腸内フローラとは?腸内細菌の種類や健康維持に欠かせないポイントを解説!

腸内フローラの分類や理想的なバランス、そして腸内環境を整えるための食生活のポイントについて解説していきます。
腸内環境を整えることは健康維持に大いに役立つと注目されています1)。
本記事では、腸内フローラについての情報をたっぷりとお届けします。
腸内フローラとは?
腸内フローラという言葉を聞いたことがありますか?
日本語では「腸内細菌叢」といいます。
これは、腸内に住んでいるたくさんの腸内細菌の集まりのことです。
腸内細菌たちは、健康に有用と注目されている短鎖脂肪酸を産生したり2)、悪玉菌の増殖や活動を抑える1)、腸の動きを活性化する3)、腸粘膜のバリア機能を高める4)、免疫力を調整する4)などの効果を発揮してくれることが知られています。
このように、腸内細菌は私たちの健康にいい効果を発揮してくれると知られているのですが、いい効果を発揮してくれるためには、適切なバランスが保たれていることが大切と知られています。
健康にいい腸内細菌が存在すれば、よくない菌も存在しそうですがそれらにはどのようなものが知られているのでしょうか。

腸内フローラを作っている腸内細菌の分類
腸内細菌は主に次の3つのグループに分類できます。
善玉菌:代表例)ビフィズス菌、乳酸菌
悪玉菌の増殖を抑制する、ビタミン類を生成する、食中毒菌や病原菌による感染の予防することなどの機能があると知られています。1)
悪玉菌:代表例)ウェルシュ菌、ブドウ球菌
過剰に増殖すると腐敗物質や有害物質などの毒素を作ると知られています。
また、肥満・糖尿病・大腸がんなどの疾患との関連性も注目されています。1)
中間菌:代表例)大腸菌(非病原性)
まだ健康への影響が解明されていないとされる中間菌も数多く腸内には存在することが知られています。
これら3つに分類される腸内細菌のバランスが維持されていることで、腸内フローラは正常に保たれているのです。
つまり、腸内フローラは多種多様な細菌の共生によって成り立っています。
腸内フローラを作っている腸内細菌の適切なバランスは?
腸内細菌の種類や量は個人の食生活によって異なると言われていて、具体的な数字はないのですが、中間菌が最も多く、次いで善玉菌、悪玉菌は少数と言われています。
偏食や不規則な生活、ストレスなどが続くと、悪玉菌が増えてきて腸内フローラのバランスが崩れてしまうことが分かっていますので、
健康的な食生活を送り、自分の体にあった適切な腸内細菌のバランスを保ちたいですね。1)

腸内フローラのバランスは健康と関係がある?
腸内フローラのバランスが崩れることは肥満、糖尿病、大腸がん、動脈硬化、延長性疾患などの疾病と関連性があると知られています。
実際に、これらの患者の腸内細菌はそうでない人と比べて著しく変化していることが知られているので、日頃から適切な腸内フローラのバランスを保ちたいですね。
腸内フローラのQA
食事以外に、腸内フローラの調子を整える方法はある?
運動することで、腸内細菌が多様化し腸内フローラの代謝機能が向上することがわかっています。運動により体に負荷をかけ、回復のために食事を摂るというサイクルを繰り返すことで、腸内フローラが変化していくと考えられています。7)

腸内フローラのバランスが、年齢とともに変わる?
お腹の中にいる頃から、母親由来の微生物の影響を受けながら育ち、出生後に少しずつ形成されていく腸内フローラ。3歳頃までには、成人と同じような菌の構成になり、高齢になると菌の多様性が低下すると言われています。8)<

腸内フローラの状態は、チェックできる?
さまざまな病院や企業が腸内フローラのチェックを行っていて、分析レポートには腸内フローラの状態はもちろん、どんな食べ物が合っているのかなども記載されているようです。キットを使って自宅で採便して送るだけの手軽なものもあるので、気になる方は利用してみるといいでしょう。
十分な水分を摂る
水分をしっかり摂ると、便が柔らかくなり排便しやすくなると知られています。6)
便秘が続くことも腸内の悪玉菌を増やすことにつながると知られていますので
便秘を予防するためにも水分をしっかり摂るようにしたいですね。1)
規則正しい生活を送り、ストレスをためない
食事だけでなく、睡眠不足などの不規則な生活やストレスをため込むことも腸内の悪玉菌を増やすことにつながると知られているので規則正しく生活し、ストレスを溜めない生活を送りたいですね。

まとめ
腸内フローラは人間の健康に非常に大きな影響を与える存在です。
そのバランスが崩れることは色々な疾病と関連性があると知られているので、バランスのいい食事をとり、規則正しく生活し、ストレスを溜めないように心がけて、適切な腸内フローラを維持していきたいですね。
<執筆に利用した学術論文、総説・解説、書物等の一覧>
1)腸内細菌と健康 - e-ヘルスネット - 厚生労働省
2)渡部恂子:腸内糖代謝と腸内細菌 腸内細菌学雑誌 19 : 169–177,2005
3)J R Grider et al. The peristaltic reflex induced by short-chain fatty acids is mediated by sequential release of 5-HT and neuronal CGRP but not BDNF. Am J Physiol Gastrointest Liver Physiol. 2007 Jan;292(1):G429-37
4)Hidenori Shimizu et al. Regulation of host energy metabolism by gut microbiota-derived short-chain fatty acids, Glycative Stress Research 2019; 6 (3): 181-191
5)食物繊維 - 健康づくりサポートネット - 厚生労働省
6)便秘と食習慣- e-ヘルスネット - 厚生労働省
7)森田 英利:運動と腸内細菌叢 腸内細菌学雑誌 34 : 13-18,2020
8)新井 万里、水野 慎大、金井 隆典:腸内フローラと老化 日本老年医学会雑誌 53巻 4 号(2016:10)