ビタミンAが多い食べものは? 不足しないように気をつけて!

私たちは日々さまざまなものを食べて生きています。炭水化物、脂質、たんぱく質が三大栄養素ですが、これにビタミンとミネラル(無機質)を加えて五大栄養素とも呼んでいます。
ビタミンやミネラルは、食べものを消化し、エネルギーを生み、骨や細胞をつくり直すなどの代謝をサポートする大事な栄養素です。
そのなかでも今回は「ビタミンA」についてご紹介します。
ビタミンAの働きとは
ビタミンAには、暗いところでも視力を保ち、また皮膚や粘膜を正常な状態にするなどの働きがあるとされています。
ビタミンAをはじめ体内のさまざまな生理機能を補助するビタミン。その語源は、「生命維持に必要なアミン類(Vital+Amine)」です。Vitalは生命を意味し、amineはアミン化合物を指します。ビタミンの種類を表すAやB、Cなどはほとんどの場合、発見された順序を指しているそうです。
ビタミンには大きく分けて水に溶けやすい「水溶性ビタミン」と、水には溶けずに油脂に溶ける「脂溶性ビタミン」があります。ビタミンAは脂溶性ビタミンの一種です。
ビタミンAが体内に入ると小腸から吸収され、そして肝臓に蓄えられます。そのあと必要なときに分解されてそれぞれの組織に運ばれるそうです。夜間の視角を助け、皮膚や粘膜の免疫機能を保つほか、体の発育を促し、遺伝子を転写するなどにかかわるとされています。
【A】【B】
気軽に手軽に発酵性食物繊維
\中身を自由に入れ替えられる/
Fibeeスターターセット
ビタミンAが多く含まれる食べものランキング一覧
ビタミンAを多く含む食べものにはどのようなものがあるのでしょうか。「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに、野菜類、果実類、動物性食品、海藻類からピックアップしました。
ちなみに、ビタミンAには多くの種類があります。動物性食品に含まれるレチノールやレチナールなどのほか、植物性食品に含まれていて体内でビタミンAに変換されるため「ビタミンA前駆体(プロビタミンA)」と呼ばれる成分です。よく聞く「β(ベータ)-カロテン」はこのプロビタミンAの一つ。プロビタミンAはおよそ50種類が確認されているそうです。
ここでは、それらをすべて含む「レチノール活性当量(RAE)」の値で、日ごろよく調理して摂取しやすい食品を見ていきます。
ビタミンAを多く含む「野菜」
にんじんやほうれん草といった緑黄色野菜はβ-カロテンを豊富に含んでいるのでおすすめです。モロヘイヤ、西洋かぼちゃも上位に位置しています。しゅんぎくやにら、こまつななどの葉物野菜に加えて、だいこんやかぶなど根菜類の葉も料理に生かしたいところです。
[表1]野菜類に含まれるビタミンA
レチノール活性当量/可食部100g当たり | |
---|---|
食品名 | レチノール活性当量(㎍) |
にんじん 根 皮なし 生 | 630 |
ほうれんそう 葉 通年平均 油いため | 630 |
モロヘイヤ 茎葉 ゆで | 550 |
西洋かぼちゃ 果実 焼き | 450 |
しゅんぎく 葉 ゆで | 440 |
にら 葉 油いため | 380 |
だいこん 葉 ゆで | 370 |
(レタス類)サンチュ 葉 生 | 320 |
かぶ 葉 ゆで | 270 |
こまつな 葉 ゆで | 260 |
出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
ビタミンAを多く含む「果物」
果実類もβ-カロテンを多く含むものが上位を占めています。またマンゴーやあんず、プルーンは乾燥させているので、ビタミンAが凝縮しているといえます。意外に感じるのが、すいかやまくわうりなどうり科が名を連ねていること。うり科は水分もたっぷり含んでいますので、旬に楽しみたいですね。
[表2]果実類に含まれるビタミンA
レチノール活性当量/可食部100g当たり | |
---|---|
食品名 | レチノール活性当量(㎍) |
マンゴー ドライマンゴー | 500 |
あんず 乾 | 410 |
メロン 露地メロン 赤肉種 生 | 300 |
かき 干しがき | 120 |
(すもも類)プルーン 乾 | 100 |
うんしゅうみかん 砂じょう 早生 生 | 92 |
すいか 赤肉種 生 | 69 |
びわ 生 | 68 |
もも 黄肉種 生 | 17 |
まくわうり 黄肉種 生 | 15 |
出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
ビタミンAを多く含む「動物性食品」(肉類・魚介類・乳製品)
人間だけでなく動物もビタミンAは肝臓に貯蔵します。そのため、ぶたやにわとりのレバーには多くのビタミンAが含まれているのです。魚介類ではうなぎ(白焼きとかば焼きは同数値)とホタルイカがツートップです。牛乳やチーズなどの乳製品もビタミンAが豊富ですので見逃せません。
[表3]肉類、魚介類、乳類に含まれるビタミンA
レチノール活性当量/可食部100g当たり | ||
---|---|---|
食品名 | レチノール活性当量(㎍) | |
ぶた スモークレバー | 17000 | |
にわとり 肝臓 生 | 14000 | |
ぶた 肝臓 生 | 13000 | |
ぶた レバーペースト | 4300 | |
うなぎ 白焼き&かば焼 | 1500 | |
ほたるいか 生 | 1500 | |
うし 肝臓 生 | 1100 | |
くろまぐろ 養殖 赤身 焼き | 1100 | |
あなご 蒸し | 890 | |
しろさけ すじこ | 670 | |
あゆ 養殖 焼き | 480 | |
ナチュラルチーズ マスカルポーネ | 390 | |
ナチュラルチーズ チェダー | 330 | |
プロセスチーズ | 250 | |
生乳 ジャージー種 | 53 | |
普通牛乳 | 38 | |
ヨーグルト 全脂無糖(プレーンヨーグルト) | 33 |
出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
ビタミンAを多く含む「藻類」
意外と盲点になっているのは藻類。あまのり、いわのり、あおのり、わかめなどの海藻は特にβ-カロテンが豊富です。ひじきやこんぶも含めて、積極的に摂るようにしましょう。
[表4]藻類に含まれるビタミンA
レチノール活性当量/可食部100g当たり | |
---|---|
食品名 | レチノール活性当量(㎍) |
あまのり ほしのり(のり) | 3600 |
あまのり 味付けのり | 2700 |
あまのり 焼きのり | 2300 |
いわのり 素干し | 2300 |
あおのり 素干し | 1700 |
ひとえぐさ 素干し | 710 |
乾燥わかめ 板わかめ | 710 |
かわのり 素干し | 580 |
ほしひじき ステンレス釜&鉄釜 乾 | 360 |
みついしこんぶ 素干し(日高こんぶ) | 230 |
出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
【A】【B】【C】
関連リンク:
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
ビタミンAの一日の摂取推奨量は?
私たちはビタミンAを1日にどれくらい摂ればよいのでしょうか。
厚生労働省が発表した「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書によると、ビタミンAの1日の推奨量として、18歳以上の成人男性が850~900μgRAE/日、18歳以上の成人女性が650~700μgRAE/日とされています。
また、65歳以上の高齢者については男性が800~850μgRAE/日、女性が650~700μgRAE/日と設定されています。
関連リンク:
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書「ビタミン」
ビタミンAが足りないと?
ビタミンAが足りなくなると、例えば夜間やトンネル、映画館などの暗い場所でものが見えにくくなる、いわゆる「夜盲」を起こすといわれています。乳幼児の場合は角膜乾燥症から失明に至ることすらあるようです。
また、皮膚が乾燥することで角質化が進んだり、免疫が落ちて皮膚や粘膜が乾燥して感染症にかかりやすくなったり、成長期には骨や神経系の発達が抑制されたりするそうです。
そうならないように、日ごろからしっかりビタミンAを摂取したいですね。
ビタミンAを摂りすぎると?
一方、ビタミンAの欠乏を心配するあまり過剰に摂取してしまった場合はどうなるのでしょうか。
ビタミンAは冒頭でお伝えしたように脂溶性ビタミンです。そのため、体内に蓄積しやすく、過剰に摂取すると悪影響が出るとされています。肝臓障害や骨密度や骨折、脂質代謝の悪化のほか、頭蓋骨内の圧力が高まることで頭痛や吐き気が起きるそうです。
そこでビタミンAには耐容上限量が定められています。「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では成人男女ともに2700μgRAE/日とされています。ビタミンAの過剰な摂取による健康被害は、サプリメントや動物の肝臓を大量に摂取したときに起こるそうなので気をつけましょう。
ちなみに、先ほどご説明したビタミンA前駆体(プロビタミンA)からビタミンAへの変換については体内で厳密に調整されているため、例えばβ-カロテンを多めに摂ったとしても過剰症にはならないとされています。
妊娠中や授乳中はどれくらい摂取すべき?
ところが、妊婦や妊娠の可能性のある女性は、ビタミンAの過剰摂取には十分注意しなければならないといわれています。胎児の発達に不可欠なビタミンAは胎盤から胎児に供給されるため、妊娠の初期に過剰摂取すると奇形などの先天異常を起こすケースがあるそうです。
ただし、妊娠の後期になると、妊婦が適切な栄養状態を維持するために付加量というものが設定されています。また、母乳から分泌されるビタミンAも大事なので、授乳期は妊娠後期よりも付加量が多く設定されています。
【A】【B】【C】【D】【E】【F】
気軽に手軽に発酵性食物繊維
\中身を自由に入れ替えられる/
Fibeeスターターセット
ビタミンAを摂るときのポイント
ビタミンAをしっかり摂るために、気をつけたい点がいくつかあります。
冒頭でお伝えしたように、ビタミンAは油脂に溶ける脂溶性ビタミンですので、油とともに摂取すると吸収率がアップするといわれています。また、ビタミンEは、うなぎ(かば焼き)やすじこ、あゆ、西洋かぼちゃなどに多く含まれているので、ビタミンAと同時に摂取できるメリットがあります。ミネラルの一種である亜鉛もぶたのレバーやうなぎ(かば焼き)に含まれています。
ビタミンAを意識するとビタミンEや亜鉛も一緒に摂ることができるのですね。
ビタミンAを摂るときのポイント1「レバー」
体内では肝臓に蓄えられるビタミンA。ヒトだけでなく他の動物もそうなので、味に少し癖はありますがぶたやにわとりなどのレバー(肝)を積極的に食べるようにしましょう。ただし、食べすぎにはくれぐれもご注意を。
ビタミンAを摂るときのポイント2「緑黄色野菜」
β-カロテンを豊富に含んでいる緑黄色野菜をしっかり摂るようにしたいものです。にんじんやかぼちゃはもちろんのこと、ビタミンAを効率よく摂るにはほうれん草やしゅんぎく、にらなどを油で炒めるのもよさそうです。
ビタミンAを摂るときのポイント3「海藻」
のりはビタミンAをたっぷり含んでいますから、焼きのりでも味付けのりでも食べることを心がけたいですね。味噌汁の具材に乾燥わかめを用いるのは、手軽なうえに効果がありそうです。
【B】
ビタミンAは不足になりがち
現在13種類あるビタミンのなかでも、ビタミンAはメジャーな存在です。その名前を知らない人はいないと思いますが、どのような働きがあるのかなど、意外と知らないことも多かったのではないでしょうか。
残念なことに、日本人の全世代でビタミンAの摂取量は不足気味で、特に若い女性のビタミンA不足が目立つそうです。
ぜひこの機会にビタミンAに目を向けて、バランスのよい食生活に切り替えてくださいね。
【B】
気軽に手軽に発酵性食物繊維
\中身を自由に入れ替えられる/
Fibeeスターターセット
<執筆に利用した学術論文、総説・解説、書物等の一覧>
【A】公益社団法人 日本ビタミン学会Web「ビタミンQ&A」
【B】五関正江監修『ビタミン・ミネラルがよくわかる本――上手にとって健康に!』(つちや書店 2023)
【C】公益財団法人 長寿科学振興財団Web「健康長寿ネット」