白菜に含まれる食物繊維量は? 体にうれしい調理法、その他の栄養素についても解説!

葉野菜の中でも、ひときわ大きな白菜。
何層にも重なった大きな葉っぱの中には、どんな栄養素が含まれているのでしょう?
その働き、効率よく摂取する方法も紹介しながら、白菜を徹底解剖していきます!
白菜に含まれる栄養素、その働き
生の白菜100gには、下表のような栄養素が含まれています。1)
栄養素 | 含有量 |
エネルギー(kcal) | 13 |
カリウム(mg) | 220 |
カルシウム(mg) | 43 |
β-カロテン(μg) | 92 |
ビタミンC(mg) | 19 |
ビタミンK(μg) | 59 |
葉酸(μg) | 61 |
食物繊維(g) | 1.3 |
カリウムにはナトリウムを排出する作用、2) カルシウムには骨や歯の形成、3) β-カロテンやビタミンCには活性酸素の働きの抑制、4) ビタミンKには動脈硬化や骨粗鬆症リスクの低減、5) 葉酸には心筋梗塞などの心疾患や大腸がん、乳がんのリスク低減、6) 食物繊維には整腸作用が期待できると言われています。7)
食物繊維の重要性
食物繊維とは、「人の消化酵素で消化されない食物中の難消化成分」のことです。7)
タンパク質や脂質、炭水化物などが消化酵素により分解され小腸から体内に吸収されるのに対し、食物繊維は小腸では消化吸収されず大腸まで運ばれていき、さまざまな働きをします。7)
「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」の大きく2つに分類することができ、水に溶けやすい水溶性食物繊維には、血糖値の急な上昇を抑える「糖尿病予防効果」、コレステロールの産生を減らす「脂質異常症の抑制効果」が期待でき、水分を吸収して腸内にとどまることで、空腹感を抑える働きもしてくれると考えられています。8) 一方の不溶性食物繊維は水に溶けにくく、「便を大きくする」、「腸が食べ物を送る“ぜん動運動”を促進する」、「脂肪や胆汁酸を吸着し排出する」などの効果が期待できると言われています8)。
このような、多様な体にいい働きから、「第6の栄養素」と呼ばれることもあるんですよ。9)
関連リンク:
令和4年度 農林水産物・食品輸出拡大にむけたトレンド(SDGs)調査委託事業 調査報告書
白菜の食物繊維量は?
生の白菜100gには水溶性食物繊維が0.3g、不溶性食物繊維が1.0g、計1.3gの食物繊維が含まれています。1)
白菜のように球状になる他の葉野菜を見てみると、キャベツが1.8g、レタスが1.1gと、平均的な量であることがわかります。1)
また、他の葉野菜を見てみると、ほうれん草が2.8g、小松菜が1.9g、チンゲンサイが1.2gと、葉野菜全般における白菜の食物繊維量は、平均より若干少な目であることがわかります。1)
食材 | 食物繊維総量 | 水溶性食物繊維量 | 不溶性食物繊維量 |
白菜 | 1.3 | 0.3 | 1.0 |
キャベツ | 1.8 | 0.1 | 1.1 |
レタス | 1.1 | 1.0 | 0.1 |
ほうれん草 | 2.8 | 0.7 | 2.1 |
小松菜 | 1.9 | 0.4 | 1.5 |
チンゲンサイ | 1.2 | 0.2 | 1.0 |
食物繊維について、働きや多く含まれている食品など、さらに詳しく知りたい方はこちらもあわせてどうぞ。
白菜に含まれる栄養素、体にどう作用する?
冒頭でお伝えした、白菜に含まれるさまざまな栄養素は、以下のような働きをしてくれると考えられています。
塩分摂取量をコントロール
カリウムにはナトリウムを排出する作用があり、塩分の摂り過ぎを防ぐ上で重要な栄養素だと言われています。2)

動脈硬化、がん、老化などのリスクを下げる
体内に取り込まれるとビタミンAに変化するβ-カロテン、ビタミンCが活性酸素の働きを抑え、動脈硬化やがん、老化などのリスクを低減してくれると考えられています。4)

骨粗鬆症リスクを下げる
骨や歯を形成するカルシウム、カルシウムによる骨の形成をサポートするビタミンKの働きで、骨粗鬆症リスクの低減が期待できると考えられています。3)5)

便秘には、どう働く?
白菜に含まれる食物繊維の75%近くを占める不溶性食物繊維には、「便を大きくする」、「腸が食べ物を送る“ぜん動運動”を促進する」などの作用があり、便秘をやわらげてくれると考えられています。8) また、白菜の不溶性食物繊維は茹でても量が変わらないため、茹でてかさを減らすことで食物繊維の摂取量を増やすことができるでしょう。1)
効率よく栄養が摂れる白菜の調理法
ここまで、さまざまな白菜の栄養素とその働きについて見てきましたが、調理方法によってそれらはどのように変化するのでしょう。下の表は、茹でた場合、塩漬けにした場合、キムチにした場合に栄養素がどのように変化するかをまとめたものです。1) 生の状態よりも増える栄養素を青字、減る栄養素を赤字で記載しています。
栄養素により増減の仕方が違いますが、いずれの調理法も生よりもかさが減ることを考慮すると、生よりも調理をした方が効率よく栄養素を摂取することができそうです。
栄養素 | 生 | ゆで | 塩漬け | キムチ |
エネルギー(kcal) | 13 | 13 | 17 | 27 |
カリウム(mg) | 220 | 160 | 240 | 290 |
カルシウム(mg) | 43 | 43 | 39 | 50 |
β-カロテン(μg) | 92 | 130 | 14 | 110 |
ビタミンC(mg) | 19 | 10 | 29 | 15 |
ビタミンK(μg) | 59 | 87 | 61 | 42 |
葉酸(μg) | 61 | 42 | 59 | 22 |
食物繊維(g) | 1.3 | 1.4 | 1.8 | 2.2 |
生のままと茹でた白菜、摂れる栄養の量は変わる?
上の表を見ていただければわかるように、茹でた場合に減る栄養素は「カリウム」「ビタミンC」「葉酸」の3つで、これらはいずれも水に溶けやすい性質を持っています。10)11) スープやシチューなど、茹でた汁ごといただくメニューにすることで、これらの栄養素を無駄にすることなく摂取することができそうです。

白菜と発酵性食物繊維の関係性
善玉菌のエサとなり、その働きを活性化させる食物繊維「発酵性食物繊維」が、近年の腸活ブームもあり注目されていることをご存じでしょうか?
残念ながら白菜にはあまり含まれていないのですが、塩漬けやキムチとして食べることで、善玉菌である乳酸菌を直接腸内に届け、腸内環境を整えることができると考えられています。12)13)
今話題の発酵性食物繊維について、もっと詳しく知りたい方は、こちらの記事も要チェックですよ。
白菜を使ったおすすめレシピ
お伝えしてきたように、白菜は加熱をしてかさを減らすことで、食べる量を増やすことができます。そのポイントもしっかりおさえた2つのメニューをご紹介します。
豚肉と白菜のガーリックペッパー蒸し

□材料(2人分)
豚バラ肉薄切り:150g
白菜:3枚(300g)
にんにく:1かけ
粗挽き黒こしょう:2つまみ
味付けぽん酢:適量
□つくり方
1. 豚バラ肉、白菜は、食べやすい大きさに切る。にんにくは、薄切りにする。
2. 耐熱容器に、白菜、豚バラ肉の順で全体に広げてのせる。にんにくを散らし、粗挽き黒こしょうをかける。ふんわりとラップをかけ、電子レンジ(600W)に7分加熱する。
※味付けぽん酢をかけてお召し上がりください。
※電子レンジの加熱時間は目安ですので、その都度調整してください。
白菜のちぢみ

□材料(2人分)
白菜:1/8個(300g)
干しえび:大さじ2
小ねぎ(小口切り):大さじ2
小麦粉:1カップ
卵:1個
水:1/2カップ
ごま油:大さじ1
糸とうがらし:適宜
小ねぎ(小口切り):適宜
味付けぽん酢:適量
ラー油:適宜
□つくり方
1. 白菜は、葉の部分はザク切りに、芯の部分は3cm長さの3mm幅に切る。
2. ポリ袋に1、干しえび、小ねぎ、小麦粉、卵、水を入れてよく混ぜる。
3. フライパンにごま油を入れて熱し、2を入れ、中火にしてフタをして、片面5分焼き、上下を返した後、弱火にして3分ほどこんがり焼く。
4. 一口大に切って器に盛り、お好みで糸とうがらしと小ねぎを飾る。味付けぽん酢をつける。お好みでラー油を足してもよい。
まとめ
白菜に含まれている栄養素がどんな働きをするのか、おわかりいただけたかと思います。効率よく摂取するためのポイント「加熱」「漬物」をしっかりおさえて、体が喜ぶ白菜の食べ方、ぜひ実践してみてくださいね!
<執筆に利用した学術論文、総説・解説、書籍等の一覧>
1) 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年 - 文部科学省
2) カリウム - eヘルスネット - 厚生労働省
3) カルシウム - eヘルスネット - 厚生労働省
4) 抗酸化ビタミン - eヘルスネット - 厚生労働省
5) 鈴木 啓章:ビタミンKの健康栄養機能に関する最近の知見 オレオサイエンス第14 巻第12号(2014)
6) 水上 尚典:葉酸摂取のすすめ 日本補完代替医療学会誌 第6巻 第2号 2009年6月:53-57
7) 食物繊維の必要性と健康 - eヘルスネット - 厚生労働省
8) 高橋 陽子:繊維質と食物繊維 日本食品科学工学会誌58 巻 4 号 p. 186(2011)
9) 食物繊維 - eヘルスネット - 厚生労働省
10) ビタミン - eヘルスネット - 厚生労働省
11) 山田 正子、樋口誉誌子、細山田康恵:調理用加熱済み野菜のカリウム量 日本食生活学会誌 第33巻 第4号 205-209(2023)
12) 乳酸菌 - eヘルスネット - 厚生労働省
13) 鄭 大聲:キムチの調理科学