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自然の恵みがぎゅっとつまった「はちみつ」。その栄養や効果とは?

自然の恵みがぎゅっとつまった「はちみつ」。その栄養や効果とは?

黄金色に輝く「はちみつ」をスプーンですくって口に入れると、何ともいえない甘さが広がります。昔から人びとは、みつばちが花から花へと飛び回って集めた自然の恵みをいただいてきました。それは今も同じです。はちみつが体によいことは広く知られていますが、実際にどのような栄養があり、どんな効果が見込まれるのでしょうか。

 

  1. 『日本書紀』に見る養蜂の黎明
  2. はちみつに含まれる栄養とは?
  3. 5種類に分けられるはちみつ
  4. はちみつに期待できる美容・健康効果
  5. はちみつの栄養を効率よく摂取するコツ
  6. はちみつを摂取する際の注意点は?
  7. はちみつの栄養を活かしたレシピ3選
  8. はちみつに関するQ&A
  9. 自然の恵みをいただく

 

『日本書紀』に見る養蜂の黎明

はちみつを採取するための「養蜂」は、日本ではいつから行なわれているのでしょうか。

蜂(はち)という言葉が文献に初めて登場したのは『日本書紀』です。「643年(皇極2)に百済の王子が養蜂を試みた」という旨の記載があるそうです。その試みは失敗に終わりましたが、これが養蜂の始まりという説が有力です。

養蜂が本格化するのは江戸時代で、その頃は日本みつばちのみでした。明治時代にアメリカから西洋みつばちが導入されて、養蜂は徐々に次第に産業化していきました。

2024年(令和6)1月時点の国内におけるみつばちの飼育戸数は1万2061戸、群れの数は23万6000群です。実は国内で流通しているはちみつの量のうち国産は約6%にすぎません。残りの約94%は輸入はちみつ。少し意外に感じますが、そのおかげで私たちははちみつを入手したり、はちみつを使った商品を購入したりできるのですね。

 

 

 

 

はちみつに含まれる栄養とは?

はちみつの主な成分は糖質と水分――よくそう言われますが、表をご覧いただくとわかるように、ナトリウムやカリウムなどのミネラル、そしてビタミンB6やパントテン酸などの水溶性ビタミンも微量ですが含まれています。

「日本食品標準成分表」において、はちみつは「砂糖及び甘味類」に分類されています。家庭でもっとも一般的な砂糖は「上白糖」ですが、上白糖は可食部100gあたり391kcal。それに対して、はちみつは同329kcal、はちみつ(国産品)は同328kcalで、上白糖よりカロリーが低いんです。

また、そのほかの成分を比べてみると、カリウムは上白糖よりもはちみつの方が圧倒的に多いこと、そしてカルシウム、マグネシウム、リン、鉄、亜鉛、銅などのミネラルもはちみつの方がわずかながら多いことなどがわかります。

裏を返せば、甘さを求める際に砂糖ではなくはちみつを選ぶと、カロリーが抑えられるだけでなく、こうしたさまざまな成分もはちみつなら一緒に摂取することができるというわけです。これが、はちみつは体にいいとされる一つの根拠となっているようです。

[表] はちみつと上白糖が含む主な栄養素(可食部100gあたり)

食品名 エネルギー 水分 糖類 ナトリウム カリウム カルシウム マグネシウム リン 亜鉛 マンガン ナイアシン当量 ビタミンB6 葉酸 パントテン酸 ビオチン 備考
kcal g g mg mg mg mg mg mg mg mg mg mg mg μg μg mg
はちみつ 329 17.6 74.7 2 65 4 2 5 0.2 0.1 0.04 0.21 (0.4) 0.02 7 0.12 0.4 100g:71ml、100ml:140g
はちみつ 国産品 328 18.1 68 1 23 2 1 3 0.1 Tr 0.01 0.09 0.1 0.03 Tr 0.04 0.2
車糖 上白糖 391 0.7 99.3 1 2 1 Tr Tr Tr 0 0.01 0 0 (0) (0) (0) 0.1 別名:ソフトシュガー
100g:154ml、100ml:64g

※炭水化物成分表から算出

Tr:微量/( )は推定値/(0)は推定値0

出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

【A】【B】【C】

 

5種類に分けられるはちみつ

はちみつとひと口に言ってもいくつかの種類があります。東京都保健医療局の「はちみつ類品質表示基準実施要領」によると、はちみつは「はちみつ」「精製はちみつ」「加糖はちみつ」「巣はちみつ」「巣はちみつ入りはちみつ」に分けられています。

はちみつ

みつばちが植物の花みつを集め、巣に貯えて熟成した天然の甘味物質です。これははちみつに精製はちみつ、またはローヤルゼリー、花粉、香料、果汁、もしくはビタミンを加えたものを含みます。

精製はちみつ

上記のはちみつから、においや色などを取り除いたもの。

加糖はちみつ

はちみつに異性化液糖(果糖とぶどう糖の分子が混ざた液体)その他の糖類を加えたもの。はちみつの含有量が重量百分比で60%以上のものを指します。

巣はちみつ

まだ幼虫のいない新しい巣に、みつばちが貯えたはちみつのこと。巣全体、または一部を封入したまま販売されるものです。

巣はちみつ入りはちみつ

はちみつに巣はちみつを加えたものです。

天然のはちみつにこだわる人なら、加工されたものは避けた方がよさそうです。

【D】

 

 

 

 

はちみつに期待できる美容・健康効果

意外と言ってはみつばちに怒られるかもしれませんが、先ほどの表を見てもわかるように、はちみつは単なる甘味料の域を超えて、さまざまな成分を含んでいます。はちみつを摂ることによって、どのような効果が期待できるのか見ていきましょう。

(1)はちみつを傷口に塗ると早く治る?

はちみつは、切り傷や擦り傷、打撲などで体の表面にできた傷に塗るとを治りがよくなるとされ、世界各地で利用されています。イタリアの研究グループが、蜜源が異なる3種のはちみつ(アカシアはちみつ、ソバはちみつ、マヌカはちみつ)を用いて実験したところ、いずれも皮膚の傷を治す働きが促進されたそうです。

(2)インフルエンザウイルスへの抵抗力が増す?

風邪のひきはじめにはちみつを摂ると症状があまりひどくならないと言われてきました。さまざまな成分を含むはちみつは抗酸化や抗炎症をもつほか、ある研究によると、はちみつのなかにはインフルエンザウイルスの活性を抑える働きがある可能性があることも報告されています。

(3)はちみつは咳に効く?

かなり前から「はちみつには咳を抑える効果がある」と言われ、就寝前にはちみつをスプーン1さじ程度摂ると咳が和らぐとされてきましたが、どうしてそうなるのかはわかりませんでした。ところがつい最近、国内のある企業の研究所がはちみつには咳を鎮める成分があることを突き止めました。

(4)はちみつには疲労回復効果がある?

はちみつの主成分は単糖類の「果糖」と「ブドウ糖」です。果糖もブドウ糖も構造が単純なため、体に負担をかけずスムーズに栄養分となるそうです。そこから、はちみつを摂ると疲労が効率的に回復するという効果が期待できるとされています。

【E】【F】【G】【H】【I】【J】

 

はちみつの栄養を効率よく摂取するコツ

続いて、はちみつが含む栄養を効率よく摂る方法をお伝えします。

コツ1 砂糖の代わりにはちみつを

先ほど、はちみつは砂糖(上白糖)よりもカロリーが低いことをお伝えしました。そこでふだんなら砂糖を使う場面で、代わりにはちみつを用いるとカロリーを抑えることができます。しかも、はちみつなら砂糖が含んでいないさまざまな成分も一緒に摂ることができます。まさに一石二鳥ですよね。

コツ2 ヨーグルトと一緒に食べよう

プレーンヨーグルトにはちみつを加えて食べると、甘みがくわわってよりおいしいですよね。しかも、この食べ方は腸の働きを円滑にするといわれています。ヨーグルトに含まれる、人にとって必要な細菌や微生物(プロバイオティクス)は、はちみつを摂ることによって生き残りやすくなるという研究報告があります。

【K】【L】【M】

 

はちみつを摂取する際の注意点は?

注意1 1歳未満の乳児は摂取禁止!

1歳未満の赤ちゃんには、はちみつを食べさせないようにしてください。はちみつ入りの飲みものやお菓子も与えてはいけません。はちみつは、1歳未満の乳児に見られる「乳児ボツリヌス症」の主な原因食品とされているからです。

ボツリヌス菌とは、土壌や海、川などの泥や砂のなかにいる菌。ボツリヌス菌が食品などから体内に入っても大人なら大丈夫ですが、腸内環境がまだ整っていない乳児はボツリヌス菌が腸内で増えて毒素を出すのです。はちみつそのものはもちろんのこと、飲みものやお菓子にも注意してください。

注意2 摂りすぎにはご注意!

はちみつは数多くの成分を含んでいますし、体によい影響を与える可能性も高いです。しかし、砂糖に比べると低カロリーとはいえ糖質であることは間違いないので、摂りすぎには十分注意してくださいね。WHO(世界保健機関)はガイドライン「成人及び児童の糖類摂取量」のなかで、1日につき糖質25g(ティースプーン6杯分)程度に抑えることを推奨していますよ。

【N】【O】【P】【Q】

 

はちみつの栄養を活かしたレシピ3選

飲みものに入れて甘みを出したり、デザートに使ったり、あるいは料理の隠し味に……はちみつはさまざまな使い方ができます。いくつかレシピをご紹介しますので、ぜひお試しください!

 

レシピ1:
りんご酢はちみつソーダ

材料(1人分):

ミツカン リンゴ酢:大さじ1
または
ミツカン 純リンゴ酢:大さじ1
はちみつ:大さじ1
炭酸水(無糖):3/4カップ
氷:適宜

作り方:

1. グラスに「リンゴ酢」または「純リンゴ酢」、はちみつを入れ、よく混ぜて溶かす
2. 1に炭酸水を注ぎ、お好みで氷を入れる

 

※炭酸水を水に替えてもおいしく召し上がれます

※「リンゴ酢」または「純リンゴ酢」を「穀物酢」「純玄米黒酢」に替えてもおいしく召し上がれます

※はちみつの量は好みに合わせて調整してください

レシピの詳細はこちら!

 

レシピ2:
はちみつヨーグルトプリン

材料(3人分):

牛乳:150ml
プレーンヨーグルト:100g
生クリーム:50ml
ミツカン りんご黒酢:大さじ3
はちみつ:大さじ2
ゼラチン:4g
水:20ml
お好みのカットフルーツ:適宜
ミツカン りんご黒酢:適量

作り方:

1. ゼラチンは分量の水に入れてふやかす。牛乳、生クリーム、はちみつを小鍋に入れ、沸騰直前まで温めて火から下ろす。ふやかしたゼラチンを加えて溶かし、そのまま粗熱を取る
2. ヨーグルト、「りんご黒酢」を合わせて、1の鍋に加える。氷水を入れたボウルに当ててゴムべらで混ぜながらとろみがつくまで冷やす
3. 容器に入れて冷蔵庫で約2時間冷やし固める。固まったら、お好みのカットフルーツを飾り、「りんご黒酢」をプリンの上に注ぐ

 

※調理時間に冷やし固める時間は含みません

レシピの詳細はこちら!

 

レシピ3:
さっぱりヘルシー鶏そぼろカレー丼

材料(2人分):

鶏ひき肉:200g

〈調味料〉
ミツカン 穀物酢:大さじ3
ミツカン 追いがつおつゆ2倍:大さじ2
カレー粉:小さじ2
はちみつ:小さじ1
ご飯:丼2杯分
キャベツ 100g
温泉卵:2個
長ねぎ(みじん切り):適宜

作り方:

1. 鶏ひき肉と〈調味料〉をフライパンに入れ、はしでよく混ぜたら中火にかけ、かき混ぜながら煮詰める
2. しっかり煮立つくらいの火加減のまま、酸味をとばすようにする。汁けが少し残る程度で火を止める
3. 丼にご飯をよそい、せん切りにしたキャベツ、2のそぼろをのせる。中央にくぼみを作り、温泉卵を落としてお好みで刻んだ長ねぎを散らす

レシピの詳細はこちら!

 

はちみつに関するQ&A

知っているようでまだまだ知らないことの多いはちみつ。実際に使ったり保管したりすることも含めて、豆知識をQ&A形式でまとめました。

 

Q)国産はちみつと輸入はちみつはどう違う?

A)みつばちがさまざまな花から集めてできるはちみつは、花の種類やその生息地によって味や風味が異なるものです。一般的に日本では強い香りや味をもった花が少ないため、国産はちみつは輸入はちみつに比べてくせのない味といわれています

 

Q)はちみつには抗菌作用があるの?

A)一般的にそういわれていますが、すべてのはちみつに当てはまるわけではないかもしれません。抗菌効果があるのは一部のはちみつだけかもしれないという発表もあります

 

Q)はちみつが白く固まってしまったけど大丈夫?

A)はちみつの主成分「ブドウ糖」の働きによる結晶です。保管しているところの温度が15℃前後になると結晶しやすくなります

 

Q)はちみつを紅茶に入れると黒くなったけど?

A)これは紅茶が含むタンニンと、はちみつが含む鉄分が化合したためと考えられます。飲んでも問題ありません

【P】【R】【S】

 

自然の恵みをいただく

東北地方の雪深い地域では、自分でつくった巣箱を庭に置いて日本みつばちを飼っている家が結構あります。できたはちみつは自家用として一部もらうものの、半分以上はみつばちが冬に食べる分として残しておきます。そうすれば翌春にまたみつばちたちは飛び回り、人もまた恵みがもらえるという知恵です。

自然界で生まれた、さまざまな成分を含むはちみつ。できれば毎日摂るようにしたいですね。

 

 

 

 

 

<執筆に利用した学術論文、総説・解説、書物等の一覧>

【A】一般社団法人 日本養蜂協会Web「日本の養蜂の歴史」

【B】総合地球環境学研究所・若手研究者支援経費採択プロジェクト「ミツバチとともに未来をつくる」

【C】農林水産省 畜産局「養蜂をめぐる情勢」(2024年11月)

【D】東京都保健医療局「はちみつ類品質表示基準実施要領」

【E】山田養蜂場 みつばち研究助成基金「蜂蜜は、皮膚の傷をどのようにして治癒するのか」

【F】山田養蜂場 みつばち研究助成基金「インフルエンザの予防に蜂蜜が役立つ可能性」

【G】ソージュ山下町内科クリニック「はちみつの咳止め作用」

【H】山田養蜂場「蜂蜜のせき止め成分を世界で初めて同定」

【I】やまうち薬局Web「はちみつ」

【J】辻調グループWeb「【独逸見聞録】ハチミツの成分と品質規格」

【K】イリノイ大学農業・消費者・環境科学部Honey added to yogurt supports probiotic cultures for digestive health.

【L】厚生労働省 健康日本21アクション支援システム「健康用語辞典/乳酸菌」

【M】厚生労働省『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業』コミュニケーション「プロバイオティクスについて知っておくべき5つのこと」

【N】厚生労働省Web「ハチミツを与えるのは1歳を過ぎてから。」

【O】厚生労働省「蜂蜜を原因とする乳児ボツリヌス症予防に係る注意喚起について」

【P】一般社団法人 日本養蜂協会Web「ハチミツQ&A」

【Q】内閣府 食品安全委員会「食品安全関係情報詳細」

【R】一般社団法人 全国はちみつ公正取引協議会Web「よくある質問」

【S】福岡県立大学看護学研究紀要「純粋ハチミツが必ずしも抗菌効果をもつとは限らない」

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