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水溶性食物繊維が多い食品は?1日の摂取目標量や効率のよい摂取法を紹介!

水溶性食物繊維が多い食品は?1日の摂取目標量や効率のよい摂取法を紹介!
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「食物繊維は体にいい」とよく言われますが、意外なことに食物繊維はかつて軽視されていたそうです。食物繊維は、便秘の予防など腸を整える働きだけではなく、血糖値の上昇を抑えたり、血液のなかのコレステロール濃度を下げる効果が期待されるなど、健康をもたらすものとしてとても注目されていますよね。1)
食物繊維とは「ヒトの消化酵素で消化されない食品の難消化性成分の総体」と定義されています。2)

積極的に摂ることが推奨されている食物繊維のなかでも、今回は「水溶性食物繊維」に目を向けました。

  1. 大別して2種類ある食物繊維
  2. 「便秘気味の人向け」の水溶性食物繊維
  3. 「便を大きくしたい」なら不溶性食物繊維
  4. 水溶性食物繊維を多く含むのは植物性食品
  5. もっと摂りたい水溶性食物繊維
  6. 水溶性食物繊維を上手に摂取する方法
  7. 水溶性食物繊維は「発酵性食物繊維」にも含まれる
  8. 善玉菌に効く水溶性食物繊維を摂取しよう

大別して2種類ある食物繊維

糖質、脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラルに次ぐ「第6の栄養素」とも称される食物繊維は、便通を整えるだけでなく、脂質や糖などを体外に排出する働きがあるうえ、腸内細菌を増やすなど健康を保つためにとても大切な役割を担っています。

食物繊維を大きく分けると、水に溶けやすい「水溶性食物繊維」、水に溶けにくい「不溶性食物繊維」があります。

「便秘気味の人向け」の水溶性食物繊維

その名の通り、水に溶けやすい性質をもつのが水溶性食物繊維で、水に溶けると腸のなかでゼリー状の成分となります。
食後の血糖値の上昇を抑える効果があるとされているほか、コレステロールなど体に不要な物質を吸着し排出することで、血液中のコレステロール値を下げるといわれています。高血圧の予防につながるナトリウムを排出する役割があるとも見込まれています。3)

水溶性食物繊維の成分には、ペクチン、グルコマンナン、アルギン酸、アガロース、アガロペクチン、カラギーナン、ポリデキストロースなどがあります。4)

ふだん便秘気味で便を柔らかくしたい人や、便秘と下痢を繰り返す人にオススメです。3)

「便を大きくしたい」なら不溶性食物繊維

一方、水に溶けにくいのが不溶性食物繊維です。
腸内細菌による分解を受けにくく、また水分を吸収するため便の体積を増やす(便が大きくなる)性質があります。便が大きくなれば腸壁が刺激を受けるため排出を促す蠕動運動が盛んになるため、腸がきれいになり大腸がんの罹患リスクが下がるとされています。3)5)

不溶性食物繊維の成分には、セルロース、ヘミセルロース、キチン、キトサンなどがあります。4)

便を大きくしたい人、腸の動きを向上させたい人にオススメです。

水溶性食物繊維を多く含むのは植物性食品

そもそも食物繊維は、肉や魚、貝、卵などからなる動物性食品にはほとんど含まれていません。野菜類や穀類、豆類、きのこ類、いも及びでん粉類、果物、海藻類といった植物性食品に食物繊維は多く含まれていますので、これらをできるだけ多く摂るように心がけたいものです。1)

水溶性食物繊維を多く含む食品としては、野菜類ではアシタバや春菊、カボチャなど、いも類ではサツマイモなど、果物ではミカン、キウイなど、海藻類ではのりやわかめ、昆布などが挙げられます。3)

また、納豆は水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の双方がバランスよく含まれている食品として知られています。5)

サツマイモ

もっと摂りたい水溶性食物繊維

では、水溶性食物繊維は1日にどれくらい摂ればよいのでしょうか?
まずは食物繊維全体の摂取状況から見ていきます。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、生活習慣病の発症予防を目指して設定された1日あたりの摂取目標量は、18~64歳の女性で18g以上、男性で21g以上です。1)

実際にはどれくらい摂っているのでしょうか。
厚生労働省の令和4年「国民健康・栄養調査」の「栄養素等摂取量」から食物繊維の数値を見ると、20~64歳の女性で17.6g(水溶性3.5g、不溶性11.3g)、男性で19.5g(水溶性3.7g、不溶性12.0g)。6)
いずれも摂取目標量に届いていないことがわかります。

表 栄養素等摂取量より「食物繊維」(1歳以上、年齢階級別)

水溶性食物繊維を上手に摂取する方法

「国民健康・栄養調査」に鑑みても水溶性食物繊維の摂取量はやや不足しています。では、水溶性食物繊維をしっかり摂るためにはどうすればよいのでしょうか。

一つには、前述したように野菜などをしっかり食べること。ただし、野菜は生のままではなかなかたくさん食べられないという難点があります。そこでオススメしたいのは、野菜をスープやみそ汁などの食材として積極的に用いることです。

例えば、にんじんやしいたけ、いんげんまめ、凍みこんにゃくなど茹でても水溶性食物繊維があまり減らない食材を、スープやみそ汁の具として用いるのです。また、ながいもやオクラなどネバネバしている食材も水溶性食物繊維を多く含んでいますので、これらはぜひ生のままでこまめに食べたいものです。7)

ちなみに果物に含まれる食物繊維は、果実の成熟度合いによって水溶性か不溶性かが変わります。未熟な果実ではプロトペクチンという不溶性食物繊維ですが、適度に熟した果実のペクチンは水溶性食物繊維です。8)
そのあたりも考慮して「水溶性食物繊維があまり摂れていないかな?」と感じたら、熟した果実も意識的に食べるようにしましょう。

水溶性食物繊維を上手に摂取する方法

水溶性食物繊維は「発酵性食物繊維」にも含まれる

本コラムでは、「食物繊維」の中でも特にいま注目を集めている「発酵性食物繊維」についても解説しています。

水溶性食物繊維の多くが発酵性食物繊維にも位置づけられています。本コラムでは、他の食物繊維との違いや腸内環境改善における働きなど、発酵性食物繊維の概要がわかりやすくまとまっていますので、あわせてご覧ください。

善玉菌に効く水溶性食物繊維を摂取しよう

胃や十二指腸、小腸などでは消化も吸収もされず大腸までたどり着く食物繊維は、腸内環境を整える善玉菌のとてもよいエサになるといわれています。特に水溶性食物繊維は、善玉菌の主力であるビフィズス菌や酪酸菌が好むため、意識的に摂ることが望ましいです。7)

そして、水溶性食物繊維をしっかり摂りつつ、ごはんや肉、魚などを組み合わせたバランスのよい食事を心がけて、必要な栄養素をまんべんなく摂るということも忘れないでくださいね。9)

執筆前川太一郎
監修
ミツカン編集部

    〈執筆に利用した学術論文、総説・解説、書籍等の一覧〉

    1)食物繊維の必要性と健康 - e-ヘルスネット - 厚生労働省
    2)文部科学省「第16回食品成分委員会 資料6」
    https://www.mext.go.jp/content/1410651_010.pdf 
    3)伊勢原市(神奈川県)HP「食物繊維をとろう」
    https://www.city.isehara.kanagawa.jp/docs/2017021600018/file_contents/syokumotusenni.pdf
    4)食物繊維- e-ヘルスネット - 厚生労働省
    5)公益財団法人 長寿科学振興財団HP「食物繊維の働きと1日の摂取量」
    https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/shokumotsu-seni.html
    6)厚生労働省 令和4年「国民健康・栄養調査」
    7)川本 徹著『結局、腸が9割――名医が教える「腸」最強の健康法』(アスコム 2022)
    8)果物- e-ヘルスネット - 厚生労働省
    9)野菜、食べていますか?- e-ヘルスネット - 厚生労働省

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