ダイエットのやり方とは?食事や運動で効果的に痩せる方法を解説

食事と運動。ダイエットに重要な2つの側面から、健康に効果的なダイエットを続けるポイントを解説していきます。これからダイエットを始めたいと思っている方、始めてみたけど効果が感じられていない方、ぜひ読んでみてくださいね。
- 体に脂肪がある理由
- ダイエットの基本的なやり方
- ダイエットのやり方を間違うことによるリスク
- 食事によるダイエット方法の基本
- 食事によるダイエットの目標設定のポイント
- 食事を利用した簡単ダイエット例
- 運動によるダイエット方法の基本
- ダイエットを始める際に見直したい生活習慣
- ダイエットのやり方に関するよくある質問
- まとめ
体に脂肪がある理由
ダイエットをする上で気になる存在は脂肪ですが、そもそもなぜ体に脂肪が蓄積されてしまうのでしょうか?それは、エネルギー収支のバランスが崩れ、摂取エネルギー量が消費エネルギー量を上回るためです。
私たちは毎日の食事からエネルギーを獲得し、そのエネルギーを消費しながら生命活動をおこなっています。しかし、食事から摂取したエネルギーを消費しきれないと、その余りが脂肪として体内に蓄えられていきます。
ただ、脂肪は体温の維持や臓器の保護など、多くの重要な機能を支えています。しかし、脂肪が過剰に蓄積してしまうと、肥満に繋がります。肥満は、心血管疾患、糖尿病など生活習慣病のリスクを高めることが知られているため注意が必要です。1)

ダイエットの基本的なやり方
ダイエットに取り組む上で覚えておきたい2つのポイントは、
具体的にこの2つのポイントについて、次で説明します。
1:摂取するエネルギー量を減らす
摂取エネルギー量を減らすためには、普段の食事を意識することがとても大切です。高カロリーな食品や飲料の摂取を控えるなど、食事から摂取するエネルギー量を減らすことで、消費すべきエネルギー量も減少します。食事の内容やバランス、頻度、タイミング等を見直し、摂取するエネルギー量を減らしてみましょう。
一方で、エネルギー不足により集中力が低下するなどデメリットもあるため、無理のない範囲で実行するようにしましょう。
2:消費するエネルギー量を増やす
食事から得たエネルギーは日々の生活で消費することになるため、運動量を増やし消費エネルギー量を増加させることがダイエットに効果的です。
エレベーターの代わりに階段を使う、通勤通学の際に徒歩や自転車を利用するなど、日常的な動作を工夫することでエネルギーを消費できます。
また、定期的な運動を習慣化することも効果的です。ジョギングなどの有酸素運動や筋力トレーニングを組み合わせ、エネルギー消費量を増やしていきましょう。

ダイエットのやり方を間違うことによるリスク
ダイエットは日々の食生活や運動を意識することが大切ですが、極端なダイエットは健康に悪影響をもたらす可能性もあるため注意が必要です。
ここでは3つのリスクをご紹介します。
リスク1:栄養不足
ダイエットと聞くと食事量を極端に制限するイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれません。しかし、無理なダイエットは健康維持に必要な栄養素が不足している可能性があります。炭水化物を全く食べない、1日1食にする、サラダだけ、など特定の食品を口にしない食事や極端なカロリー制限は、健康維持に欠かせないタンパク質・脂質・炭水化物の他、ビタミンやミネラルが不足しているかもしれません。
例えば、カルシウム欠乏による骨粗鬆症のリスクや鉄分欠乏による貧血のリスクなど、栄養不足が原因で健康を損なう可能性があります。2)
健康を維持しながらダイエットをおこなうためには、主食・主菜・副菜を意識し栄養バランスに気をつけた食事を心がけましょう。
リスク2:リバウンド
無理なダイエットはダイエット期間終了後に体重が戻ってしまう「リバウンド」を引き起こす可能性があります。急激に体重を減らすと、体が飢餓状態と認識し、エネルギーを体脂肪として蓄積しやすくなります。
また、筋肉量の低下など、基礎代謝の低下により、以前よりも少ないエネルギーで体重が増えるリスクが高まります。
リスク3:心身の健康への悪影響
誤ったダイエットは心身の健康に悪影響を与えることがあります。偏った食生活による栄養不足や急激な体重減少は、だるさや疲れやすさにつながり、日常生活に支障をきたす可能性があります。
また、過度な食事制限がストレスの原因にもなったりします。近年、特に若い女性の「やせ」願望も問題視されており、痩せる必要がないのに極端なダイエットをおこなうと、摂食障害のリスクを高める可能性があります。健康的にダイエットをおこなうためには、無理のない範囲で行い、周囲のサポートも取り入れながら心身のバランスを保つことが重要です。3)

食事によるダイエット方法の基本
食事によるダイエットは、自分自身が1日に必要なカロリーを把握した上で、栄養バランスの取れた食事を心がけることが大切です。
例えば、PFCバランス(P:タンパク質、F:脂質、C:炭水化物)を意識しながら、さらに、ビタミンやミネラルが摂れる野菜や果物も積極的に食べましょう。
また、食事のタイミングや食べ方も重要です。例えば、夜遅い時間に食べると血糖値が上昇することが知られているため、規則正しい食事を心がけましょう。4)

食事によるダイエットの目標設定のポイント
食事によるダイエットの目標を設定する際には、急激な体重減少を目指すのではなく、自分の体格やライフスタイルを意識しながら、無理のない範囲で実現可能な目標を設定しましょう。
3か月で3キロ落としたい場合の例
体重1kgあたりのエネルギー量は、約7,000kcalであることがわかっています。仮に現在の体重をキープできる食生活を続けている場合、それよりも7,000×3=21,000kcal少ない食事を3ヶ月間続けることができれば、3kg体重が落とせる可能性があります。3ヶ月間はおよそ90日なので、1日あたり234kcal、1食あたり78kcal減らす必要があるということになります。9)
文科省による「食品成分データベース」など、手軽に食品のエネルギーを計算できるサービスもありますので、活用してみてくださいね。
食事を利用した簡単ダイエット例
ここからは、普段の食事の中で取り組みやすいダイエット方法を紹介します。
1:食事の食べ方を工夫する
まずは食べ方を工夫すると、摂取エネルギー量を減らしたり、血糖値の急激な変動を抑えたりすることに効果的です。
具体例
・食べる順番に注意し、野菜を最初に、炭水化物を最後に食べる
野菜などに含まれる水溶性食物繊維が糖質の消化吸収を遅らせ、食後の血糖値上昇を抑えると考えられています。4)
食後の血糖値をなるべく上げないよう、野菜から順番に食べることを意識してみましょう。
・よく噛んで食べる
よく噛むことで満腹感を得られやすくなり、食べ過ぎ防止に効果的です。
・1日3食の規則正しい食生活を心がけ、間食の量や頻度を減らす
間食は気分をリフレッシュし、毎日3食の食事で不足した栄養素を補うこともできます。
ただし、間食で高糖質なお菓子などを食べ過ぎると肥満につながるため、朝昼晩の3食の食事を減らして間食を食べるなど偏った食生活にならないよう注意が必要です。
2:レコーディング・ダイエット
レコーディング・ダイエットは、毎日の食事内容や体重などを記録することで、日々の食習慣を「見える化」することができます。記録により、普段意識していなかった摂取カロリーや栄養バランスを把握しやすくなります。
また、自分の食習慣を客観的に見直すことができ、改善点を見つけやすくなります。近年では、簡単に食事管理ができるスマートフォンアプリもありますので、活用してみるのもよいでしょう。

3:置き換えダイエット
置き換えダイエットは、1日のうち1食を低カロリーの食品やシェイクなどに置き換える方法です。これにより、摂取カロリーを抑えることができます。
例えば、朝食や夕食をプロテインシェイクや低カロリーのスムージーに置き換えることで、効果的にカロリーをコントロールできます。
4:糖質制限ダイエット
糖質制限ダイエットは、短期的に炭水化物の摂取量を減らし食後の血糖値上昇を抑える方法です。ただし、長期的な糖質制限はリバウンドの可能性もあるため、注意が必要です。4)
具体的には、白米やパン、パスタなどの精製された炭水化物を控え、血糖上昇抑制効果のある食物繊維を含む玄米や全粒穀物、野菜などを多く摂取する食事に変えてみましょう。
5:サプリメント等で栄養バランスを整える
ダイエット中こそ栄養バランスの取れた食事が重要ですが、摂取エネルギーを抑えることを意識するあまり食品選びが偏り、必要な栄養素が不足してしまうことが少なくありません。
栄養バランスを整えるため、補助的にサプリメントを使うことも選択肢の1つとして有効でしょう。ただし、あくまでベースになるのは食事です。やむを得ず継続的に利用する場合は、定期的に医師や栄養士などに相談することをおすすめします。

6:お水やお茶の代わりにノンカロリーの炭酸水
炭酸水を飲むと、胃の中に炭酸ガスが広がり満腹感を得やすくなると考えられています。食事の前や最中に飲むことで、食べ過ぎを防ぐことができそうです。ただし、満腹感から十分な量を飲めない可能性もあるため、夏場など多量の水分補給が必要な際には注意が必要です。
【ダイエットにおすすめの食材】
タンパク質の摂取には、豆腐や納豆などの大豆加工品、牛肉や豚肉に比べて脂質の少ない鶏肉がおすすめです。鶏肉は、特に脂質の少ないササミや胸、砂肝などを選ぶとよいでしょう。腸内環境を整えてくれる食物繊維の摂取には、海藻類やきのこ類、野菜、芋類がおすすめです。野菜は、ごぼう、モロヘイヤ、ブロッコリー、春菊、水菜などに、特に食物繊維が多く含まれています。芋類は糖質も豊富なので、代わりに主食を抜く、就寝直前に食べないなどの工夫で、摂取カロリーが過剰にならないように注意したいところです。10)
運動によるダイエット方法の基本
ダイエットではエネルギーを消費することも重要なポイントで、特に運動が効果的です。日常生活の過ごし方を工夫し、ジョギングなどの有酸素運動や筋力トレーニングなどの無酸素運動に取り組むなど様々な方法があります。
運動は体に負担をかけるため、怪我や体調に注意しながら、自分に合った運動の種類や量を選択しましょう。無理のない範囲でできるものから取り組んでいくことがオススメです。5)
1:日常生活の過ごし方を工夫する
日常生活の中で消費エネルギーを増やすために、今よりも少しでも多く体を動かすことを意識してみましょう。
具体例
・エレベーターの代わりに階段を使う
・通勤通学の際に徒歩や自転車を利用する
・デスクワークの合間に立ち上がってストレッチをする
・家事や掃除を積極的に行う
このように生活の中での小さな工夫を継続することが大切です。5)
2:有酸素運動の方法
有酸素運動は、脂肪をエネルギー源とする、筋肉への負荷が比較的軽い運動です。代表的な有酸素運動として、ジョギング、ウォーキング、サイクリング、水泳などが挙げられます。5)
有酸素運動を適切な方法で習慣的に実施することで、消費エネルギー量が増加し、体脂肪の減少につながります。6)

3:無酸素運動の方法
無酸素運動は短時間で大きな力を発揮する強度の高い運動です。
代表的な無酸素運動には、筋力トレーニング(筋トレ)が挙げられ、スクワットや腕立て伏せ、ウエイトトレーニングなどがあります。厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド 2023」では、週に2~3回行うことが推奨されています。5)
また、筋トレは筋肉に負荷をかける運動なので、筋肉を休ませる休息日を設けることも忘れないようにしましょう。5)7)8)

4:有酸素運動と無酸素運動の組み合わせ
筋力トレーニングなど、筋肉量増加につながる無酸素運動を組み合わせることで、有酸素運動での消費エネルギーを増やすことができることがわかっています。同じタイミングで両方の運動を行う場合は、無酸素運動を先に、有酸素運動を後に行うことで、より効果的に筋肉量を増やすことができると考えられています。11)
組み合わせの例と消費カロリー
国立研究開発法人産業技術総合研究所が、改訂第 2 版 『身体活動のメッツ(METs)表』 成人版で公表している「メッツ値」を用いた下記の式で、さまざまな活動の消費エネルギーを算出することができます。12)
消費エネルギー(kcal)=メッツ値 × 体重(kg) × 活動実施時間(hour)
体重60kgの成人が、有酸素運動として散歩を1時間、無酸素運動としてスクワット・ランジ・腕立てふせ、腹筋などの自重トレーニングを30分行う場合の消費エネルギーは、
3.5×60×1+3.0×60×0.5=300kcal
となります。
ダイエットを始める際に見直したい生活習慣
効果的なダイエットを健康に続けていくためには、生活習慣から整えていく必要があります。ここでは、食習慣に絞って3つのポイントを紹介します。
朝ごはんは抜かない
朝ごはんを食べることには、体内時計が司る代謝のリズムを正しく調整し、体重増加を抑制する働きがあることがわかっています。摂取エネルギーを減らす → 食事回数を減らす、という発想になりがちですが、回数を減らすのではなく、内容を考えた上で朝ごはんを毎日食べるようにしましょう。13)
夜ごはんも抜かない
大学生を対象に行われた研究で、夜ごはんをほぼ毎日食べる人と、食べることが習慣化していない人とを比べると、後者の方が太りやすいという結果が出ています。夜ごはんを抜いた空腹感で間食が増え、逆に体重が増えてしまう。そんなリスクも考えると、メニューや食べ方、時間帯などに気をつけながら毎日夜ごはんを食べる方が、健康にダイエットを続けられそうですね。14)
寝る直前に食べない
上記の通り、健康的なダイエットには朝ごはん習慣が欠かせませんが、朝しっかり食べるためには、寝ている間に胃や腸などの消化器官を休める必要があると考えられています。食べてから寝るまで、2~3時間ほどあけられるよう、夜ごはんの時間を調整してみるといいでしょう。
ただ、仕事などでどうしても夜ごはんが遅い時間になってしまうこともありますよね。その場合は、糖質量の多い主食系のものだけ早めの時間に食べてしまい、後からおかずなど副食系のものを食べる「分食」を活用することで、摂取エネルギー量を抑えることができるでしょう。15)
ダイエットのやり方に関するよくある質問
ダイエットを始めたばかり、これから始めたいと思っている方が、疑問に思いそうなポイント2点について解説していきます。
ダイエットを失敗しないコツは?
これまで慣れ親しんできた方法を変えることには、負担がつきまとうもの。できるだけその負担を小さくするために、小さな目標からスタートすることをおすすめします。続けることで少しずつ体と心が慣れてくるのにあわせて、目標も調整していけばいいのです。
食事制限と運動、両方必要?
必ずしも両方必要ということはありませんが、両輪で行う方が効果が高いと言えるでしょう。ただし、やはりこれも健康に続けることを第一に、ストレスのない方法で取り組むことが重要です。いろいろ試してみながら、あなたが無理なく続けられる方法を見つけてみてくださいね。
まとめ
仕組みから実践方法まで、ダイエットについて詳しく見てきましたが、いかがでしたでしょうか? 記事中でもお伝えした通り、最適な方法は人によって違います。より健康な毎日のために、あなたが楽しく続けられる方法を見つけてみてくださいね。
<執筆に利用した学術論文、総説・解説、書籍等の一覧>
1) 肥満と健康 - 健康づくりサポートネット - 厚生労働省
2) 日本人の食事摂取基準(2020年版)報告書 - 厚生労働省
3) 若い女性の「やせ」や無理なダイエットが引き起こす栄養問題 - e-ヘルスネット - 厚生労働省
4) 今井佐恵子:食べ方と食べる時間が血糖変動に影響を与える 化学と生物 Vol. 56, No. 7, 2018
5) 健康づくりのための身体活動・運動ガイド 2023 - 厚生労働省
6) エアロビクス / 有酸素性運動 - e-ヘルスネット - 厚生労働省
7) アネロビクス / 無酸素性運動 - e-ヘルスネット - 厚生労働省
8) レジスタンス運動 - 健康づくりサポートネット - 厚生労働省
9) 「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」情報シート:身体活動とエネルギー・栄養素 - 健康づくりサポートネット - 厚生労働省
10) 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年 - 文部科学省
11) 下村 祐介、南條 千人、熊崎 大輔、大工谷 新一、高野 吉朗:筋力増強訓練と有酸素運動の実施順序の違いによる効果の検討
12) 中江 悟司、吉村 英一、小野 玲:改訂第2版『身体活動のメッツ(METs)表』成人版
13) 佐々木 裕之、柴田 重信:時間栄養学的視点で健康な食生活リズム Journal of Japanese Biochemical Society 93(1): 82-92 (2021)
14) Ryohei Yamamoto, Ryohei Tomi, Maki Shinzawa, Ryuichi Yoshimura, Shingo Ozaki, Kaori Nakanishi, Seiko Ide, Izumi Nagatomo, Makoto Nishida, Keiko Yamauchi-Takihara, Takashi Kudo, and Toshiki Moriyama. Associations of Skipping Breakfast, Lunch, and Dinner with Weight Gain and Overweight/Obesity in University Students: A Retrospective Cohort Study, Nutrients. 2021 Jan 19;13(1):271. doi: 10.3390/nu13010271.
15)ノーベル賞で話題の「体内時計」は「時間栄養学」でコントロール -早稲田ウィークリー-