日和見菌とは?腸内フローラのバランスを整えるためのポイントも解説!
腸内には「善玉菌」「悪玉菌」に加え、「日和見菌」と呼ばれる菌が存在することをご存知ですか?
この記事では、日和見菌の特徴や腸内フローラのバランスを整えるポイントについて詳しく解説します。日和見菌が健康に与える影響や、バランスを保つための食生活のコツもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください!
日和見菌とは?
「日和見菌」という言葉は学術的な用語ではないので正確な定義はありません。
腸内には「善玉菌」や「悪玉菌」と呼ばれる細菌が存在し、健康に良い影響を与えるか、悪い影響を及ぼすかで区別されています。
そのどちらにも当てはまらない細菌群が「日和見菌」と呼ばれることがあるのです。1)
善玉菌・悪玉菌との違いって?
善玉菌は腸内で有害な菌の増殖を抑えたり、免疫機能を高めたり、ビタミンを生成するなど体に良い影響をもたらす菌です。1)
一方、悪玉菌は、増えすぎると腸内で有害物質を産生し健康に悪影響を及ぼすことがあります。1)
では、そのどちらにも当てはまらないとはどういうことなのでしょうか?
それは、私たちの健康状態によって「善玉菌」にも「悪玉菌」にもなる可能性があるということです。私たちが健康で腸内フローラのバランスが適切に保たれていれば日和見菌は大人しくしているのですが、体調が崩れたり免疫力が低下したりすると日和見菌が過剰に増殖してしまい健康に悪影響を及ぼすことがあるのです。2)
日和見菌の種類
日和見菌にはいくつか種類があり、健康な人の腸内に生息しつつも増えすぎると問題を引き起こす場合もあります。その中の代表的な日和見菌を紹介します。
1.バクテロイデス(Bacteroides spp.)
バクテロイデスは腸内で多くの割合を占める細菌で、免疫機能を活性化させたり、炎症を抑制する働きがあります。このように「善玉菌」としての役割も果たしますが、増えすぎると「悪玉菌」のように健康に悪影響を与える側面もあります。3)
2.クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)
通常は無害な腸内に生息していますが、体調不良や抗生剤の使用により腸内フローラのバランスが崩れると過剰に増殖してしまい腸炎や下痢を引き起こすことがあります。4)
腸内フローラバランスを整えることが大切
腸内フローラのバランスは健康に重要です。
善玉菌・悪玉菌・日和見菌が適切な割合で存在することが理想ですが、一部の菌が過剰に増えると健康に悪影響が出ることもあります。
バランスの取れた食事や適度な運動、十分な睡眠、ストレスをためないことが、腸内フローラのバランスを保つための鍵です。
特に私たちが摂った食事は腸に生息する腸内細菌にも届いてエサになるので、私たちが何を食べるのかは腸内フローラのバランスに大きく関係します。
発酵性食物繊維で腸内フローラを整えよう
発酵性食物繊維をご存じですか?
これは、腸内細菌にとってのエサとなる特別な食物繊維で、腸内の善玉菌を増やし私たちの健康に役立つ成分を作り出します。
発酵性食物繊維は、βグルカン、イヌリン、ペクチンのように色々な名前のものがあります。
これらは以下の様な食材からたくさん摂ることができます。
βグルカン:オートミールや小麦、大麦などの全粒穀物
イヌリン:ごぼうなどの根菜類
ペクチン:キウイやみかんなどの果物
日頃から積極的に食事に取り入れ、腸内フローラのバランスを保つようにしましょう。
発酵性食物繊維については下記記事でも解説していますので、気になる方はチェックしてみてください。
まとめ
日和見菌は腸内フローラのバランスに応じて、善玉菌のような働きも、悪玉菌のような働きもする細菌です。
腸内フローラのバランスを整え健康を維持するためにもバランスのとれた食事を心がけたいですね。
特に「発酵性食物繊維」を日常的に摂取することを意識してみてはいかがでしょうか。
<執筆に利用した学術論文、総説・解説、書物等の一覧>
1)腸内細菌と健康 - e-ヘルスネット - 厚生労働省
2)住田圭一 注意すべき日和見感染症 日内会誌 102:2631~2638,2013
3)細野郎 バクテロイデスと免疫 腸内細菌学雑誌 27 : 203-209,2013
4)Larry M. Bush クロストリジオイデス(以前のクロストリジウム)・ディフィシル(Clostridioides (formerly Clostridium) difficile)腸炎 MSDマニュアル家庭版