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「えのきたけ」ってどこがすごいの? バランスのよい万能きのこをご紹介

「えのきたけ」ってどこがすごいの? バランスのよい万能きのこをご紹介

煮ても焼いてもいいですし、みそ汁やスープにも合う「えのきたけ」は、ほんとうに便利な食材ですよね。買ってきて封を開け、石づきをサクッと切ったらすぐにいろんな料理に使えるので、常備しておきたいくらいです。そもそも、きのこ類はさまざまな栄養素をバランスよく含む優等生が揃っていますが、えのきたけはどのような点で優れているのでしょうか。栄養素や選び方、保存方法など、えのきたけを探っていきます。

 

  1. えのきたけってどんなきのこ?
  2. えのきたけの選び方、保存のコツ
  3. 食物繊維以外にレタスが含む栄養素は?
  4. えのきたけの栄養を効率よく摂取するコツ
  5. えのきたけの栄養を活かす「おすすめレシピ」4選
  6. えのきたけは「万能きのこ」

えのきたけってどんなきのこ?

しいたけ、ぶなしめじ、エリンギ、まいたけ……スーパーマーケットを訪ねると、幾種類ものきのこが並んでいます。えのきたけもその一つ。かなりポピュラーなきのこといえます。
えのきたけはアジアやヨーロッパなどに広く分布していて、えのき、くわといった広葉樹の根元や枯れ木の幹などに発生します。

ただし、これは野生種の場合です。私たちがふだん食べている真っ白なえのきたけは、日光を当てずに暗い場所で菌床栽培されたもの。石づきを切り落としたら洗わずにそのまま使えるのでとても手軽ですよね。えのきたけの生産量が増えているのも納得です。
低カロリーで食物繊維も豊富なきのこ類のなかでも、えのきたけは特にビタミンB1を多く含んでいます。カリウムや鉄などのミネラルも豊富です。

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えのきたけの選び方、保存のコツ

えのきたけを選ぶ際は、全体的に白っぽいものがよいそうです。また、背丈が揃っていて、かさが開いていないこともポイント。べとついていないものを選びましょう。
買ってきて袋から取り出したら、水気をとるためにキッチンペーパーなどで包みます。そしてジッパー付き保存袋に入れて冷蔵庫へ。冷凍する場合は石づきを切り取り、小分けにして凍らせると使うときに少量ずつ出せるので便利ですよ。

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えのきたけに含まれる栄養素

先にふれましたが、えのきたけは食物繊維をはじめ、ビタミンB群やパントテン酸などの水溶性ビタミン、そしてカリウムや鉄などのミネラルが豊富です。えのきたけが含む主な栄養素を、しいたけ、ぶなしめじ、エリンギ、まいたけと比較した表もつくりましたので文章と併せてご覧ください。

[表] きのこ類の主な栄養素(可食部100gあたり)

食物繊維
食品名 エネルギー 食物繊維
総量
水溶性
食物繊維
不溶性
食物繊維
カリウム ビタミンD ビタミンB1 ビタミンB2 パントテン酸 備考
kcal g g g mg mg μg mg mg mg
えのきたけ 生 34 3.9 0.4 3.5 340 1.1 0.9 0.24 0.17 1.40
えのきたけ ゆで 34 4.5 0.3 4.2 270 1.0 0.8 0.19 0.13 0.96
しいたけ 菌床栽培 生 25 4.9 - - 290 0.4 0.3 0.13 0.21 1.21 食物繊維:AOAC.2011.25法
しいたけ 菌床栽培 ゆで 22 4.4 - - 200 0.3 0.5 0.08 0.11 0.71 食物繊維:AOAC.2011.25法
ぶなしめじ 生 26 3.0 - - 370 0.5 0.5 0.15 0.17 0.81 食物繊維:AOAC.2011.25法
ぶなしめじ ゆで 22 4.2 - - 280 0.4 0.9 0.12 0.10 1.07 食物繊維:AOAC.2011.25法
エリンギ 生 31 3.4 0.2 3.2 340 0.3 1.2 0.11 0.22 1.16
エリンギ ゆで 32 4.8 0.1 4.7 260 0.3 2.6 0.08 0.16 1.02
まいたけ 生 22 3.5 0.3 3.2 230 0.2 4.9 0.09 0.19 0.56
まいたけ ゆで 27 4.3 0.2 4.1 110 0.2 5.9 0.04 0.07 0.63

出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年(食物繊維の内訳のみ「食品成分データベース」を利用)

食物繊維

きのこ類は食物繊維を多く含む食材として知られています。えのきたけの食物繊維総量は可食部100gあたり3.9g(生)、同4.5g(ゆで)です。他のきのこ類、特にしいたけにも比肩するほど食物繊維が多いことがわかります。

日本人は食物繊維の摂取量が少ない傾向にあるため、手軽に料理できるえのきたけは意識して摂った方がよさそうです。

ビタミンB1

今回比較したきのこ類のなかで、もっとも多くビタミンB1を含んでいるのがえのきたけです。ビタミンB1は、炭水化物の代謝に欠かせない成分です。炭水化物がうまく代謝されないと、疲労物質が溜まって疲れやすくなり、炭水化物が脂肪として蓄積されたりするそうです。代謝をスムーズにするビタミンB1を補給するためにも、えのきたけは有効です。

カリウム

えのきたけはカリウムもたっぷり含んでいます。可食部100gあたりで340mg(生)、270mg(ゆで)で、ぶなしめじよりほんのわずかに及びませんが、その他のきのこ類よりも多いことがわかりますね。カリウムは、体のなかでナトリウムとバランスをとって細胞内液の量などを調整する役割を担っているそうです。

鉄もえのきたけが多く含んでいるミネラルです。えのきたけの含有量は可食部100gあたり1.1mg(生)、1.0mg(ゆで)で、その他のきのこ類の2倍の量を有しています。肺から酸素を受けとって、体のなかを循環して体内の組織に届ける役目を司るヘモグロビンの構成成分が鉄です。

ビタミンD

ビタミンDは体に吸収されると、骨や歯を形づくるのに不可欠なカルシウムやリンなどの吸収を助ける活性型ビタミンに変わります。骨や歯を丈夫にするための補助的な役割を果たすのがビタミンDといえます。まいたけやエリンギほどではないですが、えのきたけもビタミンDを豊富に含んでいます。

パントテン酸

以前はビタミンB5と呼ばれていたのがパントテン酸です。パントテン酸はたんぱく質、炭水化物、脂質の代謝にかかわっているため、エネルギー代謝に関して大事な役目を担っているほか、脂肪酸やコレステロールなどの合成にもかかわっているそうです。えのきたけは、しいたけやエリンギよりもパントテン酸を多く有しています。

GABA

えのきたけはGABAも含んでいます。GABAとは神経伝達物質であるγ-アミノ酪酸のことで、副交感神経の働きを高め、一時的な精神的ストレスを緩和する機能があるとされています。食事から摂るGABAが脳の神経経路にどう作用するのかについては研究中ですが、えのきたけを食べて穏やかな気持ちになれるならば、ロマンがありますね。

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えのきたけの栄養を効率よく摂取するコツ

栄養素をたっぷり含んだえのきたけ。調理するときはどのような点に気をつけると効率的に栄養が摂れるのでしょうか? 大きく3つご紹介します。

コツ1「汁ごといただく」

えのきたけが含むビタミンB1、ビタミンB2、パントテン酸は、水に溶けやすい「水溶性ビタミン」。ですので、えのきたけをスープやみそ汁などに用いて、汁ごと食べるようにするといいですよ。

コツ2「油で調理する」

一方、えのきたけが有するビタミンDは、油脂に溶けやすい「脂溶性ビタミン」です。えのきたけを油と調理したり、油と一緒に摂ったりすることで、ビタミンDが吸収しやすくなります。ビタミンB1が豊富な豚肉とともに調理する手もありますね。

コツ3「洗わない、加熱しすぎない」

料理の初心者が悩むのは、市販されているきのこ類を「洗った方がよいのか」「洗うとしたらどこまで洗っていいのか」という点です。えのきたけは菌床栽培ならば、石づきを切り落とすだけで洗わなくて大丈夫といわれています。洗うとせっかくの風味が、加熱しすぎるとシャキシャキした食感を失ってしまいますから気をつけましょう。

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えのきたけの栄養を活かす「おすすめレシピ」4選

えのきたけはさまざまな料理に使いやすい食材です。おつまみで楽しみ、炒めたり、豚肉で巻いたり、ごはんにも、そしてスープにも合うえのきたけ。レシピを5つご紹介します。

 

レシピ1:
おつまみえのき

材料(4人分):

えのきたけ:大2袋(400g)
小ねぎ(小口切り):大さじ2
赤とうがらし(小口切り):適量
ごま油:大さじ1

〈漬け用たれ〉
ミツカン 味ぽん:100ml
水:50ml
砂糖:大さじ1
おろしにんにく:小さじ1/2
いりごま(白):大さじ1

作り方:

1. えのきは石づきを切り落とし、小房にわけて保存容器に入れる
2. 〈漬け用たれ〉をいれ、ふんわりとラップをかけ、電子レンジ(600W)で4分ほど加熱する
3. 軽く混ぜ、小ねぎ、赤とうがらし、ごま油を加え、冷蔵庫で約1時間ほど冷やす

レシピの詳細はこちら!

 

レシピ2:
きのこのバタぽん炒め

材料(2人分):

しいたけ:2枚(30g)
エリンギ:1本(40g)
しめじ:1/2パック(50g)
えのきたけ:1/3パック(30g)
ベーコン:1枚
バター:大さじ2/3
ミツカン 味ぽん:大さじ1
小ねぎ(小口切り):適宜

作り方:

1. きのこは石づきを取る。しいたけは5mm幅に、エリンギは3cm長さの5mm幅に切る。しめじとえのきだけは小房に分ける。ベーコンは1cm幅に切る
2. バターをフライパンに入れ中火で熱し、ベーコンを炒め、次にきのこを軽く焼き色がつくまで炒める。「味ぽん」を回し入れ、炒めからめる
3. 器に盛り、お好みで小ねぎを散らす

 

※作り置きの場合、小ねぎは食べる際に散らしてください
※冷蔵庫に保管し、3~4日を目安にお召し上がりください

レシピの詳細はこちら!

 

レシピ3:
レンジで! にんじんとえのきの肉巻き

材料(2人分):

豚バラ肉 薄切り:150g
にんじん:5cm
えのきたけ:1/2パック(50g)
塩・こしょう:少々

〈タレ〉
ミツカン 味ぽん:大さじ2
ごま油:大さじ1/2

作り方:

1. にんじんは細切りにする。えのきは石づきを取り、半分に切る
2. 豚肉を広げ、塩・こしょうをふり、にんじん、えのきを巻く
3. 耐熱容器に2を重ならないように並べ、ふんわりとラップをかけ、電子レンジ(600W)で5分、豚肉に火が通るまで加熱する
4. 3のラップをはずして器に盛り、〈タレ〉をかける

 

※電子レンジの加熱時間は目安ですので、その都度調整してください

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レシピ4:
まるでなめたけ? とろとろたまごえのき丼

材料(1人分):

ご飯:丼1杯分
卵:1個
小ねぎ(小口切り):適量

<A>
ミツカン 味ぽん:大さじ1と1/2
砂糖:大さじ1/2
水:50ml
鶏がらスープの素:小さじ1/2
片栗粉:小さじ1/2
えのきだけ:1/2パック(100g)
ごま油:適宜
粗挽き黒こしょう:適宜

作り方:

1. えのきだけは石づきを切り落とし、3等分に切る。卵は軽くとく
2. フライパンに<A>をすべて入れ、よく混ぜる。中火にかけ、よくかき混ぜながら加熱し、煮立ってとろみがでたら、溶き卵を回し入れる
3. 半熟で火をとめ、ご飯をよそった丼の上にかける。お好みでごま油や粗挽き黒こしょうをかける

レシピの詳細はこちら!

 

レシピ5:
きのこの和風スープ

材料(2人分):

えのきたけ:1/2パック
エリンギ:1/2パック
なめこ:1/2パック
ほたて貝柱 (水煮缶):30g
ミツカン プロが使う味 白だし:小さじ4
水:2と1/2カップ
小ねぎ:適量
黒こしょう:少々

作り方:

1. えのきだけは石づきを取り、3cm長さに切る。エリンギは石づきを取り、3cm長さの細切りにする
2. 鍋に「プロが使う味 白だし」と水を煮立たせ、1、なめこ、ほたて貝柱を入れて黒こしょうで味を調える
3. お好みで小口切りした小ねぎを散らす

 

※なめこは煮すぎると色が悪くなります。直前に入れてきのこの香りを楽しみましょう

レシピの詳細はこちら!

えのきたけは「万能きのこ」

歯ごたえがあって、でも味にあまりクセがなく、火の通りがいいので手早く炒めればシャキッとした食感が楽しめ、鍋にも合う――えのきたけは、さまざまな料理が楽しめる「万能きのこ」といえるかもしれませんね。

【A】

 

 

 

<執筆に利用した学術論文、総説・解説、書物等の一覧>

【A】農林水産省Webマガジン「aff」2021年10月号「おいしいきのこ図鑑」

【B】林野庁情報誌『林野-RINYA-』2020年11月号特集「きのこ」

【C】『旬の野菜の栄養事典――春夏秋冬おいしいクスリ』(エクスナレッジ 2016)

【D】池上文雄ほか監修『からだのための食材大全』(NHK出版 2018)

【E】JAグループWeb「とれたて大百科/エノキタケ(榎茸)」

【F】五関正江監修『ビタミン・ミネラルがよくわかる本――上手にとって健康に!』(つちや書店 2023)

【G】公益財団法人 長寿科学振興財団Web「健康長寿ネット」食物繊維の働きと1日の摂取量

【H】京都府立大学Web「GABAが脳機能に作用する機序についての産学連携研究成果をスイスの学術誌で発表」

【I】農業協同組合新聞Web「ストレス緩和にエノキタケ GABA機能性表示商品発売 JA中野市」

自然の恵みがぎゅっとつまった「はちみつ」。その栄養や効果とは? ブドウ糖に期待できる効果とは?何分後に効果が出やすい?多く含まれる食材を徹底解説

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