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腸内環境を整えるプロバイオティクス ――基礎的な知識とおすすめの食べものを紹介

腸内環境を整えるプロバイオティクス ――基礎的な知識とおすすめの食べものを紹介
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口から食べたものを消化・吸収し、不要なものを排泄する「腸」は、私たちが健康を維持するためにとても重要な働きを担っています。

腸は、異物やウイルス、病原菌の侵入を防ぎ、免疫機能にもかかわっているうえ、脳と腸が互いに影響を与え合っていることも明らかになってきました。近年は、腸のなかの細菌「腸内細菌」に関する研究が進んでいます。

今回は、腸内環境を整えることによって腸内細菌が生み出す微生物「プロバイオティクス」の基礎的な知識や腸内細菌と共生するのに適した食べものなどについてご紹介します。

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  1. 腸内フローラを改善するには?
  2. プロバイオティクスを含む食品とは?
  3. プロバイオティクスによる効果
  4. プロバイオティクスのQ&A
  5. 根気よく続けて腸内環境を整えよう

腸内フローラを改善するには?

腸内細菌とは、その名の通り「大腸に棲む細菌」を指します。成人の腸内細菌は約500~2000種で、およそ100兆個の菌がいるといわれています。それらの腸内細菌は菌種ごとに腸壁へ張りついていますが、その様子がお花畑(フローラ)のように見えることから「腸内フローラ」と呼ばれています。腸内フローラの正式名称は腸内細菌叢(そう)で、重さはなんと1kgから2kgといわれています。

腸内細菌は、有用菌(善玉菌)、悪玉菌、日和見菌と3つに大きく分けられます。ただし、日和見菌にも有用な働きをするものがいることが徐々にわかってきたそうです。

プロバイオティクスとは?

今回の主題は「プロバイオティクス」です。プロバイオティクスは「腸内フローラのバランス改善に寄与することで、宿主(本人)の健康によい影響を与える生きた微生物」と定義されています。簡単にいうと「有用菌(善玉菌)」ですね。

プロバイオティクスは、発酵食品に含まれる乳酸菌やビフィズス菌、納豆菌、酪酸菌、酢酸菌などを指します。また、いくつかの条件を満たすことでプロバイオティクスと認定されることもあるそうです。

プレバイオティクスとは?

「プレバイオティクス」とは、先に述べた有用菌を増やすなどのサポートに有効なエサのこと。食物繊維やオリゴ糖がそれにあたります。もっともよく利用されるのは難消化性のオリゴ糖類です。プロバイオティクスの働きを向上させるためにも、エサとなるプレバイオティクスを摂ることが推奨されています。

プレバイオティクスは有用菌の増殖を促すことが期待されるほか、腸内の有害菌の増加を抑える働きがあるともいわれています。

シンバイオティクスとは?

健康によい影響を与える生きた微生物のプロバイオティクス、そしてそのエサとなるプレバイオティクス。その両方を上手に組み合わせることで、本人の健康はよりよいものになるという考え方を「シンバイオティクス」と呼びます。シンとは、相乗効果を表す言葉(シナジー)からきているそうです。

プロバイオティクスとプレバイオティクスを組み合わせるシンバイオティクスによって、腸内フローラが整う過程をサポートするとされています。

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プロバイオティクスを含む食品とは?

プロバイオティクスは、発酵食品に含まれる乳酸菌やビフィズス菌、納豆菌、酪酸菌、酢酸菌などを指します。これらの有用菌を摂りこむには、「ヨーグルト」や「チーズ」などの乳製品、そして「納豆」「ぬか漬け」「塩辛」「キムチ」などの発酵食品をしっかり食べることが重要です。

そのほか、イタリア由来の「アンチョビ」、キャベツを用いたドイツの漬物「ザワークラウト」、大豆を使ったインドネシアの発酵食品「テンペ」なども有効とされています。

また、「みそ」や「しょうゆ」、「酢」「かつお節」など発酵させてつくった調味料にもプロバイオティクスは含まれていますので、積極的に摂るようにしましょう。「ふなずし」や「豆腐よう」など発酵を用いた郷土料理も見逃せませんね。

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プロバイオティクスによる効果

プロバイオティクスは、私たちの体にどのような影響を与えるのでしょうか。プロバイオティクスによって期待されるといわれる効果をご紹介します。

効果1「便秘と下痢症の改善」

「慢性的な便秘は寿命を縮める可能性がある」との研究報告があるように、便秘や下痢など腸に起因する症状を放っておくのはよくないことではないでしょうか。プロバイオティクスの一つである酪酸菌は、こうした症状を和らげる効果が期待されているそうです。

酪酸菌を増やすには、豆類や海藻、果物、根菜など水溶性食物繊維が多い食べものを摂ることがおすすめです。

効果2「感染防御とアレルギー抑制」

プロバイオティクスは病原菌やウイルス感染などから私たちの体を守るための免疫力を高める可能性があるという報告があります。

また、免疫異常とされるアトピー性皮膚炎、さらにスギ花粉症などの改善に対しても、乳酸菌やビフィズス菌の発酵飲料が寄与するかもしれないという研究成果が発表されはじめているそうです。

効果3「動脈硬化の予防」

血管と腸はあまり関係なさそうですが、実は腸内細菌が関与していることがわかってきたそうです。例えば血流阻害から生まれる動脈硬化に対して、腸内細菌が影響を与えているといわれています。

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プロバイオティクスのQ&A

Q)プロバイオティクスとは何ですか?

繰り返しになりますが「腸内フローラのバランス改善に寄与することで、宿主(本人)の健康によい影響を与える生きた微生物」です。ひと言でいえば「有用菌(善玉菌)」で、発酵食品に含まれる乳酸菌やビフィズス菌、納豆菌、酪酸菌、酢酸菌などを指します。

Q)プロバイオティクスを多く含む食品は?

ヨーグルトやチーズなどの乳製品、納豆やぬか漬け、塩辛、キムチなどの発酵食品はプロバイオティクスを多く含んでいます。アンチョビ、ザワークラウト、テンペなども該当します。みそやしょうゆ、酢、かつお節などの調味料、そしてふなずしや豆腐ようなどにもプロバイオティクスは含まれていますよ。

根気よく続けて腸内環境を整えよう

今回は、プロバイオティクスについてご紹介しました。腸の働きや腸内フローラの研究は日進月歩です。ご自身の健康を維持するためにもぜひ興味をもっていただきたいです。

プロバイオティクスだけでなく、有用菌のエサとなるプレバイオティクスも必要で、それらの両方を組み合わせることによって、より大きな効果が得られる(シンバイオティクス)のですね。

ふだんの食事を見直して、例えば食物繊維を多く含む玄米をおにぎりに、おかずとして納豆を食べ、デザートにはヨーグルトを摂る――そんな食べ合わせも腸内フローラのバランスを整えるにはよいと言われています。ただし、腸内環境は数日では変わらないので、少なくとも3週間から1カ月は続けてくださいね。

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執筆ミツカン編集部


〈執筆に利用した学術論文、総説・解説、書籍等の一覧〉

【A】國澤 純著『9000人を調べて分かった腸のすごい世界――強い体と菌をめぐる知的冒険』(日経BP 2023)
【B】公益財団法人 腸内細菌学会Web用語集「プロバイオティクス」
【C】桑田 有「ヒトの腸内細菌叢―ヒトへの共生による栄養,疾患,精神活動への影響 最新情報―」心身健康科学 8巻1号 2012年
【D】山城雄一郎「腸内細菌――宿主の健康と疾病への密接な関係」順天堂醫事雑誌 60巻(2014)1号
【E】公益財団法人 長寿科学振興財団Web「腸内細菌叢(腸内フローラ)とは」
【F】公益財団法人 腸内細菌学会Web用語集「プレバイオティクス」
【G】公益財団法人 腸内細菌学会Web用語集「シンバイオティクス」
【H】総合東京病院Web「腸内フローラとシンバイオティクス」
【I】中村丁次監修『栄養の基本がわかる図解事典』(成美堂出版 2025)
【J】飯田薫子・寺本あい監修『一生役立つ きちんとわかる栄養学』(西東社 2019)
【K】江田 証著『60歳で腸は変わる――長生きのための新しい腸活』(新星出版社 2024)
【L】公益財団法人 腸内細菌学会Web用語集「酪酸産生菌」
【M】辨野義己「プロバイオティクスとして用いられる乳酸菌の分類と効能」モダンメディア 57 巻 10 号 2011
【N】山科 章「腸内細菌は動脈硬化症に関連するか?」日本内科学会雑誌 104 巻 1 号

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