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甘くておいしいのに栄養豊富? 「とうもろこし」を食べよう!

甘くておいしいのに栄養豊富? 「とうもろこし」を食べよう!

夏が近づくとスーパーマーケットや道の駅などに並びはじめる「とうもろこし」。ゆでたてのとうもろこしの甘さは格別ですよね。夏祭りで屋台を巡れば、甘辛く焼いたとうもろこしの芳ばしい匂いが食欲をそそります。主食として食べる国・地域も多いとうもろこしは、食物繊維を多く含む食材です。おいしくて、体によい効果も多いといわれるとうもろこしの栄養について見ていきましょう。

 

  1. とうもろこしは世界三大穀物の一つ
  2. とうもろこしの栄養素と効果
  3. とうもろこしの「生」と「ゆで」の違いは?
  4. とうもろこしの栄養をもれなく活用するコツ
  5. とうもろこしの栄養を活かすレシピ3選
  6. 夏に堪能したいとうもろこし

とうもろこしは世界三大穀物の一つ

とうもろこしは小麦や米と並ぶ三大穀物です。原産地はメキシコとボリビアといわれていて、今は世界各地で育てられています。完全に熟した状態は穀物として扱われますが、私たちが主に食べるのは「スイートコーン」と呼ばれる甘みの強い種。未熟な状態で食すため、日本では野菜類として分類されています。
イネ科の一年草であるとうもろこしは、日本では16世紀から栽培されていますが、当時は甘みの少ないフリントコーンと呼ばれる硬粒種でした。スイートコーンは明治時代に北海道で栽培が始まり、昭和30年代以降に広まって今に至るのです。

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とうもろこしの栄養素と効果

とうもろこしは野菜類としては炭水化物を多く含んでいるため高カロリーな食材とされていますが、同時にビタミンB群やカリウムをはじめとするミネラルを豊富に含むなど栄養素も多いです。特に粒のつけね(胚芽)には亜鉛や鉄などが詰まっています。また、とうもろこしは「食物繊維の宝庫」といわれるように、腸の調子を整える食物繊維が多いのもうれしいですよね。とうもろこしが含む主な栄養素を表にしましたので、文章と合わせてご覧ください。

[表] とうもろこし類(野菜類)の主な栄養素(可食部100gあたり)

食品名 エネルギー 食物繊維
総量
カリウム マグネシウム リン 亜鉛 ビタミンB1 ビタミンB2 ビタミンB6 葉酸
kcal g mg mg mg mg mg mg mg μg
スイートコーン/未熟種子/生 89 3.0 290 37 100 1.0 0.15 0.10 0.14 95
スイートコーン/未熟種子/ゆで 95 3.1 290 38 100 1.0 0.12 0.10 0.12 86
スイートコーン/未熟種子/電子レンジ調理 104 3.4 330 42 120 1.1 0.16 0.11 0.14 97
スイートコーン/未熟種子/穂軸つき/冷凍 96 2.8 230 33 90 1.0 0.12 0.09 0.10 77

出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年(食物繊維はプロスキー変法またはAOAC.2011.25法)

とうもろこしの栄養素1「ビタミンB1」

とうもろこしが多く有するビタミンB群から見ていきましょう。
ビタミンB1はビタミン類のなかで最初に発見されたもので、これが足りないと脚気(かっけ)になってしまいます。エネルギー代謝や脳へのエネルギーの供給にかかわるのがビタミンB1です。また、アルコールの代謝にもかかわっているため、日ごろからアルコールを摂取する人はビタミンB1が足りなくならないように気をつけた方がよいといわれています。

とうもろこしの栄養素2「ビタミンB2」

続いてビタミンB2です。ビタミンB2は、糖質やたんぱく質、脂質の代謝に深くかかわるビタミンで、なかでも脂質をエネルギーに転換する際に、特に必要とされています。また、身体的な発達が著しい成長期の子どもには欠かせない栄養素ともいわれています。髪の毛や皮膚、粘膜の働きを正常に保つ働きもすることから、ビタミンB2は「美容のビタミン」という異名をもっています。

とうもろこしの栄養素3「ビタミンB6」

たんぱく質とアミノ酸の代謝にかかわる栄養素、それがビタミンB6です。とうもろこしはビタミンB6も多く含んでいます。神経細胞からほかの細胞に情報を伝えることは、ほとんどが化学物質によって行なわれています。それが神経伝達物質で、ビタミンB6は神経細胞物質の合成を促進する働きがあるとされています。また、免疫機能を正常に維持するにも、ビタミンB6は必要だそうです。

とうもろこしの栄養素4「カリウム」

ミネラルとは、体内でつくり出せないので食物として摂る必要があるもので、無機質とも呼びます。ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リンは多量ミネラル、鉄や亜鉛などは微量ミネラルに区分されます。とうもろこしはミネラルも豊富で、特にカリウム、マグネシウム、リンを多く含んでいます。カリウムは、体液の浸透圧を調整したり、血液の循環量や神経伝達を正常に維持したりする働きがあります。高血圧を防ぐためにも適量を摂取することも推奨されています。

とうもろこしの栄養素5「マグネシウム」

カルシウムと並んで、骨や歯をつくるために必要といわれているのがマグネシウムです。マグネシウムは、体内にある300種類以上もの酵素を活性化させる働きがあり、エネルギーの代謝や筋肉の伸縮などにかかわるなど、人体のさまざまな生理作用を支えています。

とうもろこしの栄養素6「リン」

ミネラルのなかでもリンはカルシウムの次に多く体内に含まれています。リンはなんと成人でおよそ700g、体重の約1%を占めているそうです。リンはカルシウムやマグネシウムとともに、骨や歯を丈夫にする大切な役割を担っています。また、エネルギーを溜める働きやエネルギーの代謝にもかかわっています。

とうもろこしの栄養素7「食物繊維」

小腸では消化や吸収がされず、大腸まで達する食物繊維。血糖値が上がるのを抑えたり、血液中のコレステロール値の濃度を下げるといった生理機能が徐々にわかってきました。うれしいのは便秘を予防するなどの整腸に関する効果です。現代を生きる日本人の多くが食物繊維を十分に摂れていないため、より積極的な摂取が求められています。とうもろこしの場合、食物繊維をもっとも多く含んでいるのは粒の皮(果皮[かひ])で、水に溶けにくい不溶性食物繊維が大半を占めています。

とうもろこしの栄養素8「ルテイン」

とうもろこしは、目の機能をサポートする働きなどがあるとされるルテインも含んでいます。ルテインは鮮やかな色素成分からなるカロテノイドの一種で、野菜や卵黄に含まれる黄色の色素。ルテインが不足すると視力の低下や肌荒れなどが起こりやすくなるといわれています。

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とうもろこしの「生」と「ゆで」の違いは?

先ほどの表を見てください。いちばん上がスイートコーンの「生」、そのすぐ下がスイートコーンの「ゆで」です。見比べるとわかるように、生でもゆででも栄養素に大きな違いはありません。
また、生に比べて電子レンジで調理した場合はいくつかの項目で数値は若干増加しますが、これは電子レンジにかけることで水分が失われ、栄養がやや濃縮するからです。

とうもろこしの栄養をもれなく活用するコツ

とうもろこしを育てている農家では、とれたてのとうもろこしのおいしさをよく知っています。収穫する寸前、鍋に湯をたっぷり沸かしておき、とうもろこしをもいだらすぐさまゆでる人もいます。つまり、とうもろこしは時間とともにそれほど味が落ちやすいのですね。できるだけ栄養や味を落とさず食べるポイントを紹介します。

コツ1「新鮮なうちに食べる」

繰り返しになりますが、とうもろこしは鮮度が命です。新鮮なうちに調理して食べることが、栄養も味も落とさないコツです。

コツ2「保存するなら茹でる」

とうもろこしをたくさん入手した場合、その日のうちに食べきるのは難しいですよね。その場合は硬めにゆでて、それを3~4cm幅で輪切りにしてラップに包んで冷凍しておくとよいでしょう。ゆでるときは薄皮を外さずに、水からゆっくりゆでて、沸騰したら3分後には火を止めるとよいそうです。また、とうもろこしの実を外して冷凍しておくと、いざ調理するときに使いやすいです。

コツ3「粒のつけねを残さない」

甘くておいしいとうもろこしを目の前にしてかぶりつくと、つい黄色い粒に集中してしまいますが、粒のつけね(胚芽)も残さず食べるようにしましょう。胚芽には、ビタミンB群やカリウム、亜鉛、鉄などのミネラルがつまっているそうです。

コツ4「とうもろこしの選び方」

ずらりと並んだとうもろこしのなかから、どのようなものを選べばよいのでしょうか? まずは実が先端までぎっしり詰まっていて、なおかつ実につやがあってふっくらしているものがおすすめです。また皮がついた状態で売っている場合は、皮の色が濃くて鮮やかな緑色をしたものを選びましょう。また先端にひげ(絹糸[けんし])が残っているときは、ひげが茶色いものが熟している証です。

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とうもろこしの栄養を活かすレシピ3選

ふつうにゆでて食べてもいいですが、とうもろこしを食材とした料理も時には試したいですよね。ここからはとうもろこしを用いたレシピを3つご紹介します!

 

レシピ1:
鶏ととうもろこしのさっぱり煮

鶏ととうもろこしのさっぱり煮

材料(2人分):

鶏手羽元:8本(480g)
とうもろこし:1本

<A>
ミツカン 味ぽん:1/2カップ
または
ミツカン 味ぽんMILD:1/2カップ
水:1/2カップ

作り方:

1. とうもろこしは熱湯で3分ほどゆで、粗熱が取れたら2~3cm幅に切る。鶏手羽元は水けをふき取る
2. フライパンを強火で熱し、鶏手羽元、とうもろこしに焼き目をつける
3. 中火にしたら、<A>を入れてふたをして5分煮る
4. 鶏手羽元、とうもろこしの上下を返し、ふたをしてさらに5分煮る
5. ふたを取り、強火にして2分ほど煮汁を煮詰める

※ステンレスまたは樹脂加工したフライパンを使用してください
※ステンレスのフライパンを使用される場合は、サラダ油(分量外)をひいてから調理してください

レシピの詳細はこちら!

レシピ2:
とうもろこしご飯

とうもろこしご飯

材料(4人分):

とうもろこし:1本
米:3合

<調味料>
ミツカン 八方だし:大さじ5
<お好みで>
青じそ:適宜
バター:適宜

作り方:

1. 米は洗ってざるに取り、30分ほどおく
2. とうもろこしは包丁で実を取り外し、実と芯に分ける
3. 炊飯器に1と「八方だし」を入れ、水を3合の目盛りまで注いで一度かき混ぜる。その上に2をのせて炊く。炊き上がったら、芯を除き、さっくりと底から混ぜ合わせる
4. 3を器に盛り、お好みで細切りにした青じそをのせる

※お好みでバターを加えても美味しく召し上がれます
※八方だしはお好みによって量を調整してください。大さじ4にするとより素材の味が際立ち、やさしい味に仕上がります

レシピの詳細はこちら!

レシピ3:
夏野菜の寄せ鍋(野菜1日分)

夏野菜の寄せ鍋

材料(4人分):

鶏もも肉:1枚
キャベツ:1/2玉(600g)
とうもろこし:1本(350g)
トマト:1個(250g)
黄パプリカ:1個(150g)
にんじん:1本(200g)
ズッキーニ:1本(100g)
オクラ:1袋(70g)
〆まで美味しい寄せ鍋つゆストレート:1袋

作り方:

1. キャベツは8等分のくし形切りにする。とうもろこしは5cm幅に切る。トマトは湯むきをして4等分にする。パプリカとズッキーニは5㎜幅の輪切りにする。にんじんはピーラーで薄くむく。オクラは小口切りにする
2. 鍋にオクラ以外の野菜を並べ、「寄せ鍋つゆストレート」をよくふってから入れて火にかける
3. 具材に火が通ったら、仕上げにオクラを加えてさらに煮込む

※一人分の野菜摂取量は352.75gです(廃棄部分を考慮しています)
※栄養成分は鍋つゆを75%摂取するとして計算

レシピの詳細はこちら!

夏に堪能したいとうもろこし

農業技術が発達した現代でも、とうもろこしの収穫期は6月から9月と短めで、他の野菜類よりも楽しめる時期が限られています。太陽の光をたっぷり浴びた甘いとうもろこしは、食物繊維が多いうえビタミンB群やミネラルも豊富に含んでいますので、ぜひたくさん摂るようにしたいですね。

 

 

 

 

 

<執筆に利用した学術論文、総説・解説、書物等の一覧>

【A】JAグループWeb「とれたて大百科(トウモロコシ)」

【B】独立行政法人 農畜産業振興機構Web「神が宿るトウモロコシ」

【C】高橋浩昭著『自然農の野菜づくり』(創森社 2010)

【D】池上文雄ほか監修『からだのための食材大全』(NHK出版 2018)

【E】吉田企世子監修『旬の野菜の栄養事典――春夏秋冬おいしいクスリ』(エクスナレッジ 2016)

【F】五関正江監修『ビタミン・ミネラルがよくわかる本――上手にとって健康に!』(つちや書店 2023)

【G】厚生労働省Web「用語解説(神経伝達物質)」

【H】厚生労働省Web「ミネラル」

【I】厚生労働省Web「食物繊維の必要性と健康」

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