 生シイタケ 原木栽培 油いため | 52 |
にんじん 根 皮つき ゆで | 27 |
にんじん 根 皮なし ゆで | 26 |
にんじん 根 皮つき 油いため | 103 |
青ピーマン 生 | 22 |
青ピーマン 油いため | 54 |
赤ピーマン 生 | 28 |
赤ピーマン 油いため | 69 |
赤色トマト 生 | 20 |
赤色ミニトマト 生 | 30 |
キャベツ 結球葉 生 | 23 |
キャベツ 結球葉 ゆで | 19 |
キャベツ 結球葉 油いため | 78 |
アスパラガス 若茎 ゆで | 25 |
アスパラガス 若茎 油いため | 54 |
モロヘイヤ 茎葉 ゆで | 24 |
こまつな 生 | 13 |
こまつな ゆで | 14 |
レタス 土耕栽培 結球葉 生 | 11 |
レタス 水耕栽培 結球葉 生 | 13 |
リーフレタス 葉 生 | 16 |
出典:文部科学省 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年(食品成分データベース利用)
野菜の栄養価を最大限に活かす調理法と保存方法
栄養価の高い野菜も、調理法によっては本来よりも高カロリーになるので気をつけたいものです。
先ほどの表をご覧ください。例えばさつまいもは、焼くよりも蒸して食べる方が、カロリーは低いことがわかりますね。じゃがいもはあまり変わりませんが、ブロッコリーは電子レンジで調理したり油でいためたりするよりも、ゆでて食べた方がカロリーは低いです。
この傾向はキャベツやアスパラガス、ピーマンも同様で、油を用いて調理することで、カロリーはどうしても高くなってしまいます。カロリーを抑えながら野菜を摂るには、ゆでることを基本に考えた方がよさそうです。ゆでることで前述のように「かさ」を減らすこともできますので、一石二鳥といえるでしょう。
また、葉物野菜が新鮮ならばそのままサラダで食べたいところですが、その場合もドレッシングを必要以上にたっぷりかけることは避けてください。油を余計に摂ってしまうことになりかねません。
そこでオススメしたいのはレモンやかぼすなどの果実、あるいは香辛料をドレッシング代わりに使うこと。また、野菜を漬物にして食べる場合、どうしても塩分を多く摂ることになりがちですので注意が必要です。
【A】
保存に気をつけて鮮度を保とう!
調理法とともに大切なのは、野菜の栄養価をできるだけ落とさないようにする保存方法。野菜の多くは冷蔵庫で保存することが多いと思いますが、いくつか注意したいポイントがあります。
大きな原則として、野菜は畑で育っていたときと同じ状態で保存すると鮮度が保ちやすいことです。こまつなやアスパラガス、ねぎなど地面から垂直に育つ野菜は、冷蔵庫でもできるだけ立てて保管するようにしましょう。
また、ダイコンやニンジン、ゴボウなど地中深くに育つ根菜類は、収穫後もできるだけ立てて持ち運ぶ方がよいとされていて、これは野菜を育てている人の間ではよく知られていることです。そして、ダイコンやニンジン、ゴボウは泥がついたままの状態の方が日もちします。東北地方など雪の多い地域では、秋に収穫したダイコンを畑の隅に掘った穴に埋めて貯蔵する知恵が今も受け継がれていますが、これは土が温度や湿度といった外界の変化からダイコンを守ってくれるためです。
こまつなやほうれん草などの葉物野菜は、冷蔵庫で保管した方が鮮度は保てます。できれば、ポリ袋や真空パックを使いたいところです。最近は真空コンテナや真空バッグを使う人も増えているようですね。
一方、冷蔵庫に入れると痛みが早くなってしまう野菜として、さつまいもやバナナがあります。また、じゃがいも、さといもは、冷蔵庫に入れない方がよいとされています。新聞紙に包んで通気性を保ちながら常温で保存しましょう。
【D】
毎日続けたい、野菜を上手に摂る方法
食物繊維やビタミン、ミネラルを多く含むうえ、「かさ」が多いため満腹感も与えてくれる野菜は、コストパフォーマンスが高い食べものといえます。毎日の食生活に上手に取り入れたいですよね。
でも、サラダ一辺倒ではだんだんと飽きてしまいそうです。どうすればよいのでしょうか。
オススメは肉や野菜と一緒に摂ること。良質なたんぱく質と同時に野菜の栄養素を摂りいれることで、バランスのよい食生活が実現できます。白菜やキャベツなどの葉物野菜と豚肉などを交互に重ねて蒸す「肉と野菜の重ね蒸し」などは試したいメニューです。
また、野菜それぞれの「旬」も意識したいところです。旬を迎えた野菜は瑞々しいだけでなく、栄養素も豊富に含んでいるうえ、市場に多く出回るため比較的安価に入手できます。コストパフォーマンスの観点からも見逃せないですよね。
ビタミンCやβカロチン、カルシウムを多く含んでいるブロッコリーなどを用いて簡単につくれる「時短」の野菜料理のレシピ。電子レンジ調理などを含めていくつか紹介しますので、ぜひ挑戦してみてくださいね。
【A】
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時短でつくれる野菜料理レシピ
レシピ1:
レンジで簡単!やみつき無限ブロッコリー
材料(2人分):
ブロッコリー:1株
〈A〉
ミツカン カンタン酢:大さじ3
しょうゆ:小さじ1
おろしにんにく:小さじ1/2
すりごま:小さじ1
作り方:
1. ブロッコリーは小房に分ける。茎は外側の皮をむき、短冊切りにする
2. 耐熱皿に1を入れ、ふんわりラップをかけ電子レンジ(600w)で3分半加熱する
3. ブロッコリーに火が通ったら、〈A〉を加えてあえる。器に盛り付け、すりごまをふる
レシピ2:
レンジで!豚肉と白菜の重ね蒸し
材料(2人分):
豚バラ肉 薄切り:160g
白菜:1/8個
ミツカン 味ぽん:適量
小ねぎ (小口切り):適宜
作り方:
1. 白菜の芯を取り除き、葉の間に豚バラ肉をはさむ
2. 1を4cm幅に切り、断面を上に向けて耐熱皿に並べる。ふんわりとラップをかけて電子レンジ(600W)で8分加熱する
3. お好みで小ねぎをのせる。
※「味ぽん」をかけてお召し上がりください
※熱いうちにラップを取ると乾燥しやすいので、召し上がる直前にラップを取って下さい
※電子レンジの加熱時間は目安ですので、その都度調整してください
レシピ3:
デパ地下風!さつまいもとれんこんの甘酢風味
材料(2人分):
さつまいも:1本(150g)
れんこん:1節(150g)
サラダ油:大さじ4
〈A〉 ミツカン カンタン酢:大さじ3
しょうゆ:小さじ1
いりごま (黒):小さじ1
作り方:
1. さつまいもは乱切りにして水にさらす。耐熱容器に入れてふんわりとラップをし、電子レンジ(600W)で3分加熱する。れんこんは皮をむき、乱切りにして、水にさらす
2. フライパンにサラダ油を中火で熱し、水けをふきとったれんこんを入れ揚げ焼きする。途中でさつまいもを加え、全体がカリッとするまで焼く
3. 残った油をふき取り、〈A〉を加え汁けがなくなるまで炒めからめる。仕上げに、いりごま(黒)を加えて混ぜ合わせる
レシピ4:
温野菜 マヨネーズぽん酢ソース
材料(4人分):
ウインナー:1袋
〈お好みの野菜〉 アスパラガス(グリーン):3本
じゃがいも:2個
にんじん:1/2本
マヨネーズ:大さじ2
ミツカン 味ぽん:大さじ1
または ミツカン 味ぽんMILD:大さじ1
作り方:
1. 〈お好みの野菜〉を食べやすい大きさに切る。ウインナーは斜め半分に切る
2. 耐熱皿に1を並べ、ラップをかけて電子レンジ(600W)で6~7分加熱する
3. 「味ぽん」または「味ぽんMILD」とマヨネーズを混ぜ合わせてソースを作り、2をつけていただく。
日々の食事に野菜をたくさん取り入れて
私たち日本人の野菜摂取量はまだまだ足りていません。「1日に野菜を350g食べる」という目標のためには「1日あたり70g増やす」ことが必要です。これは、「ほうれん草のお浸し」に換算すると小鉢1皿~2皿分だそうです。
野菜を生で食べるだけでなく、ゆでたり、あるいは電子レンジをうまく使ったりして、簡単に野菜を多く摂れる料理を心がけてください。時短レシピもぜひ参考に!
ただし、野菜だけをたくさん摂ればそれでいいわけではありません。大原則は1日にきちんと3食とること。そして、ごはんや肉類、魚介類、果物などもしっかり食べて、体に必要な栄養素をバランスよく摂ることが重要です。
【A】
執筆:前川太一郎
監修:ミツカン編集部
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<執筆に利用した学術論文、総説・解説、書物等の一覧>
【A】野菜、食べていますか?- e-ヘルスネット - 厚生労働省
【B】厚生労働省 令和5年「国民健康・栄養調査結果」(概要)