わかめには食物繊維が豊富? 便秘にうれしい働き、お手軽レシピもご紹介!
味噌汁、サラダ、スープに酢の物。食べる機会は多いものの主役にはなりにくいわかめですが、実は、私たちの腸の健康に重要な食物繊維が豊富に含まれているんです。1) 食物繊維をはじめとしたわかめに含まれる栄養素とその働き、わかめを使ったお手軽レシピを紹介していきましょう。
わかめの食物繊維量は?
わかめ100gあたりに含まれる食物繊維の量は、生で3.6g、乾燥わかめを水で戻したもので4.0g、塩蔵わかめで3.2gです。1) 他の部位を見てみると、くきわかめ(塩蔵)5.1g、めかぶわかめ(生)3.4gと、くきわかめに多く含まれていることがわかります。1) 他の海藻と比べてみると、こんぶ(つくだ煮)6.8g、ほしひじき(ゆで)3.7g、もずく(塩蔵)1.4gと、海藻の中では平均的な量であることがわかります。1)
※ 食物繊維の含有量は、すべて食品100gあたりの量。
食物繊維について、性質や働き、多く含まれている食品など、さらに詳しく知りたい方は、こちらの記事も読んでみてくださいね。

わかめを含む海藻類には発酵性食物繊維が豊富
わかめなどの海藻類には、「アルギン酸」という水溶性食物繊維が豊富に含まれています。3) このアルギン酸、腸を整える働きをしてくれる「善玉菌」のエサとなる「発酵性食物繊維」にも分類される食物繊維で、善玉菌の働きを活性化してくれると考えられています。2)
近年の腸活ブームで注目度急上昇中の「発酵性食物繊維」について、さらに詳しく知りたい方は、以下記事も要チェックですよ。
わかめの主な栄養素
「海藻にはミネラルが豊富」と思われている方は多いと思いますが、具体的にどんな栄養素が含まれているかご存じでしょうか? わかめに豊富に含まれる3つのミネラルについて、その働きとともにご紹介します。
※ 以下、栄養素の含有量は、水に戻した乾燥わかめ100gあたりの量です。
カリウム:440mg 1)
ナトリウムを排出する作用があり、塩分摂取量をコントロールする上で重要な栄養素であるカリウム。4) 体液のpHバランスを保つ、細胞内液の浸透圧をコントロールし一定に保つなどの働きも持っています。4)
カルシウム:100mg 1)
ミネラルの中で人体に最も多く含まれ、その大部分はリン酸カルシウムとして骨や歯を形成しますが、ごく一部はカルシウムイオンとして、血液の凝固を促し出血を予防する、心筋の収縮を促進し筋肉の興奮を抑える働きもしています。5)
マグネシウム:96mg 1)
人体に必要なミネラルの1つであるマグネシウムは、リンやカルシウムとともに骨を形成します。また、300種以上の酵素を活性化する働きがあり、筋収縮や神経伝達、体温・血圧調整にも必要な栄養素です。6)

わかめは便秘をやわらげてくれる?
水溶性食物繊維には、便をやわらかく保つ働きがあると考えられていますが、わかめに豊富に含まれる水溶性食物繊維であるアルギン酸には、排便回数を増やす、便の体積を増やすなどの働きも期待できるという研究結果があります。3)7)
前述の通り、アルギン酸は善玉菌の活性化にも期待ができる発酵性食物繊維。豊富に含むわかめには、腸を健康に保ち便秘をやわらげる働きが期待できると言えるでしょう。7)
わかめを使ったおすすめレシピ
あっさりな副菜と、しっかりな主菜。いずれも手軽につくれるメニューですので、ぜひお試しくださいね。
わかめときのこのおひたし

□材料(2人分)
わかめ(乾):4g
しめじ:1/2パック(50g)
えのきだけ:1/2パック(50g)
白だし:大さじ1/2
水:1/4カップ
粗挽き黒こしょう:少々
□つくり方
1. しめじは石づきを取り、小房に分ける。えのきは石づきを取る。
2. 1と乾燥わかめを耐熱皿に並べ、白だしをかけ、ふんわりとラップをして電子レンジ(600W)で3分加熱する。
3. 粗熱が取れたら器に盛り、食べる直前に粗挽き黒こしょうをふる。
※ 粗挽き黒こしょうは調理工程で火を通しておりませんので、混ぜた状態で保管しないでください。
※ 冷蔵庫に保管し、なるべくお早めにお召し上がりください。
わかめと豚肉の卵とじ炒め

□材料(2人分)
生わかめ:1/2カップ(25g)
豚肉薄切り:160g
卵:2個
こしょう:小さじ1/5
サラダ油:大さじ1
味付けぽん酢:小さじ2と1/2
□つくり方
1. わかめはザク切りにする。卵は割りほぐす。
2. フライパンにサラダ油を入れて加熱し、豚肉とわかめを入れてこしょうをふって中火で炒め、火が通ったら卵を加える。
3. 卵にほぼ火が通ったら、火を止めて、味付けぽん酢をまわしかける。
まとめ
食卓では脇役になりがちなわかめが、腸の中でいかに活躍しているか、おわかりいただけたかと思います。気づけば口にしている食材なので、日常的にたくさん食べている方も多いかもしれませんが、保存性の高さを活かして意識的にメニューに取り入れ、よりよい腸内環境を目指していきましょう!
<執筆に利用した学術論文、総説・解説、書籍等の一覧>
1) 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
2) 國澤 純:9000人を調べて分かった腸のすごい世界 強い体と菌をめぐる知的冒険 日経BP 2023
3) 志多伯 良博:低分子化アルギン酸ナトリウムの機能性と食品への利用 藻類 Jpn.J.Phycol.(Sorui)51:31-36,Mar.10 2003
4) カリウム - eヘルスネット - 厚生労働省
5) カルシウム - eヘルスネット - 厚生労働省
6) マグネシウム - eヘルスネット - 厚生労働省
7) 奥 恒行, 中村 禎子, 岡崎 光子:低分子化アルギン酸ナトリウムの排便及び便性に対する改善効果 栄養学雑誌Vol.56 No.2 89〜99(1998)








