コンテンツへスキップ

グルテンフリーとは?日本人が実践した場合のメリット・デメリットを解説

グルテンフリーとは?日本人が実践した場合のメリット・デメリットを解説

「グルテンフリー」という言葉、日本でも一般的になりました。コンビニエンスストアやスーパーマーケットでグルテンフリーと銘打った商品を見かけることも増えましたよね。しかし、グルテンフリーについて「正確に理解している」と言いきれる人はどれくらいいるでしょうか? 知っているようであまり知らないグルテンフリーについて、日本人が取りいれた場合のメリットとデメリットなども含めて解説します!

 

  1. グルテンフリーの意味
  2. グルテンフリーが「日本では意味がない」といわれる理由
  3. グルテンフリーの効果とは?
  4. グルテンフリーで注意すべき点
  5. グルテンフリーの始め方
  6. よくある質問
  7. グルテンフリーの今後に注目

 

グルテンフリーの意味

グルテンフリーとは「グルテンをまったく含まない、あるいはほとんど含まない」という意味で、グルテンを含まない食材や加工食品を指します。具体的に見ていきましょう。

グルテンとは

まずは「グルテン」についてふれておきます。小麦にはたんぱく質が1割ほど含まれています。そのたんぱく質には水に溶けない「グルテニン」と「グリアジン」があり、それらが水分を吸収するとグルテンになります。
小麦粉を水と一緒に練ると粘り気の強い塊になるのは、グリテニンとグリアジンがたんぱく質の網目構造をつくるからです。パン、そしてパスタやうどんなど小麦粉を用いた食品はグルテンを多く含むため、もちもちした弾力があるのです。また、水を用いると粘りが出るという特性から、パンや麺類以外の加工食品にも食品添加物として幅広く使われています。
また、小麦だけでなく、大麦やライ麦もグルテンに似た作用があるたんぱく質を含んでいます。そのため、「小麦、大麦、ライ麦を用いた食品はグルテンフリーではない」というのが今の位置づけです。

グルテンを避ける理由

グルテンを含まない食品として挙げられるのは、野菜類、いも類、豆類、果物、肉類、魚介類、牛乳や卵です。また、小麦と同じ穀類でも、米やとうもろこし、きびなどはグルテンを含んでいないグルテンフリーの食品です。
小麦やグルテンを含むパンや麺類を、米やとうもろこしに置き換えて製造した食品も、グルテンフリーとして扱われます。
なぜ、グルテンを避けるのでしょうか? そもそもグルテンフリーが提唱されるようになったのは「セリアック病」によるものです。セリアック病とはグルテンを摂取することで発症する自己免疫性の腸疾患で、小腸で栄養素が吸収されなくなり、下痢を繰り返すことで栄養不良に陥ります。古代ギリシア時代には、すでにセリアック病のような症例が記録されているそうです。1941年、このセリアック病の治療法として、グルテンを摂取しないグルテンフリーの食事療法が提唱されました。セリアック病の一部の患者は「疱疹状皮膚炎」という皮膚病を併発するケースもあります。
また、グルテンを摂取することで起きるアレルギー性疾患もよく知られています。グルテンを摂ると皮膚、消化管、呼吸器に影響を及ぼすという「食物アレルギー」です。 さらに、さまざまな身体症状や精神症状を引き起こす「グルテン不耐症」が問題視されています。グルテンを摂取すると、腹痛や下痢、頭痛など体の症状だけでなく、頭がぼんやりしたり倦怠感を覚えたりという精神への影響があるものです。診断の基準や治療法などグルテン不耐症にはまだ不明な点が多いそうです。

【A】【B】【C】【D】

 

 

 

 

グルテンフリーが「日本では意味がない」といわれる理由

グルテンを摂ると自己免疫性疾患やアレルギー性疾患を引き起こすなど、小麦のグルテンを体質的に受け入れられない人は世界各地に多く存在します。ところが、日本をはじめとする東アジアでは、グルテン由来の疾患が少ないといわれているそうです。これはどういうことなのでしょうか?

かなり少ない? 日本人のグルテンアレルギー

ヨーロッパやアメリカにおけるセリアック病の有病率は約1%といわれています。それに対して、日本人のセリアック病の有病率は0.05%程度と推定されます。
有病率とは、ある一時点での疾病の頻度で、調査時点で治癒していれば患者とはみなされない数値です。欧米が有病率1%、日本が有病率0.05%なので、単純計算で日本よりも欧米の方が20倍多いことになります。

欧米は小麦、東アジアは米が主食

この欧米と日本のセリアック病の有病率の差は、食習慣にあるのではないかといわれています。大まかに言えば、ヨーロッパやアメリカは小麦を栽培し、それを食す文化です。小麦のグルテンをより多く摂るので、それがセリアック病や小麦アレルギーなどグルテン由来の疾患を引き起こしているようです。10年ほど前の調査ですが、アメリカは約300万人、カナダは34万人、EUでは500万人以上がセリアック病を発症しているといわれています。
それに対して、日本を含む東アジアは稲作が中心です。グルテンを含まない米を主食としてきたことが、人種による遺伝的因子も相まってセリアック病の有病率が低いのではないかと考えられています。
実はグルテンフリーが注目されることで、日本の和食や米食文化を見直す動きも出ています。例えば、「しらたき」がヨーロッパの一部地域でパスタの代用食となっていたり、米粉加工品となる大福などの「和菓子」がイギリスでグルテンフリー食品と見なされていたりするそうです。
ただし、日本でも小麦の消費量が増えています。戦前は約8kgだった一人当たりの小麦年間消費量が今は約33kgとおよそ4倍にもなっています。今後、グルテン由来の疾患が増加しないともかぎりません。特に若い世代では米食の割合が減っているようなので、注意が必要かもしれません。

「小麦」の一人当たり年間消費量

国・地域 年間消費量(kg)
日本 32.9
ブラジル 51.5
中国 86.1
インド 71.0
アメリカ 98.0
EU 244.5
ロシア 247.5
カナダ 253.6
ウクライナ 267.7
オーストラリア 312.9

出典:農林水産省『aff』2016年2月号
「特集1『麦』|生産量と消費量で見る世界の小麦事情」
(注)2015年の統計なので、EUにイギリスが含まれているなど現状と異なる面も多い

出典:農林水産省「食生活・ライフスタイル調査〜令和5年度〜調査報告書」
(注)夏と冬の年齢層は15~74歳。Z世代は15~24歳。サンプル数が少ない(夏と冬が630食、Z世代が240食)ことに留意

【E】【F】【G】【H】【I】

 

 

 

グルテンフリーの効果とは?

グルテンフリーを食生活に取りいれることはすべての人にとってよい効果がある……とは今はまだいえないようです。グルテンフリーには不明点が多く、研究の余地が大きいからです。
しかし、グルテンフリーは体質的にグルテンが苦手な人には効果があるとされています。そもそもセリアック病の人たちへの食事療法として提唱されたものですからね。
小麦由来のグルテンが体質に合わない、小麦にアレルギー反応がある人たちにとって、グルテンフリーを実践することで次のような効果が期待できるとされています。

  • 腸内環境の改善
  • 炎症の軽減
  • アレルギー症状の緩和

セリアック病に対する有効な治療法は、グルテンを摂らない「グルテンフリーダイエット」以外にまだありません。グルテンを摂らないことで小腸の炎症を抑制し、腸内環境を改善することができるとされています。
また、セリアック病の患者で皮膚炎が発症した人には、その炎症の緩和も期待されています。
アレルギー症状の緩和も望まれています。グルテンを摂取すると腹痛や下痢になり、倦怠感を覚えたりするグルテン不耐症の機序(メカニズム)はまだよくわかっていませんが、グルテンへの敏感すぎる感受性が引き金になるのではないかと推測されています。

【B】【J】

 

 

グルテンフリーで注意すべき点

グルテンフリーを行なった場合、いくつか注意した方がよいことがあります。もっとも重要な点として「グルテンを摂取しないことで栄養不足になる」ことが挙げられます。その他の懸念点も含めて見ていきましょう。

栄養バランスが偏りがち

グルテンフリーの実践者が陥りやすいこと――それは小麦を避けることで、小麦が本来含んでいる栄養素も摂れなくなることです。小麦は、ビタミンB1、ビタミンE、そしてカルシウムやマグネシウムなどのミネラル、そして食物繊維を含んでいます。
ビタミンB1は、体内に摂りいれた糖質をエネルギーに変える糖質代謝にかかわっています。不足すると食欲不振や倦怠感などの症状が現れます。ビタミンB1を補うためには、精製した白米ではなく、玄米や胚芽米を食べることが推奨されています。
ビタミンEは、強い抗酸化作用をもち、細胞の老化を防ぐ役割があります。また、末梢血管を拡張させる働きもあるため、血行を促す役目も。アーモンドなどの種実類、サケやウナギ、魚卵、緑黄色野菜を摂るとよいですよ。
カルシウムとマグネシウムは、特に骨の形成に重要な働きをしています。カルシウムは牛乳やヨーグルトから、マグネシウムは大豆などの豆類から、それぞれ摂るようにしてください。
食物繊維は、腸のなかでさまざまな働きをしています。便秘を予防するほか、食後の血糖値の上昇をゆるやかにします。不足すると腸内に有害な物質が長く留まるので腸内環境が悪化しますから、野菜類や海藻などをたくさん食べるようにしましょう。

グルテンフリーで不足しがちな栄養素

栄養素 主な補給方法
ビタミンB1 玄米や胚芽米
ビタミンE アーモンド、サケやウナギ、魚卵、緑黄色野菜
カルシウム 牛乳やヨーグルト
マグネシウム 大豆などの豆類
食物繊維 野菜類や海藻など

参考:飯田薫子・寺本あい監修『一生役立つ きちんとわかる栄養学』(西東社 2024)、中村丁次監修『栄養の基本がわかる図解事典』(成美堂出版 2025)ほか

メニューの幅が減る&コストがかさむ

小麦を摂らないようにすると、どうしても選べるメニューが少なくなります。ご自身が家で料理するならば解決方法はまだありますが、特に外出時の食事は小麦・小麦粉が入っていないメニューを選ぶわけですから選択肢が狭まり、難しい判断を迫られます。また、弁当や総菜を買って家で食べる「中食」にも注意が必要です。
また、小麦粉を使わない製品はどうしても高コストになりがちです。例えば、米粉だけでパンをつくろうとしても膨らみにくく、劣化も早いため、それを解決するためには食品添加物や特別な食材を使用しなければならず、そのぶん価格が上がってしまうからです。

【【B】【J】 【K】【L】【M】【N】【O】

 

 

 

 

グルテンフリーの始め方

グルテンフリーに取り組む場合、どのようにスタートしたらよいのでしょうか。代替食品の選び方や加工食品の確認方法、外食する際の対策などについてご説明します。

主食類は米粉に切り替えを

まずは主食類です。繰り返しになりますが、小麦を使ったパンにはもっとも注意が必要です。パスタやうどん、ラーメンなどの麺類も小麦粉が主体です。
パンは米に切り替えましょう。米は精製した白米よりも食物繊維やミネラルを多く含む玄米や胚芽米が好ましいです。パスタは米粉を用いたものが数多く出ているのでそれを買い求めましょう。どうしても麺が食べたい場合は「そば」を選ぶとよいですよ。ただし、そばはつなぎに小麦粉を使っていることも多いので、つなぎを用いない十割そばか、小麦粉以外のつなぎを用いたそばにしましょう。
見落としがちなのが、カレーやシチューです。実は、これらのルーの多くに小麦粉が用いられています。餃子や春巻きの皮も要注意です。最近は原料に小麦粉ではなく米粉を用いたものが増えていますので、それらを選ぶようにしましょう。
ケーキなどの洋菓子はグルテンフリーの和菓子に切り替えることをおすすめします。おはぎは米を、大福はもち米を、だんごは白玉粉や上新粉を原料としていますから安心ですね。

グルテンを含む食品と代替食品の例

グルテンを含む食品、食材 グルテンフリーの食品、食材
食パンなど小麦パン 米、玄米、胚芽米
パスタ、うどん、ラーメン 米粉パスタ、十割そば
カレー、シチュー 米粉カレー、米粉シチュー
餃子の皮、春巻きの皮 米粉の餃子の皮、春巻きの皮
洋菓子 和菓子
パン粉、ホットケーキミックス 米粉を用いたパン粉、ホットケーキミックス
しょうゆ、ソースなど調味料 原料に小麦を用いないしょうゆ、ソース、魚醤

必ず食品ラベルを確認しよう!

意表をつかれるのが、しょうゆやソースなどの調味料です。日本でグルテンフリーが普及する以前、しょうゆは小麦を用いてつくられることがほとんどでした。ソースは原料にしょうゆを使うことが多いため、小麦でつくられたしょうゆが「かくれグルテン」となっていたのです。
今はグルテンフリーのしょうゆやソースも増えていますので、それを使うようにしてください。また、日本で古くから使われている魚醤を利用するのも一つの手です。
小麦はえび、かに、くるみ、そば、卵、乳、落花生とともに、食物アレルギーに関連する「特定原材料」に指定されています。容器包装された加工食品の場合、特定原材料を含むことをきちんと表示しなくてはなりません。加工食品を買う場合は、必ずラベル表示を確認するようにしてください。

外食と中食におけるポイント

先ほど外出時の食事(外食)と、弁当や総菜を買って持ち帰る中食には注意が必要とお伝えしました。それはどちらも誤って小麦・小麦粉が入っているものを選んだり買ったりしてしまう危険があるからです。
小麦・小麦粉を用いているかいないかは、食物アレルギーに詳しい店員や責任者に必ず確認しましょう。もしもその店員がよくわかっていないようでしたら、その店では食べない、買わないという判断も必要です。
また、外食・中食では、店側がいくら気をつけていても、複数の料理を同時に調理しているうちに調理器具に小麦粉が付着していたなど、アレルギーの原因食物(アレルゲン)が意図せず混入してしまうこともあります。これを「コンタミネーション」といいますが、たとえ微量でもアレルギー症状は出てしまうのでくれぐれも注意してくださいね。

【O】【P】【Q】【R】

 

 

よくある質問

(Q)グルテンフリーはどんな人に有効?

(A)セリアック病の患者さん、そして小麦たんぱく質に対してアレルギー反応が起きてしまう人に有効です。これらとは別に、ダイエットを目的としてグルテンフリーを取りいれる人もいますが、現時点ではグルテンフリーと体重減少に関する科学的根拠はないとされています。

 

(Q)お米はグルテンフリーなのはなぜ?

(A)米は、小麦が有する不溶性たんぱく質(グルテニンとグリアジン)を含んでいないため、水と混じり合ってもグルテンは生成しません。米はいまやグルテンフリーの穀物として認識されていますよ。

 

 

グルテンフリーの今後に注目

グルテンフリーはもともとセリアック病の食事法として生まれたものですが、あるとき有名なスポーツ選手や著名なモデルが「小麦抜きの食生活に切り替えた」と公表してから注目されるようになりました。
しかし、体調も悪くない健康な人がグルテンフリーを取りいれるとどうなるのかは、現時点ではまだはっきりしない部分が多いそうです。その一方、近年は腸の研究が急速に進み、腸内環境の重要性が見直されるなか、小腸に炎症を起こす可能性があるグルテンの扱いが変わる可能性があるのも事実です。
日本人の主食は米からパンや麺へと徐々にシフトしていますので、もしかしたらセリアック病や小麦アレルギーの人が今より増えるかもしれません。今後も興味をもってグルテンフリーの情報や動向を見ていくことが大切ですね。

 

 

 

 

<執筆に利用した学術論文、総説・解説、書物等の一覧>

 

【A】竹並恵里監修『炭水化物の摂り方・選び方パーフェクト事典――糖質から食物繊維・甘味料成分まで』(ナツメ社 2022)

【B】農林水産省Web「米・米粉情報まとめサイト|グルテン関連の疾患とグルテンフリー」

【C】公益財団法人 腸内細菌学会Web「用語集|セリアック病」

【D】兵庫医科大学 研究シーズ集「グルテン不耐症の実態解明とメンタルヘルスに関する研究」

【E】公益社団法人 日本薬学会Web「薬学用語解説|有病率」

【F】福永真衣,石村典久,石原俊治「最近注目されている腸の炎症性疾患 セリアック病」日本大腸肛門病学会雑誌/74 巻 (2021) 10 号/pp.572-580

【G】農林水産省Web「広がる!米粉の世界」米粉に係る調査について「欧米・豪州等6か国、組織におけるグルテンフリー表示に係る調査報告書(海外文献・資料に基づく)」(2017年3月)

【H】農林水産省『aff』2016年2月号「特集1『麦』|生産量と消費量で見る世界の小麦事情」

【I】農林水産省「食生活・ライフスタイル調査~令和5年度~調査報告書」

【J】清水史子「日本におけるグルテンフリー食の実態―グルテンフリー食の認知度および実践者の食生活―」食生活科学・文化及び環境に関する研究助成研究紀要 33:2018年度,p.89-96.

【K】池上文雄ほか監修『からだのための食材大全』(NHK出版 2018)

【L】飯田薫子・寺本あい監修『一生役立つ きちんとわかる栄養学』(西東社 2024)

【M】中村丁次監修『栄養の基本がわかる図解事典』(成美堂出版 2025)

【N】奈良女子大学 研究シーズ集「グルテンフリー食品の開発および品質改善に関する研究」

【O】消費者庁Web「食物アレルギー表示に関する情報」消費者向けパンフレット「外食・中食を利用するときに気をつけること(令和5年3月)」

【P】四谷内科・内視鏡クリニックWeb「グルテンフリーとは何か?正しい定義とメリットデメリットをやさしく解説」

【Q】本間良子著『長生きしたけりゃ小麦は食べるな』(アスコム 2020)/p>

【R】消費者庁Web「食物アレルギー表示について」

低GI食品とは?話題のGI値が低い食品と選び方のコツ 最古のスパイス「シナモン」の健康効果とは?――摂取するときの適量や注意点