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腸内細菌とセカンドミール効果の関係性[発酵性食物繊維が鍵!]

腸内細菌とセカンドミール効果の関係性[発酵性食物繊維が鍵!]

皆さんは食後の血糖値について気にかけたことはありますか?

食後は誰しも血糖値が高くなるものですが、健康な人は2時間以内には正常値に戻ると言われています。

しかし、2時間程度たっても血糖値が高い状態が続くと食後高血糖という状態になり、糖尿病などの発症リスクを高めることに繋がると考えられています。1)2)
食後の血糖値については食事の食べ方が影響するだけでなく、大腸に生息している腸内細菌も関係していることが分かってきているので紹介します。

  1. 血糖値とは?
  2. 食後血糖値の上昇は食べ物の種類や食べる順番で緩やかにできる
  3. セカンドミール効果 1回目の食事が2回目の食後血糖値の上昇に影響する
  4. 発酵性食物繊維を摂取して食後血糖値の上昇をケア
  5. まとめ

血糖値とは?

血糖値とは血液内のブドウ糖の濃度のことです。

食事から摂取した炭水化物が胃や小腸で分解されて体内に吸収されると血糖値は上昇しますが、すぐにインスリンというホルモンが分泌され正常値に戻ると言われています。1)

このインスリンの働きが十分でなく高血糖状態が続くと、糖尿病や動脈硬化、脳卒中、心筋梗塞などの発症リスクが高まると言われているので日頃から食後の血糖値には注意したいものです。2)

では、この食後の血糖値の上昇は、食事のとり方で上手く調整できないのでしょうか?

食後血糖値の上昇は食べ物の種類や食べる順番で緩やかにできる

食事は最初に野菜から食べた方が良いということを聞いたことはありませんか?

これは研究においても、食事の最初に野菜を食べた方が食事による血糖値の上昇が緩やかになるということが証明されているのです。

なぜ野菜を先に食べた方が良いのかというと、それは野菜に含まれる、特に“水溶性食物繊維”の効果。
水溶性食物繊維を先に摂取しておくと、次に摂取した糖質の吸収が遅れ、血糖値の上昇が緩やかになると言われているのです。3)

また、糖質である主食よりも、タンパク質が含まれる主菜を先に食べることでも食後血糖値の上昇を緩やかにできるとする報告もあるので食事の食べる順番は意識したいですね。3)4)

セカンドミール効果 1回目の食事が2回目の食後血糖値の上昇に影響する

セカンドミール効果という言葉を知っていますか?

1回目の食事(ファーストミール)が2回目の食事(セカンドミール)の後の血糖値の上昇に影響することが知られているためこのように呼ばれています。5)

穀類や豆類など食物繊維を豊富に含む食品を摂取することでセカンドミール効果を発揮するということが知られています。5)6)

例えば、朝食(1回目)に食物繊維の多い食事を摂取することで、昼食(2回目)の食後血糖値の上昇が緩やかになることが知られています。
このセカンドミール効果がどのような仕組みで起きているのかは未だ研究されている途中ですが、ある研究では人の大腸に生息している腸内細菌が関係しているのではないかと注目しています。

※当サイト参照:発酵性食物繊維とは

※当サイト参照:善玉菌とは

発酵性食物繊維を摂取して食後血糖値の上昇をケア

食物繊維の摂取がセカンドミール効果に繋がっていることを紹介してきましたが、食物繊維の中でも特に発酵性食物繊維が大腸に生息する腸内細菌に届くことによって起きているのではないかと言われています。7)

腸内細菌は発酵性食物繊維をエサとして食べ、短鎖脂肪酸という成分を作ります。
この短鎖脂肪酸が血糖値の上昇を抑制するホルモン分泌を増やす作用があると知られているのです。

短鎖脂肪酸は、大腸の上皮細胞に作用することでGLP-1(グルカゴン様ペプチド1)というホルモン分泌を促し、このGLP-1が血液を経由して膵臓に働きかけることでインスリン分泌が促されているという報告です。

つまり、発酵性食物繊維を摂取することで大腸内の腸内細菌が短鎖脂肪酸を作ることができ、結果として血糖値の上昇を抑制するインスリン分泌が促されるという仕組みが分かってきているのです。8)9)

※当サイト参照:短鎖脂肪酸とは

まとめ

食後の血糖値は健康な人であれば数時間以内に正常値に戻りますが、高血糖状態が続くことは糖尿病などの発症リスクを高めてしまいます。

日頃から食事のとり方を工夫して食事による血糖値の上昇をケアしたいですね。

ポイントになる栄養素は、発酵性食物繊維。

腸内細菌が発酵性食物繊維を食べて短鎖脂肪酸を作り、インスリンというホルモンの分泌を促すことが知られているので、毎日摂取したい栄養素の一つです。

監修者内藤 裕二

京都府立医科大学大学院医学研究科
生体免疫栄養学講座 教授

執筆ミツカン編集部

<執筆に利用した学術論文、総説・解説、書物等の一覧>

1)血糖値 - e-ヘルスネット - 厚生労働省
2)食後高血糖- e-ヘルスネット - 厚生労働省
3)今井佐恵子:食べ方と食べる時間が血糖変動に影響を与える 化学と生物  Vol. 56, No. 7, 2018
4)Kuwata, H, et al. Meal sequence and glucose excursion, gastric emptying and incretin secretion in type 2 diabetes: a randomised, controlled crossover, exploratory trial. Diabetologia 59, 453–461 (2016)
5)Jenkins DJ, et al. Slow release dietary carbohydrate improves second meal tolerance. The American Journal of Clinical Nutrition Volume 35, Issue 6, June 1982, Pages 1339-1346
6)Tsubasa Matsuoka M.S, et al. Consumption of a meal containing refined barley flour bread is associated with a lower postprandial blood glucose concentration after a second meal compared with one containing refined wheat flour bread in healthy Japanese: A randomized control trial. Nutrition Volume 72, April 2020, 110637
7)Brighenti Furio, et al. Colonic fermentation of indigestible carbohydrates contributes to the second-meal effect. The American Journal of Clinical Nutrition Volume 83, Issue 4, April 2006, Pages 817-822
8)Hidenori Shimizu et al. Regulation of host energy metabolism by gut microbiota-derived short-chain fatty acids, Glycative Stress Research 2019; 6 (3): 181-191
9)坪井貴司:腸内細菌叢と消化管内分泌細胞との機能連関 第 74 回日本自律神経学会総会 / 自律神経レクチャーズ 18 / 坪井貴司

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